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2023年03月10日

【日本アカデミー賞】歴代最多受賞作品TOP5を振り返る!

【日本アカデミー賞】歴代最多受賞作品TOP5を振り返る!



映画業界最大の祭典第95回アメリカアカデミー賞の授賞式が3月12日(日本時間13日)に控える中で、日本でも第46回日本アカデミー賞が3月9日(金)に授賞式が行われます。

投票制度や会員構成など賞レースのオオトリを務め、前年の日本映画の総決算イベントであることは間違いありません。

今年は石川慶監督の『ある男』が正部門15部門の内、12部門13優秀賞(日本アカデミー賞ではノミネート作品が優秀賞、受賞作品が最優秀賞と呼称)を果たしました。

他にも『ハケンアニメ!』から『シン・ウルトラマン』まで幅広い作品が並んでいます。

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大手偏重?近年の受賞傾向は?

 (C)2021「ドライブ・マイ・カー」製作委員会

特に映画ファンからは大手偏重と言われる日本アカデミー賞について、近年の受賞結果を振り返って見ると、ここ数年はいわゆる邦画大手(東宝・東映・松竹・KADOKAWA)以外から選ばれています。

■第42回~第45回の受賞結果

  • 『万引き家族』(配給:ギャガ)
  • 『新聞記者』(配給:スターサンズ)
  • 『ミッドナイトスワン』(配給:キノフィルムズ)
  • 『ドライブ・マイ・カー』(配給:ビターズエンド)

大手作品としては、第41回の『三度目の殺人』まで遡ります。本作はギャガと東宝の共同配給作品で、大手単独配給としては第40回の『シン・ゴジラ』です。

本家アカデミー賞を筆頭に、映画賞にも多様性を求められるようになった流れが少なからず日本アカデミー賞に波及していると言えるかもしれません。

歴代最多受賞作品TOP5

■第1位は社会現象を起こした『Shall we ダンス?』


日本アカデミー賞の最多受賞作品は、第20回の周防正行監督の『Shall we ダンス?』で、なんと13部門を受賞。映画賞というとどうしても文芸作品・社会派作品が受賞するというイメージがあるかと思いますが、周防正行監督が“社交ダンスブーム”を巻き起こした一品が歴代最多受賞作品です。

役所広司演じるまじめな中間管理職のミドルエイジクライシスを描いたという一面もありますが、作品はあくまでもコメディ。

周防正行監督は第16回でも学生相撲をとりあげた『シコふんじゃった。』で受賞した経験がある人で、本作ではその流れを更に拡大させた“普段の生活”ד思わぬ世界”の映画でした。

『Shall we ダンス?』は興行面で成功納め、リチャード・ギア、ジェニファー・ロペス主演でハリウッドリメイク版も作られました。

役所広司はこの頃から“映画賞無双”状態に入ります。この年から日本アカデミー賞では2年連続最優秀賞(プレゼンターとして登場して自分の名前を読み上げる!)を含む7年連続優秀賞受賞という記録を樹立します。

その後も優秀賞の常連となり、近年でも第41回(『三度目の殺人』)で最優秀助演男優賞、翌年の第42回『狐狼の血』)で最優秀賞主演男優賞を受賞しています。

■第2位は『たそがれ清兵衛』『ALWAYS三丁目の夕日』


日本アカデミー賞最多受賞記録第2位は12部門受賞で2作品が並んでいます。

1作目は第26回の『たそがれ清兵衛』

山田洋二監督が初めて手掛けた時代劇ということでも、大きな話題を呼びました。本家アカデミー賞でも外国語映画賞(現、国際長編映画祭賞)にノミネートされました。本作は山田洋二監督が初めて時代劇を手掛けたということに加えて真田広之・宮沢りえ・田中泯といった実力派キャストが並んだ見ごたえたっぷりの映画です。

この成功を受けて山田監督による『隠し剣 鬼の爪』『武士の一分』へと続く“藤沢周平三部作”を筆頭に『蝉しぐれ』や『必死剣鳥刺し』など藤沢周平原作の映画化が続きました。


同じく12部門を受賞したのが山崎貴監督の『ALWAYS三丁目の夕日』です。

山崎貴監督といえば、今でこそ『永遠の0』や『アルキメデスの大戦』などの文芸大作で評価を受け、その一方で『SPACE BATTLESHIPヤマト』や『STAND BY MEドラえもん』などで賛否を呼ぶ、良くも悪くも話題性たっぷりな映画監督です。とはいえ当時は『ジュブナイル』と『リターナー』という物語性より映像技術を前面に押し出してくる技術型の監督というイメージしかありませんでした。

そんな山崎貴監督が西岸良平の同題コミックを原作にした群像ヒューマンドラマを手掛けるということで、いざ公開されるとおおむね好意的な評価を受け興行的にも大成功、結果的に3部作となりました。

ちなみにシリーズ第2作の『ALWAYS 続・三丁目の夕日』の冒頭でゴジラ(厳密には明言されていませんが)が登場し、“山崎貴監督によるゴジラ映画”というものには一定の待望論が長らくありましたが、なんと今年2023年11月公開の“ゴジラシリーズ最新作”を監督することが発表されました。

■第3位『おくりびと』『八日目の蝉』

(C)2008映画「おくりびと」製作委員会

日本アカデミー賞最多受賞記録の第3位も二桁受賞作品が2作品並びます。結果として受賞数上位TOP5は二桁受賞作品になっていて、振り返って見てもその時期を代表する映画が並んでいます。

1作目は第32回の『おくりびと』です。

納棺師を扱った滝田洋二郎監督のヒューマンドラマで主演は本木雅弘、共演に広末涼子・余貴美子・山崎努が並んでいます。日本国内はもちろん海外でも高い評価を集めた本作は『Departures』の洋題が付けられ、本家の第81回アカデミー賞外国語映画賞を受賞するという快挙を成し遂げました。

過去に名誉賞などの枠組みで日本映画がアカデミー賞を受賞することはありましたが、外国語映画賞の枠での受賞は『おくりびと』が初めてでした。国際長編映画賞の高い壁を乗り越えたのは『おくりびと』と『ドライブ・マイ・カー』だけです。

『おくりびと』は2008年の9月に公開され、口コミと賞レースを賑わしたことでロングラン公開となり、全国公開規模の作品としては当時としても珍しい半年以上も公開され続けました。

ちなみに配給元の松竹としては、歴代最大ヒット作(興行収入64.8億円)でもあります。

(C)2011 映画「八日目の蟬」製作委員会

もう1つ日本アカデミー賞10部門を受賞したのが第35回の『八日目の蝉』です。

角田光代の同名小説を重厚なヒューマンドラマを得意とする成島出監督がメガホンを取りました。実際に起きた事件を元にした物語は、ある特殊な関係性の母と娘の物語で2つの時間軸が交錯する物語です。

井上真央と永作博美のW主演の形をとっていますが、脇役も大変魅力的な面々が揃っています。特に小池栄子の演技はなかなかのものです。小池栄子はこの少し前から演技の仕事に本腰を入れるようになりましたが、最初の到達点がこの『八日目の蝉』といえるでしょう。

147分と長尺ではありますが、見応えのあるドラマになっていて12.4億円のスマッシュヒット作品となっています。

多様性が求められる中で

本家アメリカアカデミー賞だけでなく、多くの映画賞には多様性を求められるようになっています。

結果として、1作の映画が多くの部門を独占するような事が減りました。5部門を越えれば大勝と言っていい状態です。

現代の映画賞のあるべき姿なのかもしれませんが、その一方で最後の二桁受賞となった『八日目の蝉』から10年が経ちましたし、有無を言わせぬ圧倒的な説得力を伴って映画賞を独占するような作品もそろそろ見たいなとも思うところです。

(文:村松健太郎)

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