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2023年4月3日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「らんまん」。
「日本の植物学の父」と呼ばれる高知県出身の植物学者・牧野富太郎の人生をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。激動の時代の中、植物を愛して夢に突き進む主人公・槙野万太郎を神木隆之介、その妻・寿恵子を浜辺美波が演じる。
ライター・木俣冬が送る「続・朝ドライフ」。今回は、第5回を紐解いていく。
万太郎、鋭い観察眼を発揮
ヒサ(広末涼子)の容態が悪化しました。
ヒサが神様に願って、自分が生まれたことを聞いている万太郎(子役:森優理斗)は神様を頼ります。
ヒサの好きな花を探しますが、季節は冬、花はみつからず、万太郎は結界を超えて森の奥深くに分け入ります。
天候も悪くなって、暗い森のなかで崖下に落ちてしまった万太郎でしたが、探しに来た綾(子役:太田結乃)と竹雄(子役:井上涼太)に助けられました。
綾は自分が女でなければ当主となって酒蔵のために働けるのに、頼りない万太郎に期待がかけられていることを悔しく思っていたけれど、万太郎の個性が当主に向いているのだと気づきます。
ひじょうに駆け足で綾と万太郎の差異を描いているように感じますが、綾が酒蔵の当主になれないのは男女差別ではなく、個性の問題なのだということを落とし所とするのが令和的です。それにしても綾が聡明すぎる。
万太郎が花を探している間に、ヒサの容態はますます悪化、危なく、臨終に立ち会えなくなりそうで、タキ(松坂慶子)がヒスを起こします。
「見つけえ〜〜〜」
「このうえ子どもらまで 許さんき 絶対許さん」
と大絶叫したところへ、万太郎が綾と竹雄に付き添われて戻ってきました。
やっとみつけた一輪の花をヒサに差し出す万太郎。が、それはバイカオウレンではないことに気づきます。森では暗くてわからなかったんですね。
母の命が尽きようとしているとき、「違う」と冷静に、花の違いを指摘する万太郎。花が違う嘆きと、母の好きな花を渡せなかったことへの悔しさや申し訳なさと、母の別れを惜しむことがまぜこぜになっている、彼の今後を暗示する描写です。
ヒサは亡くなり、春になって、花が咲くと、万太郎は自分のやりたいことを自覚するのです。
花が印象的なドラマですが、本物ではなく精巧に作られたものだそうです。言われてみればちょっと硬そうな感じもします。でもほんとうによくできています。
【朝ドラ辞典2.0 松坂慶子(まつざかけいこ)】「まんぷく」(18年度後期)でヒロインの母を演じた。「私は武士の娘です」が口癖の、武士の出であることにプライドをもっているしっかり者のお母さんで、生前葬を行う斬新な感覚ももって、最後まで愛された。「らんまん」では主人公の祖母役。商家ながら名字帯刀を許された由緒ある家系。武士の娘ではないが、武士と並ぶ待遇の豪商の娘となった。大河ドラマ「篤姫」では篤姫付の老女・幾島など、貫禄と愛嬌を兼ね備えた役柄が似合う俳優である。
関連語:「わたしは武士の娘です」【朝ドラ辞典2.0 「わたしは武士の娘です」(わたしはぶしのむすめです)】「まんぷく」(18年度後期)のヒロインの母の口癖。【朝ドラ辞典2.0 幽霊(ゆうれい)】朝ドラでは死んだ人物が幽霊になって出てくることがよくある。関連語:幻
(文:木俣冬)
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–{「らんまん」第1週のあらすじ}–
「らんまん」第1週のあらすじ
春らんまんの明治の世を天真らんまんに駆け抜けた植物学者・槙野万太郎(神木隆之介)の物語がはじまる―。土佐の酒蔵・峰屋の跡取りとして生まれた万太郎(森優理斗)は草花が大好きな男の子。生まれつき病弱ですぐに熱を出して倒れてしまう。「万太郎はいっそ生まれてこなければよかった」という親戚の心ない言葉に深く傷ついた万太郎は、病床の母ヒサ(広末涼子)の制止を振りきって家を飛び出してしまう。そして、行き着いた裏山の神社で自らを「天狗」と名乗る謎の武者との不思議な出会いを果たす。
–{「らんまん」作品情報}–
「らんまん」作品情報
放送予定
2023年4月3日(月)より放送開始
作
長田育恵
音楽
阿部海太郎
主題歌
あいみょん「愛の花」
語り
宮﨑あおい
出演
神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣、笠松将、中村里帆、島崎和歌子、寺脇康文、広末涼子、松坂慶子、牧瀬里穂、宮澤エマ、池内万作、大東駿介、成海璃子、池田鉄洋、安藤玉恵、山谷花純、中村蒼、田辺誠一、いとうせいこう ほか
植物監修
田中伸幸
制作統括
松川博敬
プロデューサー
板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
演出
渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか