「虎に翼」雲野先生(塚地武雅)、志半ばで天国へ<第111回>
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2024年4月1日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「虎に翼」。
日本史上で初めて法曹の世界に飛び込んだ女性をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。困難な時代に生まれながらも仲間たちと切磋琢磨し、日本初の女性弁護士となるヒロイン・寅子を伊藤沙莉が演じる。
ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。今回は、第111回を紐解いていく。
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竹中記者(高橋努)、裁判に現る
「あんな最期あるかね?」「あさイチ」で博多大吉さんが朝ドラ受け。
人権派弁護士の雲野(塚地武雅)が急逝してしまいました。
4年もかかった原爆裁判の準備手続きが終わり、翌年2月にいよいよ第一回口頭弁論が行われることになったときで、気合を入れて梅子(平岩紙)のおにぎりをつかんだところで倒れ、そのままーー(塚地さんの倒れ方がじつに見事)。
「あさイチ」にゲスト出演した塚地さんは「天国からお届けしております」と挨拶していました。
今朝の「あさイチ」は博多華丸大吉、塚地武雅の芸人3人のトークでとてもしっくりするムードでした。やっぱり話芸のプロ同士。
話をドラマに戻します。
戦争前後はいろいろ遺恨もあったけれど、寅子(伊藤沙莉)もそれなりにお世話になった雲野です。でも、原爆裁判の判事を担当する寅子は、よね(土居志央梨)に注意されてお葬式出席を遠慮しました。
第23週「始めは処女の如く、後は脱兎の如し?」(演出:梛川善郎)
昭和34年から35年へ時間が駆け足で進みますが、時の流れのなかで主要人物がじょじょに変化しています。
雲野は亡くなり、すし屋の笹山(田中要次)も道男(和田庵)の様子から元気ではないのではないかという気がします。裁判の傍聴にも来なかったので(原爆裁判に一般の傍聴がゆるされていたかはわかりませんが)。
寅子は更年期の症状が出てきているように見えますし、百合(余貴美子)は物忘れが顕著になってきました。のどか(尾碕真花)の名前が出てこないのはショック。
極めつけは、原爆裁判に遅れて傍聴にやって来た竹中記者(高橋努)。ずいぶんと白髪頭になって、動作もゆったりしています。
戦後から15、6年が経過していますし、年をとるのも無理はありません。むしろ、登場人物たちが変わらなすぎる。花江(森田望智)なんて孫もできたのに、白髪染しているのでしょうか。若々しい。
道男や直明(三山凌輝)は出てきたとき、大人過ぎていたので、最初から何歳なのかよくわからないし。
更年期、物忘れと、高齢者がぶちあたる問題をまぶしても、やや唐突で実感わかないところ、ものすごーく老いた人物が出てきて、ようやく年月を感じます。玉手箱を開けたらおじいさんになった人、みたいにも見えますが。
一方で、優未(毎田暖乃)が高校生になって、大人ぽくなりました。毎田暖乃さん、また別の優未役が登板したのかと一瞬思うほど、雰囲気を変えています。今回、あまり活躍の場がないですが、役割の認識と仕上がり具合が
徹底しています。すばらしい。
つまり、世代交代が起こっているけれど、あの戦争についてはまだ解決していない。新たな世代が引き継いでいかないといけない状態を描いているのだと思います。
「決して風化させないためにいま動かねば」
(雲野)
倒れる間際の雲野の言葉はまるで遺言のようでした。
長崎地裁で判事補をしている朋一(井上祐貴)が星家に送ってきたはがきは長崎の平和の像で、寅子の裁判を応援しているかのように見えます。
さて、今一度塚地さんの話。
塚地さんは目下、朝ドラ出演者が9人も重なって出ている「新宿野戦病院」(フジテレビ)にも出演していて、「あさイチ」でも「まごころ病院に」といじられていました。
昨日は、日本テレビの24時間テレビで、能登の応援に、能登が舞台だった朝ドラ「まれ」(15年度前期)が取り上げられていて、塚地さんがナレーションをやっていました。塚地さんは「まれ」にも出ていたのです。すっかり朝ドラファミリーとして欠かせない存在となっているように見える塚地さん。次に出演されるのはいつでしょう。
(文:木俣冬)
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