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2022年07月25日

「ちむどんどん」第76回:「母親の一番の不幸は息子と結婚出来ないこと」は真理なのか

「ちむどんどん」第76回:「母親の一番の不幸は息子と結婚出来ないこと」は真理なのか



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2022年4月11日より放映スタートしたNHK朝ドラ「ちむどんどん」。

沖縄の本土復帰50年に合わせて放映される本作は、復帰前の沖縄を舞台に、沖縄料理に夢をかける主人公と支え合う兄妹たちの絆を描くストーリー。「やんばる地域」で生まれ育ち、ふるさとの「食」に自分らしい生き方を見出していくヒロイン・比嘉暢子を黒島結菜が演じる。

本記事では、その第76回をライター・木俣冬が紐解いていく。

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暢子と和彦が結婚に向かって動き出す


沖縄戦を正しく伝えるにはどう表現すべきか考えつづけるしかないな(田良島)

沖縄から帰ってきた和彦(宮沢氷魚)に田良島(山中崇)が言ったセリフです。これが作り手の最も言いたいことなのではないでしょうか。

考えた結果、いまできることが第15週であったのでしょう。それは受け止めます。

第16週「御三味(うさんみ)に愛をこめて」(演出:中野亮平)は海辺でお互いの思いを確かめあった暢子(黒島結菜)と和彦が結婚に向かって各方面に挨拶をはじめました。

まずは、比嘉家。優子(仲間由紀恵)は大喜び。良子(川口春奈)歌子(上白石萌歌)も。条件としては、琉装で結婚式を希望する優子。

琉装とは沖縄の伝統的な衣裳によるものだそうで、優子は戦後まもなかったためそれを着ることができず、娘には着てほしいようです。だったら長女の良子はなぜ和装だったのか。そこにも何か意味が隠されているのでしょうか。

あとで、三郎(片岡鶴太郎)の妻・多江(長野里美)が貸してくれることになるという、また都合のいい展開になっております。

多江役の長野さんは「真田丸」でかなりいい役で注目されたかたで、80年代を代表する劇団・第三舞台(主宰は鴻上尚史)の看板女優でもありますが、「ちむどんどん」では見せ場がなく残念に思っていたところ、ようやく役割が回ってきたというところでしょうか。髪型やお召し物がさりげなく沖縄ムードです。

第三舞台と並び、80年代を代表する劇団といえば夢の遊眠社(主宰は野田秀樹)です。今回、その看板女優・円城寺あやさんが登場しました!  和彦のお母さん・重子(鈴木保奈美)の家の家政婦さんです。岩内波子(いわないなみこ)という名前、いわないーー言わない という感じで家の秘密をみんな知ってるけど言わない、みたいな意味を感じますね。

演劇好きな筆者としましては長野さんも円成寺さんも活躍してほしいです。

大きな家に重子は家政婦とふたりきり。そこへ、和彦は暢子を連れて挨拶に向かいます。
手土産はサーターアンダギーで、緊張した暢子は、「わたしが あっ あっ……サーターアンダギーです」ととっちらかって、重子は「サーターが苗字?」「比嘉アンダギー?」と意地悪く返します。

鈴木保奈美さん、「わろてんか」ではヒロインのやさしいお母さんでしたが、今回はなかなか面倒くさそうなお姑役のようです。亡くなったお父さん(戸次重幸)とうまくいってなかった発言が以前ありました。何がうまくいかなくさせていたのか気になりますね。

ただ、和彦のことは溺愛しているようです。

和彦は暢子との結婚を猛スピードで決めたものの、お母さんにまだ報告できていないと悩み、暢子に急かされ電話で報告しますが、冷たくあしらわれ不安で、そのことを田良島に言うと、

「母親の一番の不幸は息子と結婚出来ないことって言うからなあ」とにやにやされます。

青柳母子のおりあいの悪さは、母の溺愛ゆえということでしょうか。血のつながった母と子の深すぎる関係を描いた文学なんかもありますから、田良島は一例として語ったのでしょうけれど、SNSではこの表現に違和感や嫌悪感を覚える声もありました。

ただし、重子の想いは、彼女が諳んじる、中原中也が長男誕生のおりに書いた詩「吾子よ吾子」に代弁されていると考えられるため、田良島のセリフには深い意味はないことがわかります。

とはいえ、文脈から離れて、一文を単独で取り上げて批判するケースも多々あるため、とくにSNS ではそれが拡散されていって冗談では済まされなくなる場合もあり、言葉の使い方には気をつけないといけません。

戦争のこととは比べ物になりませんが、誰もに的確に伝える表現がいかに難しいか考えさせられます。

ともあれ、親の言葉の大事さを歌った「てぃんさぐぬ花」から「吾子よ吾子」へと、子を思う親の心が歌から詩へとバトンをつないだ、第16週のはじまり。黒島さんの琉装の結婚式が早く見たい。


(文:木俣冬)

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