「舞いあがれ!」IWAKURA のピンチに山田が、章が、そして悠人が?<第75回>
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2022年10月3日より放映スタートしたNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」。
本作は、主人公・岩倉舞(福原遥)がものづくりの町・東大阪と自然豊かな長崎・五島列島で人との絆を育みながら、空を飛ぶ夢に向かっていく挫折と再生のストーリー。
ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。今回は同作の第75回を紐解いていく。
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設計する人がいないって……
舞(福原遥)が薄型テレビのネジの受注をもらって帰社すると、社員がみんな私服に着替えて待っていました。山田(大浦千佳)は図面を見るまで信用できないからと言います。相変わらず、口が悪く、お嬢さん呼びもどこか小馬鹿にして聞こえますが、舞が大口の取引を成立させたとあれば見る目も変わるようです。喜んだのもつかの間、ネジの設計ができるひとがいません。そんなアホな……。この会社、どういうふうに人員整理したの? と思ったら、辞めた章(葵揚)から託されたという尾藤(中村凛太郎)が名乗りをあげました。
おお!と盛り上がったら、機械が壊れて、振り出しに戻ります。
上がったり下がったりウェーブの高低が激しい。
納期まであと1ヶ月。さてどうする?というところで舞が章に電話、協力を要請します。
章が正規の仕事のあとに手伝ってくれると聞いたほかの職人たちは、辞めていった者に図面を渡すなんて……とぶつくさ言います。
章に合わせたら残業になりますから。残業手当なんてつかないですから。
そのとき真っ先に、手伝うと手をあげたのがーー山田でした。
どよどよーー。
さらに手伝うと言うのが、土屋(二宮星)。
女性ばっかりです。彼女たちに引っ張られて、みんな章といっしょにネジ開発に励みます。
こういう人情もの、みんな大好きですよね。とはいえ、山田が残ってもなんの意味もないと思ったら、買い出しなどを率先してやります。遅くまで残って働いていますから、なにか食べたいですものね。それってめぐみ(永作博美)や舞が気づくことなのでは……。
山田という人を印象づけたいがために状況を捻じ曲げている感じに引っかかるひとと、気づいていても気にしないひと、そんなこと気づきもしないひとが世の中にはいます。
章に戻って来てほしいけれど、彼に給料が出せないことを悩むめぐみはついにある決意をーー。
山田に辞めてもらって章に戻ってもらったほうがいいとどうしても思ってしまいます。第74回から75回にかけて山田がようやく意地悪じゃなくなってホッとしているひと、大喜びのひと、いろいろでしょう。個人的には、山田のような抜け目ない、状況によって態度を変える人物は苦手です。意地悪な態度を改めて好意的な態度になれば万事解決ってこともないと思うからです。勤務態度が悪いのは事実なので。
これが経営安泰な会社だったらともかく、明日をもしれない会社にぶつくさ言いながら居座って合コン三昧していて、意地悪していた社長の娘が儲け仕事をもってきたらすぐ食いついて手伝うと言い出す、というバランスの悪いひとをなぜ描くのか。
でもIWAKURA全員が清らかな善人だったらそれはそれで禅寺のようで居心地悪いので、やっぱり山田みたいなひとがいていいのでしょう。それが俗世です。
【朝ドラ辞典 一致団結(いっちだんけつ)】朝ドラに限ったことではないが、なにかあって、関係者が一致団結するのは感動ポイント
(文:木俣冬)
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