「舞いあがれ!」貴司(赤楚衛二)がマスオさん状態<第98回>
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2022年10月3日より放映スタートしたNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」。
本作は、主人公・岩倉舞(福原遥)がものづくりの町・東大阪と自然豊かな長崎・五島列島で人との絆を育みながら、空を飛ぶ夢に向かっていく挫折と再生のストーリー。
ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。今回は第98回を紐解いていく。
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【朝ドラ辞典 新婚生活(しんこんせいかつ)】ヒロインが波乱万丈のすえ、結婚するとしばらくは夫婦のほのぼのした生活が描かれる。このまま出産してホームドラマ化して終わってしまうと良作にはならず、なにかしら一波乱、必要。
類語:平和な日常
舞(福原遥)と貴司(赤楚衛二)が結婚し、岩倉家の2階をリフォームして暮らし始めました。
婿に入ったわけではないが、妻の家に住むのは「サザエさん」のマスオさん状態です。
貴司はノーサイドの二次会ではみんなの写真を撮る係になっていて、新婚生活でも舞とめぐみ(永作博美)の傍らでおとなしくしています。もともとおとなしい人物とはいえ、こんなに会話が弾まないものなのでしょうか。小津安二郎の映画のような静けさであります。
もともと大阪が舞台のドラマにしては、会話が弾まない「舞いあがれ!」。でも大阪だからどの家庭も吉本みたいにポンポン会話が弾むわけではないでしょう。むしろ、親しい者同士のほうが会話は少ないとも言えます。それにしても、静かで穏やかですよね。やっぱり小津安二郎を思い出してしまいます。
平和な日常だね 血が騒がない?
(リュー北條)
リュー北條(川島潤哉)は貴司を焚き付けます。たぶん、家庭に埋没したら短歌ができなくなると心配しているのでしょう。
でも、岩倉家は、暇そうな貴司に家事を任せようとはしません。自分の時間を持ってほしいと考えます。理想的な関わりですね。
さて、IWAKURAにも変化が訪れます。長年、会社に尽力してきた笠巻(古舘寛治)がギックリ腰をきっかけに退職することになりました。第20週の舞のブログのインタビューで69歳だったことがわかりました。本来とうに退職していいところ、働いていたわけです。
IWAKURAが年配の社員を大事にしていることがわかります。働きたい希望者にはいつまでも働いてもらう懐の深さ。あるいは、働き手が足りないのでいてもらわずを得なかったか。
いずれにしても笠巻は働きたくて働いていたわけですが、カラダにがたが来ていました。渋かっこいい職人キャラだった笠巻さんががぜん、さみしい老人キャラに。妻を亡くし、嫁と孫と離れ、寂しい生活を送っていることが判明します。
孫と作りたくてプラモデルが家にたくさんあるという状況が孤独を物語ります。そんな話を訊いたら舞はまたいてもたってもいられなくなるのです。
「おはよう日本関東版」では天気のニュースで朝ドラ送りはありませんでしたが、関西版では由良先輩がパイロットになったことを喜んでいました。確かに。由良先輩は自分の夢を叶えたのです。第98回では北條が史子(八木莉可子)が歌人として活躍をはじめたと伝えます。おひとりさまでも失恋してもそれぞれの道を歩んでいるのです。
(文:木俣冬)
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