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2023年02月26日

「Get Ready!」第8話:妻夫木聡の涙が切ない……命の価値にこだわるエースの過去が明らかに

「Get Ready!」第8話:妻夫木聡の涙が切ない……命の価値にこだわるエースの過去が明らかに

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妻夫木聡主演のドラマ「Get Ready!」が2023年1月8日放送スタート。

本作は、多額の報酬と引き換えに、手段を選ばず患者の命を救う正体不明の闇医者チームの活躍を描いたダーク医療エンターテインメント。闇医者チームのメンバーには、主人公で孤高の天才執刀医・波佐間永介(通称:エース)を妻夫木、その相棒である交渉人・下山田譲(通称:ジョーカー)を藤原竜也、凄腕オペナース・依田沙姫(通称:クイーン)を松下奈緒、若き万能ハッカー・白瀬剛人(通称:スペード)を日向亘が演じる。

本記事では、第8話をCINEMAS+のドラマライターが紐解いていく。

「Get Ready!」第8話レビュー


法外な報酬と引き換えに、普通の医療では救えない患者の命を繋ぐ闇医者チーム。だが、チームの執刀医が患者に求めるのはお金だけじゃない。生きる価値だ。

彼はなぜ、生きる価値にこだわるのか。「Get Ready!」第8話では、ついにエース(妻夫木聡)の過去が明らかとなる。

ジョーカー(藤原竜也)に促され、自分がまだ“天野真一”という名前だった頃のことを語り始めるエース。13年前、外科医として優秀な腕を持つ天野は真田博(榎木孝明)が院長を務める大和医大に勤めていた。

エースは真田のことを「この世でたった一人、俺が尊敬する医者だ」とジョーカーに語る。だが、医師の役目は患者の命を救うことであり、オペの技術こそがその価値を決めると信じて疑わなかった当時の彼は「オペは完治の入り口でしかない」という持論を持つ真田に反発。剣持理三(鹿賀丈史)率いる千代田医大へ籍を移した。


剣持は天野をすぐに気に入り、彼を自分の後継者に据えた。だが、想像をはるかに超えた技術力を誇る天野を見つめる剣持の顔は次第に嫉妬で歪んでいく。そして、剣持の天野に対する憎悪は、大和医大から転院してきた堂前(松澤一之)という患者が自分の手術を担当する執刀医に天野を指名したことで最高潮に達するのだった。

自分の頭上にある空が徐々に曇っていくことに気づかない天野が出会ったのは、青葉(志水心音)という名の少女。肺に持病を抱える青葉はドナーを待ちながら、退院後の生活に思いを馳せていた。

そんな青葉に天野は「先生がきっと治すから」と約束する。生きようとする患者に寄り添い、支え続けること。天野は真田に反発しながらも、彼が語る医師としての使命を自然と全うしていた。


だが、その裏では剣持が天野を貶めるための計画を進めていたのだった。予定通り、自分を執刀医に指名した堂前の手術を担当する天野はいつもと変わらず、見事な手さばきでドナーからの肺を堂前に移植する。まさかその手術が自分の運命を大きく変えるとは知らずに……。

臓器提供の順番は厚生労働省で定められた移植希望登録者(レシピエント)の選択基準により公正公平に選ばれる。それに基づくと、堂前に移植された肺は本来青葉に移植されるものだった。

そのため、移植斡旋組合の人間が臓器横流しの罪で逮捕される。そして手術直前に、天野が堂前の転院元である大和医大の真田に会っていたこと。その後、真田の口座に不自然な振込が数件あったことから、二人もまた嫌疑をかけられることに。あらぬ疑いを晴らすべく戦うこともできた。だが、天野はその気力を奪われることになる。次のドナーが見つかる前に青葉が亡くなったのだ。


社会的貢献度のある人間の命を優先すべき。価値ある命を救ってこそ、多くの命を救える。……そうした大人たちの身勝手な考えに青葉は殺されたともいえるだろう。

「あなたがもし命に優先順位をつけたのであれば、青葉に娘に生きる価値はなかったのでしょうか」と青葉の母・広江(菊池亜希子)に問われる天野。彼の記憶に残るのは、臓器提供の順番を待ちながらただ懸命に生きる青葉の姿だった。

その後、天野の恩師である真田も、自分にかけられた疑いを晴らすべく裁判に明け暮れるが、無実を証明する前に帰らぬ人となる。真田は死の直前、バイクで単独事故を起こし、大和医大に運ばれてきた天野の命を救った。


「天野くん、君は生きるんだ。君は私の未来だ」

病室で真田が自分にかけてくれた言葉を天野は知らない。だが、真田の死後、妻・春子(根岸季衣)の口から真田が天野に自分の未来を託そうとしていたことが伝えられる。

真田は天野に表舞台で活躍してくれることを願っていただろう。しかし、天野は闇医者になることを選んだ。それは権力を持った人間の采配によって、患者の命が左右される医療界に絶望したのもあるだろう。

同時に、エースは「あんたの命を救ったとして、生き延びる価値はあるのか?」という問いを通して、患者候補の人間に青葉の姿を見ようとしていたのかもしれない。誰かを傷つけるためでも、何かを奪うためでもなく、「学校でみんなといっしょにべんきょうしたい」「休み時間にみんなでおにごっこをしたい」という純粋な願いのために生きようとする青葉の姿を。自分が救えなかった命を、エースは救おうとしているのだ。しかし、彼の正体にとうとう警察も辿り着き、この物語も最終章へと突入する。

(文:苫とり子)

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