「silent」第8話レビュー:プリンの手話、覚えてしまった

川口春奈が主演、目黒蓮(Snow Man)が相手役となる「silent」が2022年10月6日スタート。

主人公・紬(川口春奈)は突然別れを告げられた元恋人・想(目黒蓮)と8年ぶりに再会。彼は難病により、ほとんど聴力を失っていた……。
音のない世界でもう一度“出会い直す”ことになった二人と、それを取り巻く人々が織り成す、せつなくも温かい物語。

本記事では、第8話をCINEMAS+のドラマライターが紐解いていく。

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「silent」第8話レビュー

2週間ぶりの待ち遠しい放送! 今回は、切ない場面もありながらも、ほっこり終わった回となった。
紬(川口春奈)の部屋で抱きしめあった紬と想(目黒蓮)。でも、まだ2人は付き合っていないらしい。

紬を幸せにし隊

その頃、紬の弟の光(板垣李光人)と紬の親友の真子(藤間爽子)は紬の元彼の湊斗(鈴鹿央士)の家で飲んでポテチをパーティー空けしていた。なんだかんだ楽しそうな3人、「紬を幸せにし隊」というLINEグループが作られ、知らぬ間に湊斗が隊長にされていた(隊長がいいならこのグループに想を入れてもいいらしい)。いや、別に湊斗は嫌じゃないんだろうけど、振ったとはいえ彼が身を引く形になったのに紬を幸せにし隊の隊長やらなきゃいけないのか……とちょっと思った(笑)。紬と想はなるなら勝手に自分たちで幸せになりそうなので、むしろ湊斗を幸せにし隊。

ついに明かされた、奈々(夏帆)と正輝(風間俊介)の過去

ずっと気になってたよ、知りたかったよその話……!
正輝の勤める手話教室の前に立っていた奈々。少しだけ話して、また来るねと去っていく。
後姿に「桃野さん!」と呼びかける正輝だが、もちろん振り返ることはなかった。
以前湊斗に「(耳の聞こえない人を)呼んでも振り返りませんよ」と言った彼らしくない行動だ。

「ニコッと笑う子だった。彼女が笑うと本当にニコッと音が出そうだった」
そんなモノローグから、回想は始まる。就活に苦戦していた大学生の正輝は、就活に有利になるためという理由で、耳が聞こえない学生のためにパソコンテイク(内容をPCでとること)のボランティアをしていた。
相手も耳が聞こえないから、コミュニケーションを取る必要もなくて楽だと、そんな冷めた一面のある人だった。

でも奈々の笑顔や、毎回最後にノートに「ありがとうございました」と書いて見せてくるところに少しずつ惹かれていった。

ある日、奈々が「授業サボりたいです。いつも横に人がいるから、みんなみたいにゲームしたり寝たりできない。一緒にサボってください」と話しかけ、2人で会うようになる。

パソコンテイク後の「ありがとう」を書いたやつを毎回見せればいいのに、と言うと「ありがとうって使いまわしていいの?」と返され、おそらくここで奈々を好きになる。ここで思い出すのは、自分が教えた手話を想が紬に教えたことを「プレゼント使いまわされた気持ち」と(手話で)言ったことだ。自分が人に対して誠実に接していたからこそ、裏切られたような気持になってしまったのかもしれない(もっともこれに関しては、前話で「おすそ分けした気持ち」に変わったが)。

「顔を見て話したいと思った。彼女の言うありがとうをそのまま受け取れる人になりたかった」
正輝のなかで何かが確実に変わった。奈々との仲を「障害があるほうが燃える的な? あの子はマジな障害ですけど」と言ってきた後輩に本気で怒っていた。

「奈々」と呼ばれて、聞こえないはずなのに振り返った奈々の、なんとかわいいことか。
「私の名前呼んだの?」「声が聞こえた」と無邪気に言う。
本当に2人は惹かれ合っていたんだと思う。

でも、正輝がよかれと手話サークルを立ち上げようとしたことに、手話通訳士のテキストが机に置かれていたことに、奈々は傷ついてしまった。あの人たちは手話をやりたいんじゃなくていい人だと思われたいだけだ、仕事にしてほしかったわけじゃない、と。
口論になり、「手話で話してよ! 唇読むの疲れる」「こっちだって手話するの疲れるよ」と売り言葉に買い言葉。どちらも言っちゃいけないことを言ってしまった感じだが、奈々は気持ちが高ぶるとひどいこと言ってしまうタイプなんだろうなぁ……。

「言葉は通じるようになったのに、顔を見て話せるようになったのに、押し付けた善意で終わった」

結局手話を仕事にした正輝は、どこかでずっと自分を責めてきたのかもしれない。
でも、再び遊びにきた奈々は「仕事にしたんだね、夢を叶えたんだね、おめでとう」「(紬と想が)うまくいってほしいって思ってる」と言った。奈々はもう大丈夫そうだ。話したことで、正輝も心のわだかまりが取れるといいのだが。

「ごめんね」と自分といることを気にする想に、紬は……

耳が聞こえない人向けの字幕ありの映画リストの中から映画を選んでもらうこと、カフェでバイト先の後輩(佐藤新)に会ったことなどから、自分と一緒にいると面倒だろうと謝る想。想が謝ることじゃないし、本当に気にしていないのに、なかなかわかってもらえない。

紬は里帰りし、母・和泉(森口瑤子)と再会。帰る前、光に「そういう人と付き合うって知って、お母さんに反対されたらどうする?」と言われてちょっと気にしている紬。紬と光の父が亡くなっているらしいことは何となくわかっていたが、紬がまだ小さく、光がお腹の中にいるときのことだったらしい。それはみんな、苦労をしただろうな。

あるとき、父は母に「もうお見舞いに来なくていいよ」と言ったらしい。「病気を治せるわけじゃないし、お父さんのために行ってるわけじゃないのにね」「ただいるだけなのにね」と、意気投合するお母さんと紬。途中から紬が思い浮かべていたのは、想のことだ。

それとなく想と再会し、耳が聞こえないことを伝えたら「で?」と返すお母さん。
「お母さん耳を聞こえるようにできるわけじゃないし、お母さんがやめなさいって言ったらやめるの? ならお母さんには関係ない」と言う。すごく素敵なお母さんだ。早くに夫を亡くし、今は子どもたちが巣立って一人暮らしだけど、いろいろと趣味も見つけて楽しそう。紬の性格はこの人の娘だからなのだろうとすごく納得した。

たくさんお土産を持たされ、「実家から帰るとき荷物増える現象に名前ほしいわ〜」と言う紬に「親の真心。言葉じゃ伝えきれないから物に託すの」と返した和泉。ああ、なんか本当にいい人だ。ちなみに、森口瑤子はこの作品の脚本家・生方美久が尊敬する人気脚本家・坂元裕二の妻。この縁にひそかに興奮する人、結構いるのではないだろうか。

プリンの手話

今回、やたらと出てきたプリンとプリンの手話。ばっちり覚えてしまったし、手の上でぷるぷる揺れるプリンがかわいい。そして夜なのに、プリンが食べたくなってしまった。

次回、実家に帰る想。つらい予感しかしない……。

紬の話を聞き、避けていた実家に帰る想。でも、予告を観た限りではつらいシーンがありそうだ……。
話を進めずいろいろ振り返っていくこの作品、くせになりそう。終わりが近づいているのがさみしい。無理だと思うけど、できたら終わらないでほしい。

(文:ぐみ)


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