映像作家クロストーク
【対談】木村太一監督×OSRIN監督│「MV出身のダニエルズだってアカデミー獲ったことだし、いい作品を作って黙らせるしかない」
【対談】木村太一監督×OSRIN監督│「MV出身のダニエルズだってアカデミー獲ったことだし、いい作品を作って黙らせるしかない」
いい作品を作って、黙らせるしかない
──秘密裏にされた予算の捻出方法や、脚本制作の過程など、なかなかうかがえないお話です。これから映画を撮ろうという人の参考になると思います。
木村:若い子たちはYouTubeやTikTokなどの動画から入っているので、長編映画なんて撮りたいと思っているのかな? オレが影響を受けたのは、スパイク・ジョーンズ(*2)やミシェル・ゴンドリー(*3)のような、まずMVで成功してから、映画に進むという道程で。もっとそういうプレイヤーが増えて欲しいとは思いますけどね。
*2……ビョークやケミカル・ブラザーズなどのMVからキャリアスタート。後に『マルコヴィッチの穴』『her/世界でひとつの彼女』などの監督も務める。
*3……ケミカル・ブラザーズやレディオヘッド、ダフト・パンクなどのMVや、コカ・コーラなどのCMも手掛ける映像作家。長編映画では『エターナル・サンシャイン』などを担当。
OSRIN:そう思います。
木村:それからMVの映像作家に、もっと映画を作ってもらいたいと思いますね。僕も映画界からは、MV出身ということで「映像しか気にしていない」とか、叩かれていたりもしていますけど。昔からそんなフィルターはあったけど、日本はまだそういう価値観を通して見ちゃう人が多いというか。
OSRIN:マジでくだらないと思う。
木村:映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』で、たくさんMVやCMを監督してきたダニエルズ(*4)が、アカデミー監督賞や作品賞を獲ったことだし。フラストレーションはあるけど、いい作品を作って黙らせるしかない。『AFTERGLOWS』はありがたいことに評価を得たけど、やっぱり批判はあるね。
*4……DJスネークなどのMVでキャリアをスタートさせて、2016年からは映画界にも進出。今年の3月から日本でも公開となった『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』が話題に。
OSRIN:それは映画を観てくれた結果ですよね。
木村:そうなんだよね。だから、悪評も甘んじて受け入れないと。
Profile
木村太一(写真左)
1987年東京生まれ、ロンドン在住。 映画監督を目指し12歳で単身渡英、映像制作を学ぶ。 2015年に制作したGRADES「KING」のミュージックビデオが、イギリス最大のミュージックビデオ祭で最優秀ダンスミュージックビデオにノミネートされる。最近ではChase & Status、Kano、日本ではKing Gnuらの作品を手掛けるなど、日本を代表する映像作家として注目を集めている。2016年の自主制作短編映画『LOST YOUTH』は、ストリーミングプラットホーム<BOILER ROOM>で上映された。 今年1月に公開された『AFTERGLOWS』は初長編作品になる。
OSRIN(写真右)
1990年生まれ。名古屋芸術大学ライフスタイルコース卒。クリエイティブレーベルPERIMETRON所属。映像作家として圧倒的世界観の中に精密な表現を設計し ミュージックビデオ・コマーシャル・ファッションフィルムなど エモーショナルからエッジーな演出で振り幅の広い作品を手掛ける。 さらには、アートワーク・LIVE演出・舞台演出など 垣根を超えた活動で現在の日本のクリエイティブシーンをリードする。
(撮影=濱田普/取材・文=渡辺克己)
映画『AFTERGLOWS』が公開中
【公開スケジュール】
UPLINK 京都
3月31日(金)~4月6日(木)1週間限定上映
詳細は劇場HPにて
kino cinema 天神
4月3日(月)、4月9日(日)の2回上映
詳細は劇場HPにて
【出演】
朝香賢徹:守島 輝 MEGUMI:小松 さゆり/ 永山ちさよ 小家山晃:袴田 竹下景子:ラジオの声
【スタッフ】
監督:木村太一
脚本:浅野良輔、キムヤスヒロ
エグゼクティブ・プロデューサー:平松卓真、白田尋晞、木谷謙介、志村龍之介
プロデューサー:田川優太郎
撮影:上原晴也
照明:熊野信人
音響:小野川浩幸
美術:安田昂弘、福田哲丸
音楽:トーマス・ヤードリー
【公式HP】
https://www.mygpictures.com/
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