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『バイオレント・ナイト』が『ダイ・ハード』と『ホーム・アローン』を悪魔合体させた大傑作である理由



『ホーム・アローン』履修済みの少女と協力する!

さらに『ダイ・ハード』的要素がもう1つ。それは、主人公が武装した犯罪者集団と基本的には「孤軍奮闘」する一方、無線(トランシーバー)でとある人物と連絡を取り合う点だ。『ダイ・ハード』で連絡するのは警察だったが、この『バイオレント・ナイト』で通じ合うのは、サンタさんが大好きで、その存在を信じている、人質に取られている純粋な少女なのだ。

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この2人がどのように間接的に協力し合い、事態の解決に挑んでいくか、ということも見所だが、さらに愉快なのは、この少女が『ホーム・アローン』が大好きだということ。『ホーム・アローン』の内容は言わずもがな、子どもが家にやってきた泥棒を、さまざまな「トラップ」にかけるコメディなのだが……この『バイオレント・ナイト』では、少女がある出来事をきっかけにして犯罪者集団から逃げ出し、そして案の定『ホーム・アローン』から学んだトラップを仕込むことになる。

それがどうなるのか……は観てのお楽しみ、というかR15+指定作品だからこその期待通りの内容になるということだけは告げておこう。思えば、『ホーム・アローン』のトラップには、ガチで死につながりかねないものも、特に『ホーム・アローン2』ではめちゃくちゃエグいこともやっていたではないか。むしろ、『ホーム・アローン』みたいなトラップを本当に仕掛けたらガチで残酷なことになるからやっちゃダメという正しい教訓も得られるくらいである(※ただし子どもは観てはいけません)。

そして、少女がサンタさんを心から「信じている」ことも物語に深く関わり、そして後述する物語の感動にもつながってくる。サンタさん(本物)が主人公かつ、『ダイ・ハード』と『ホーム・アローン』が悪魔合体した必然性が確かにあるのだ。

また、(言うまでもないが)この『バイオレント・ナイト』は『ダイ・ハード』と『ホーム・アローン』を観ていなくても全く問題なく楽しめる。めちゃくちゃ面白い映画2つが合体してサンタさん(本物)が加わったらめちゃくちゃ面白い映画ができたという前提だけで観るのもOKである。

かつてサンタさんを信じていた大人に送る、まさかの感動!

ここまで書くと、エンタメ重視で中身のない内容かと思われるかもしれないが、そんなことはない。筆者は「子どもの頃から思い描いていた光景」を観た時点で泣いたと前述したが、終盤の真っ当すぎるほどに真っ当な感動的な展開にも涙したのだから。

もちろん具体的な感動の理由はネタバレになるので避けるが、そもそもの初めこそやさぐれていたサンタさん(本物)が、自分を信じてくれる少女のために一生懸命に戦うという基本のプロットにもグッと来る。ファーストシーンのやさぐれ具合には笑ってしまうが、同時に「サンタさんだってそういう愚痴を言いたくもなるわな……」と同情をしたくなったし、だからこそサンタさんさんが大好きな少女との刹那的な友情、その純粋さにも泣かされるのである。

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加えて、敵の大ボスが「スクルージ」という、『クリスマス・キャロル』の主人公の名前であることも意味深だ。『クリスマス・キャロル』におけるスクルージは守銭奴で、冷酷で、人間の愛情などと無縁の日々を送る悲しい初老の男だが、この『バイオレント・ナイト』のスクルージには……違う理由で同情してしまう方もきっといるだろう。ちなみにスクルージを演じたジョン・レグイザモは『ダイ・ハード2』に出演している。

そして、本作は「信じること」の素晴らしさを説いているとも言える。映画に限らず創作物は、「こうだったら」という夢を形にしてくれる素晴らしいもの。この『バイオレント・ナイト』は物語上でもかつてサンタさんを信じていた大人に送る最高のプレゼントだ。サンタさんが少女のため、自分をナメまくっていた武装した犯罪集団をボッコボコにする夢を叶えてくれてもいいじゃないか。映画だもの。

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