続・朝ドライフ

SPECIAL

2024年06月27日

「虎に翼」茨田りつ子登場も、その前の光三郎とすみれの件がおぞましすぎた<第64回>

「虎に翼」茨田りつ子登場も、その前の光三郎とすみれの件がおぞましすぎた<第64回>


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2024年4月1日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「虎に翼」。

日本史上で初めて法曹の世界に飛び込んだ女性をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。困難な時代に生まれながらも仲間たちと切磋琢磨し、日本初の女性弁護士となる“とらこ”こと猪爪寅子を伊藤沙莉が演じる。

ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。今回は、第64回を紐解いていく。

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どいつもこいつも

寅子(伊藤沙莉)多岐川(滝藤賢一)と共に、「愛の裁判所」をアピールするためにラジオ番組に出演します。聞き手のひとりは、あの婦人運動家?の立花(伊勢志摩)でした。

寅子は、女性(ご婦人方)はか弱いという認識を否定し、戦う女性、戦いたい女性を応援するとラジオを通して語ります。あれ、女性だけじゃなくて弱き者のために仕事するのではなかったでしたっけ。それはモデルの三淵嘉子さんでしたっけ。ごっちゃになっております。

女性たちが誰かの犠牲にならず自ら自分の幸せをつかみとるためにがんばる寅子は、ある晩、小橋(名村辰)と街を歩いていると、光三郎(本田響矢)すみれ(武田梨奈)と抱き合っているところを目撃。
ひとりでは抱えきれず、よね(土居志央梨)轟(戸塚純貴)に報告します。
「男ってのはどいつもこいつもくそ」と怒るよねに、
「男をひとまとめにするな」と轟。
轟がいなかったら、この番組の男性陣の立場はひたすら低かったでしょう。

よねと轟がこの事実を大庭家に報告すると、当然、みんなも唖然。
「最近、頼もしかったのは恋の力ってやつか」と次男・徹次(堀家一希)がにやり(63回もそうでしたが、彼が話しているとき、いつも顔が映ってないんですよ。かわいそうに)。
「おぞましい」と常(鷲尾真知子)。
「恋をすると笑顔になる」と猪爪家で言っていたことと、大庭家の問題が重なっておりました。

どう考えても性悪なすみれにたぶらかされた感じですが、光三郎はすみれの肩を持ちます。お父さんに縛られていた彼女を自分が幸せにしたいと主張します。偽遺言書のことも光三郎は知っていたのかもしれません。

梅子(平岩紙)も寅子も光三郎がいい子に育ったととても喜んでいたのに。いい子ではあるのでしょうけれど、人の良さのベクトルが間違ってました。常の「おぞましい」という気持ち、わかります。

「ごめんなさいね、いつもあなたの大切な人を奪って」とすみれがいやな感じに言うものだから、どう考えても光三郎はたぶらかされてしまったとしか言えないでしょう。すみれにも事情があるように描かず、人間の弱さとかだらしなさとかずるさとかをここで描いてしまう思い切りには感心します。

梅子は「もうだめ 降参 白旗を振るわ」「わたしは全部失敗した」と潔く認めると、民法730条の「家族は助け合う」を使って、なんとかするように言って「お互い誰かのせいにしないで自分の人生を生きていきましょう」と去ります。
「ごきげんよう」という平岩紙さんの言い方が振り切った喜劇調で、このとんでもない顛末をちからわざでまとめてくれました。さすが。

梅子が相続を放棄し、3兄弟は財産を三等分することになり、一件落着。

相続問題が終了したので、私的にも会えるようになった寅子と梅子、花江(森田望智)を誘って、復活した竹もとでおしるこをすすりました。

かつては、女性が戦う術がなかったけれど、いまや法律を逆手にとって戦うことも可能であるという現実に、梅子も寅子も晴れ晴れした気持ちになるのです。そのために、光三郎とすみれという衝撃の展開をもってくるのがすごいなあとつくづく感心するばかり。

そして、久藤(沢村一樹)のコネで、人気歌手・茨田りつ子(菊地凛子)がコンサートに出演することが決まりました。りつ子は、家庭裁判所のポスターのモデルにも。
福来スズ子(趣里)には断られてしまったようですが、多岐川が福来スズ子ファン(?)であることをりつ子が知ったら引き受けてはくれなかったでしょうね。

念のため、茨田りつ子は前作「ブギウギ」の主要登場人物です。ちょうど、「虎に翼」と同じ時代を描いていて、主人公のスズ子と寅子は同い年です。
「下品ね」というセリフは、りつ子のおなじみのワードです。足立紳さんが脚本協力でクレジットされていたので、セリフを書いているか監修しているのでしょう。

ちなみに、史実では、多岐川のモデルの宇田川潤四郎は裁判所の資金作りのために、京都の劇場でチャリティの免税興行を行ったりしていました。主として演劇公演をやっていたようです。
ポスターのモデルは水谷八重子(初代)でした。久藤のモデル・内藤頼博のコネだったそうで、このエピソードがアレンジされてドラマになっていると見られます。
順番としては、ポスターのあと、ラジオでさらに裁判所のアピールをしたようです。
(参考:「家庭裁判所物語」清永聡著 より)

(文:木俣冬)

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