「ブギウギ」羽鳥が上海で出会った黎錦光とは<第62回>


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2023年10月2日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「ブギウギ」。

「東京ブギウギ」や「買物ブギー」で知られる昭和の大スター歌手・笠置シヅ子をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。歌って踊るのが大好きで、戦後の日本を照らす“ブギの女王”となっていく主人公・福来スズ子を趣里が演じる。

ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。今回は、第62回を紐解いていく。

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踊る、愛助

「見てください、あそこで布団干しているのは、福来スズ子やで スイングの女王やで」

スズ子(趣里)愛助(水上恒司)の看護を献身的に行ったからか、愛助はじょじょに良くなっていました。

カラダの調子が良くなってふと気づく、スター・スズ子を家で働かせていていいものかということ。
「歌って踊るのがスズ子さんの幸せやろ」

もっと早くに気づかんかい。と思いますが、若いし、大好きな福来スズ子とつきあえるようになって舞い上がる気持ちもわかります。手に入ってはじめてわかる、スズ子はこんなところにいる人ではないということ。でも、目の前で、あのスズ子が鼻歌歌って踊る姿を自分だけが見ていられるというのは、ファンとしてはたまらないでしょう。思わず、自分まで踊りだしてしまいます。

仲睦まじいふたりにほだされて、スズ子と愛助を応援する気になった坂口(黒田有)トミ(小雪)に、ふたりの仲を認めてもらうように頼みにいきます。

「わては言い訳聞かされるのが一番嫌いなんや」
「わては嘘つかれるのが一番嫌いなんや」
「わては屁理屈聞かされるのが一番嫌いなんや」

トミはきっと「ここ笑うとこでっせ」と心で思っていたことでしょう。

言い訳も嘘も屁理屈も抜きで本音でトミに頼み込んだ坂口。
交際は認めてもらえなかったけれど、山下(近藤芳正)をマネージャーにつけることは認めてもらえました。

トミは福来スズ子の実力は認めているのでしょう。

その頃、羽鳥(草彅剛)は上海にいました。
そこで出会った、音楽家・黎錦光(浩歌)

羽鳥と黎錦光が食事をしている店で、日本の軍人が横暴な態度をとったところ、店員が日本語をわからないふりをして交わします。それを見て、羽鳥は日本人を恥じますが、黎錦光は、日本人にも中国人にもいろいろな人がいると諭します。ここは
重要であります。日本人だからとか中国人だからとかではなく、言動は個人個人の特性からくるものです。

いろいろな言語があって、わからない人はわからない、わかる人にはわかるというのは、先日草彅さんが主演した「デフ・ヴォイス法廷の手話通訳士」にも重なります。草彅さんがそこで演じた役は、聞こえない親をもつ聞こえる子供・コーダであることを生かして手話通訳士になり、聞こえる者と聞こえない者の橋渡しをします。「ブギウギ」の羽鳥は上海で、日本人と中国人の間で、何を見つめるのでしょうか。

黎錦光は実在の人物であり、李香蘭のヒット曲「夜来香」を作曲しています。羽鳥のモデル・服部良一と上海で友情を育みました。

浩歌(HAOGO )さんは「中国で最も有名な日本人」と言われています。中国人かと思ったら日本人なのです。以前は矢野浩二さんという名前で活動していました。
中国で活躍しているとはいえ、日本人だからなのか、いかにも中国人が日本語をたどたどしく話しているふうでした。

22年、松下洸平さんが服部良一を演じた音楽劇「夜来香ラプソディ」は2人(+李香蘭)の友情物語でした。服部良一の上海滞在中の出来事はかなりの情報量で、これだけでひとつの物語ができてしまうものです。「ブギウギ」ではどの程度扱われるのか。できればたっぷりやっていただきたい。


(文:木俣冬)

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