「夕暮れに、手をつなぐ」7話:きっと空豆(広瀬すず)も「信じて」と言ってほしかった
広瀬すず主演、永瀬廉(King & Prince)が共演する火10ドラマ「夕暮れに、手をつなぐ」が2023年1月17日放送スタート。本作は、片田舎で育った女の子・空豆(広瀬すず)と、都会の平凡な男の子・音(永瀬廉)の、互いの夢を応援し合う青春ラブストーリー。共演は田辺桃子、黒羽麻璃央、松本若菜ら。
本記事では、7話をCINEMAS+のドラマライターが紐解いていく。
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「夕暮れに、手をつなぐ」7話レビュー
メジャーデビューを目前に控えた音(永瀬廉)の相方として、セイラ(田辺桃子)がそのポジションにおさまった。最初は「自信がない」と辞退しようとしたセイラだけれど、音や空豆(広瀬すず)の猛プッシュもあり、覚悟を決める。音の渾身の一曲「きっと泣く」のMVは、空豆が作った“おはじきのドレス”を着用したセイラが顔出しで登場したこと、インフルエンサーが広めたことも相乗効果を生み、どんどん人気を高めていく。
物語中盤においては、いきなり存在感が薄くなってしまったセイラ。しかし、前回の終盤で歌の才能を見出されてからというもの、7話の主人公はセイラだと思ってしまうくらいに印象を残した。「きっと泣く」は名曲で、そのまま歌として配信してほしいレベル。MVも全編があるならぜひ公開してほしい。
一人で過ごす夜が寂しいと言っていたセイラ。その気持ちは、もしかしたら今も変わらないのかもしれない。けれど、音や空豆と出会ったセイラの目には力がある。
一人でいるのは寂しい。けれど「つながったら余計、寂しくなる。一人のときが余計、寂しくなる」と漏らしたセイラに対し、空豆と音は自分の言葉で向き合った。音の「ちょっと勇気が要るかもしれないけど、信じて」の一言は、深くじんわりとセイラの心に沁みたはず。
そしてきっと、「信じて」と言ってほしかったのは、空豆も同じだったはずだ。
正式にセイラとユニットを組むことになった音は、まだ顔出しこそしていないものの、これからのことを考えて下宿から引っ越すことを決める。空豆とは、はなればなれになってしまう。
みんなで紅白にいこうね、と三人で指切りをした音・空豆・セイラ。紅白に行くということは、つまり国民的アーティストを目指すということで、イコール売れるということ。空豆自身もそれは分かっていたはずだけれど、いざ出ていくことを決めた音に対し「気取ってる」と辛辣な言葉をぶつけてしまう。
終盤、夕暮れのなかで手を繋ぎながら、いつか一緒に花火を見ようと約束する音と空豆。音は空豆に「離れても、俺たち何も変わんない」と言った。それは、果たしてほんとうに空豆がほしい言葉だったのだろうか。
音がセイラに言ったように、どこにも行かない、信じてほしいと言ってほしかったんじゃないだろうか。叶う確率の低い夏の夢なんて、語ってほしくなかったんじゃないだろうか。
音も空豆も、そしてセイラも、これまで知らなかった自分を発見して、前に進もうとしている。前に進むことは、時間を進めること。時間を進めることは、ときにお互いの距離を離してしまう。たとえ、誰も望んでいなかったとしても。
「離れても変わらない」ではなく、「変わったとしても離れない」と約束してほしかったのでは……。空豆の心境を想像しながら次回を待つ一週間が、なんとも苦しい。
(文:北村有)
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