観ればハマる沼ーー俳優・窪田正孝に惹かれる理由とは
『ある男』など、窪田正孝のここ数年のおすすめ作品
次にここ数年の出演作品の中から、おすすめの窪田正孝を紹介したい。■『初恋』:レオ
三池崇史監督と10年ぶりにタッグを組んだ『初恋』。
突然余命宣告をされた若きボクサー・葛城レオ(窪田正孝)が、偶然出会った少女・モニカ(小西桜子)を追っていた男(大森南朋)をKOする。さっき殴った男は警察で、ヤクザと結託して金儲けをするため、彼女を利用しているという。ヤクザと警察両方に追われることになったレオは、どうせ残り少ない命だとヤケクソでモニカと行動を共にする。
(C)2020「初恋」製作委員会
顔面がどアップになるシーンが多く、あらためて彼の「目がいいな」と思う作品だった。完全に巻き込まれて大変なことになっていく中で「死ぬ気になれば何でもできる」と自分を奮い立たせて立ち向かっていく姿に勇気をもらえる。
任侠ものの殺伐としたシーンが多い一方で、どこかユーモラスでクスっとなってしまうシーンや不思議なシーンも多いため、ぜひ一度観てみてほしい。
■『マイ・ブロークン・マリコ』マキオ
(C)2022映画「マイ・ブロークン・マリコ」製作委員会
メインビジュアルに写っているわけでもないし、そんなに出番は多くないだろう。そう思って観に行ったのに、あらためて「やっぱり窪田正孝、いいなぁ」と何度も思って帰ってきた。
彼が演じるマキオは、旅先でとある理由により困っていたシイノに見返りを求めず優しくしてくれる人だ。ストーリーが進むにつれ少しだけ彼について明らかになることもあるため、実際出番自体は予想通り多くはないのだが、じんわり心に残る役どころ。
窪田正孝を好きな方には絶対観てほしい作品だ。
■『ある男』谷口大祐/ある男X
(C)2022「ある男」製作委員会愛したはずの夫は、まったくの別人でしたーー 平野啓一郎の小説を原作に、衝撃のコピーが気になる映画が『ある男』だ。
弁護士の城戸(妻夫木聡)は、かつての依頼者の里枝(安藤サクラ)から、亡くなった夫・大祐(窪田正孝)の身元の調査を頼まれる。里枝は前夫との離婚後に大祐と出会い、再婚し子どもも生まれたのだが、大祐は仕事中の事故で亡くなってしまう。それから1年後、疎遠になっていた大祐の兄が里枝の元を訪れるが、彼の遺影を見て「この人、大祐じゃありません」と言ったのだ。大祐として生きた「ある男」は一体誰だったのか、どんな理由で他人の名前を名乗っていたのか。
(C)2022「ある男」製作委員会
窪田が演じる大祐(ある男X)が他の人の名前を名乗ることになった理由は、物語の中で明かされていく。詳しくは言えないが、彼の壮絶な過去も、演じる窪田正孝も凄まじかった。
「大祐」として生きたシーンと過去のシーンが全く別人を見ているようにも思えたし「ある男X」として生きた後に「大祐」として生きたことを考えたときに生まれる感情がある。この役は彼にしか演じられなかったとすら思う。
あらためて考える、窪田正孝に惹かれる理由
(C)2017「HiGH&LOW」製作委員会彼の演じた役とその演技を振り返ってきたが、あらためて彼のすごさに唸らされた。
まず、目がいい。「目力」とはまた違うのかもしれないが、少年のような純粋さと、意志の強さを感じる目をしている。彼の出た作品を振り返るとき、何かを見つめるところも、見上げるところも、目が忘れられないシーンが多い。そして笑うと八重歯が出て印象が柔らかくなるところもいい。
アクションも素晴らしい。童顔と細身からは想像のつかない、俊敏で力強い動きは見るたびに感動する。肉弾戦・武器・特殊能力、どれも完璧である。
そして「演技」という言葉を使うのもおこがましいと思ってしまうほどの演技力。「演じている」のではなく「その役を生きている」印象に近い。“演技”とはそういうものなのかもしれないが、これほど“本当に存在する人間のように”感じさせてくれる人もなかなかいないと思う。
巷で“リアコ枠”と言われることも、役であることを超えて彼の演じる役を好きになってしまうような引力を持っているからだろう。
唯一無二の存在感で、私たちの心を掴む窪田正孝。今度はどんな演技で、役で魅了してくれるのか、怖いけど楽しみでたまらない。
(文:ぐみ)
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