映画コラム

REGULAR

2022年10月14日

『カラダ探し』オンラインイベントを体験したくなる「5つ」の魅力を解説!

『カラダ探し』オンラインイベントを体験したくなる「5つ」の魅力を解説!



©2022「カラダ探しオンライン」実行委員会

2022年10月14日(金)より映画『カラダ探し』が公開されている。同日より、そのスピンオフとなるオンラインイベントも12月4日までの期間限定で実施されており、これが実に楽しかった!その魅力を紹介しよう。

アナザーストーリーを「双方向型」×「没入型」で楽しめる



『カラダ探し』は小説投稿サイトで人気No.1となり、コミック版の累計閲覧数が2014年に1億回を突破したという大人気作の実写映画化作品だ。今回のスピンオフとなる「カラダ探し オンライン」は映画の「アナザーストーリー」であり、登場人物も完全に独立しているため、関連作品を知らなくても問題なく楽しめる内容となっている。

スマートフォンやタブレットには対応しておらず、パソコンのブラウザGoogle Chromeのみで遊ぶことができる。その他の「ヘッドホンの着用」などの具体的な楽しみ方は、参加の時間になる前に分かりやすく画面に示されるため、事前情報は特に必要ないだろう。

そして、銘打たれているのは「双方向型」×「没入型」というコンセプト。もっとわかりやすく言えばホラー映画の登場人物の一員になった気分で楽しめるということ。それこそが最大の魅力なのだ。さらに細かく要素を記せば、以下のようなものである。

1.映像を見ながらチャットでの応答ができる
2.監視カメラの操作による手伝いができる
3.重要な決断の“タイミング”や“選択”の指示もできる
4.配信映像の“反応”を見られる要素も
5.ネタバレ厳禁のサプライズ

以下からそれぞれの項目について、簡潔に紹介していこう。

1.映像を見ながらチャットでの応答ができる


©2022「カラダ探しオンライン」実行委員会

あらすじを簡単に言えば「隠されたバラバラのカラダをすべて見つける」ことを頼まれたクラスメイトの“あなた”が、パソコンから配信映像を見ながら、チャットをして彼らの手助けをするというもの。チュートリアル的に「まずは“YES”のスタンプを送ってほしい」と聞かれ、その通りに押せばOK、という簡単な指示があるため、戸惑うことはないだろう。

“あなた”のチャットに対して登場人物がすぐに反応したり、その後の行動が変わってくることがまずゲーム的で面白い。それ以上に、個性豊かな4人の登場人物が「パソコンやカメラに詳しい」という設定の“あなた”を仲間として信頼していることが会話から大いに伝わってくるため、真剣に彼らのことを助けたくなるはず。

登場人物とやりとりができる「双方向型」、そしてホラー映画の中に入り込んだような「没入型」の体験ができることこそ、このオンラインイベントの面白さだ。

2.監視カメラの操作による手伝いができる


©2022「カラダ探しオンライン」実行委員会

さらにゲーム性に一役買っているのが、監視カメラの操作という要素。“あなた”には設置された監視カメラを上下左右に動かして“カラダ”の一部を見つけるというミッションが課せられるのだ。このパートは時間制限ありで、その時間内に見つけられなければ失敗となる。

失敗してもゲームオーバーになるわけではないが、登場人物からややガッカリされてしまうこともあるため、やはり神経を研ぎ澄ませて挑むのをおすすめする。運も絡んでくるとも言えるが、逆に言えばカンが鋭い方はカンタンにクリアーできるのかもしれない。

3.重要な決断の“タイミング”や“選択”の指示もできる


©2022「カラダ探しオンライン」実行委員会

その後は、登場人物が重要な決断をする“タイミング”、もしくは“選択”そのものが“あなた”へ委ねられるシーンもある。具合的なシチュエーションは秘密にしておくが、それこそ登場人物の生死に直結する事態のため、監視カメラの操作パートよりさらに真剣にならざるを得ない場面だろう。

どの行動を選ぶべきかは、そのシチュエーションそのもの、または他の登場人物の事前の行動から分かりやすく推測はできるが、決して一筋縄にはいかない。「このタイミングや選択で良いのだろうか……?」と悩むことも含めて、楽しんでほしい。

4.配信映像の“反応”を見られる要素も

序盤は4人の登場人物+“あなた”の反応だけがチャットルームに表示されるのだが、中盤からは“それ以外”の視聴者も配信映像を観に来るというギミックもある。良い意味で狭い仲間たちだけのやりとりだったはずが、オープンになり不特定多数に観られた時の“反応”も楽しめるだろう。

筆者が体験した先行公演では、不特定多数のチャットの投稿として「なんでわざわざ怖いシチュエーションに逃げ込むんだ」「フラグ製造機」などのツッコミもあった。その冷ややかな態度も逆に恐怖を呼ぶ。もちろん、映し出されているのはフィクションの映像であり作り物だとわかっているのだが、現実にこうした怖い出来事の配信映像があったとしても、こんな反応が寄せられるのでは……?と、現実的な観点を思い知らされたことにも少しゾッとしたのだ。

5.ネタバレ厳禁のサプライズ


©2022「カラダ探しオンライン」実行委員会

こればかりはネタバレになるため伏せておくが、本作には「配信映像を観ている」というコンセプトを存分に活かした、とあるサプライズがあり、最大の恐怖にもなっていたのだ

思えば、劇中の登場人物は生身のまま恐怖に次ぐ恐怖の場面にいるのだが、彼らをモニター越しに見ながらチャットをしているだけの“あなた”は「安全圏にいる」とも言えるし、劇中ではまさにそのことを指摘するセリフもある。

だが、本当に“あなた”は安全だと言えるのだろうか…?と、そのサプライズのギミックは示してくれていたのだ。

まとめ:他媒体ではできないアイデア



ここまで挙げた特徴から、まさに「ゲーム的な面白さ」が目立つ作品でもあるが、三浦海里・溝口奈菜・松永有紗・長塚拓海という実力派の若手俳優陣の熱演や、凝ったカメラワークや編集もあって、エンタメ特化の映像作品としても十分に楽しめることも長所だろう。

展開もスピーディーにする工夫が随所にあり、説明が長くなりすぎると「もうそのへんでいいよ」とツッコミが入ったり、「ちゃっちゃとやってよ」と手早い行動の指示をされたりするのも面白かった。

何より、最後に挙げた「5.ネタバレ厳禁のサプライズ」は他の媒体では不可能、まさに「オンラインイベント」、何より配信映像という体裁だからこそできたギミックでもある。ある意味で「そうきたか!」というアイデアそのものに感動できるであろう、そのサプライズを楽しみにしてほしい。

映画本編は「青春ホラー×ループもの」の優秀なエンタメ!


©2022「カラダ探し」製作委員会

最後に、映画『カラダ探し』の本編の魅力についても語っておこう。簡単に言えば(年齢はそれより少し上だが)『学校の怪談』的なジュブナイル青春ホラーに、「ループもの」の魅力が合わさったエンタメホラーとして存分に楽しい作品だった。

6人の高校生は夜の学校でカラダを集めるミッションに強制参加させられ、無残に殺される日を何度も繰り返すことになる。なんとも悲惨な設定ではあるが、初めこそ接点がなくカラダ探しにおいてもギクシャクしていた彼ら彼女らが、次第に信頼関係を得て共通の目的のために一蓮托生になる様が、まさに「この時にしかない」青春を切り取っているようで、なんなら「輝いて」も見える場面もあるのだ。


©2022「カラダ探し」製作委員会

そして『恋はデジャ・ブ』(1993)や『ハッピー・デス・デイ』(2017)などの名作「ループもの」の魅力の筆頭は、前で起きた出来事を繰り返すために“学習”ができ、その対策ができることにもある。今回の『カラダ探し』では6人が記憶を共有しているため“チーム”で知恵と勇気を振り絞り危機に立ち向かう真っ当にアツい要素があるのだ。

また、「『IT/イット』のワーナー・ブラザースが贈る超刺激的ループ型ホラー」という触れ込みは、さすがに海外と日本では製作スタッフも何もかも違うので無理やりでは?というツッコミも一部で見られたが、実際に観てみると『IT/イット』2部作をはじめとした海外製ホラーの面白さを、凝った映像からも踏襲しようという気概がみられた。

今までのジャパニーズホラーの殻から脱して、『IT/イット』を好む若者にも舐められたりはしない、エンタメ性を押し出したホラーを作ろうという意気込みが、作品から伝わるのだ。


©2022「カラダ探し」製作委員会

さらに、橋本環奈・眞栄田郷敦・山本舞香・神尾楓珠・醍醐虎汰朗・横田真悠という豪華な若手俳優が集結しているのも大きな魅力。実質的な主人公の少女は周りから拒絶されている“ぼっち”な役という設定で、国民的美少女とされる橋本環奈がその役を演じて説得力があるのかと一瞬心配してしまったが、流石の演技力と存在感をもってして体現しているので恐れ入った。

そして、PG12指定ギリギリの残酷描写も攻めているというのも長所。「死んでも時間がループして生き返れる」という設定であるが、この見た目にもショックな画があってこそ、彼ら彼女らの戦いの過酷さが伝わる、間違いなく必要な描写だった。羽住英一郎監督にとっては初のホラーでもあるが、過去作で気になっていたテンポの悪さを感じるところもほとんどなく、個人的には羽住監督作の中でぶっちぎりで一番好きな作品になった。


 
ちなみに、オンラインイベントの脚本を共同で執筆した原祐樹プロデューサーによると、この映画『カラダ探し』はコロナ禍での撮影延期や不運も重なり、企画書を書いた日から公開まで約7年の歳月がかかっていたという。原作から若者をターゲットにした作品であるし、なるほどアトラクション的なスピンオフの宣伝が展開されるのも納得だ。

そんな若者に向けたエンタメ特化ホラーとして、7年の歳月を経てその“答え”を導き出したといえる『カラダ探し』を、映画とオンラインイベントの両方でぜひ楽しんでみてほしい。

(文:ヒナタカ)

【『カラダ探し』オンラインイベント情報】


◆イベント形式:オンラインホラーイベント
◆公演日:2022年10月14日(金)~12月4日(日)
◆開催時間:各日2回開催(19時~・21時~)
◆公演時間:約70分
◆チケット発売日:2022年9月26日(月)12:00~
◆注意事項:詳しくはこちら
※開演時間30分前より入室可能となります。開演時間の10分前までに入室し、チャットルームの選択および各設定を完了してください。
※終了時間は前後する場合がございます。あらかじめご了承ください。

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

(C)2022「カラダ探し」製作委員会

RANKING

SPONSORD

PICK UP!