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映画コラム

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2023年05月04日

実写映画『ピーター・パン&ウェンディ』がもっと面白くなる「5つ」のポイント

実写映画『ピーター・パン&ウェンディ』がもっと面白くなる「5つ」のポイント

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2023年4月28日(金)より、Disney+(ディズニープラス)にて実写映画『ピーター・パン&ウェンディ』が独占配信されている。

結論から言えば、本作は面白い!誰もが知る『ピーター・パン』を「現代で語り直す意義のある物語」に仕上げた快作だった。さらなる魅力を紹介していこう。

▶︎Disney+ (ディズニープラス)で『ピーター・パン&ウェンディ』を観る

1:ディズニーアニメ版にあった楽しさを実写でもう一度



物語は初めこそ「少女ウェンディが永遠の少年ピーター・パンと共に夢の冒険へと旅立つ」というもので、ウェンディの「大人になりたくない」気持ちも綴られている。それだけだと「知っている話」にも思えるだろう。

だが、だからこそ、ディズニーアニメ版『ピーター・パン』にあった楽しさを、美術や衣装が細部までこだわり抜かれた実写で観られるという喜びがある。ロンドンの夜の街からネバーランドへと空を飛んでいく気持ち良さ、快活なピーター・パンがフック船長を手玉に取っての大立ち回り、そしてディズニーアニメ版にはないあっと驚く終盤のスペクタクルなど、実写作品にしたことでよりワクワクできるシチュエーションが盛りだくさんにもなっていた。

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その時点で子どもから大人まで楽しめる娯楽作としてよくできているというわけなのだが、その先では「フック船長の過去」が絡み、なかなかにツイストの効いた展開が用意されている。

詳しくは後述するが、「そもそもピーター・パンとフック船長はなぜ仲が悪いの?」という疑問を解き明かしつつ、さらに『ピーター・パン』という物語そのものを問い直す構造があるのだ。

2:多様性のある魅力的なキャスティング

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物語の後半部分を語るとなると、どうしても若干のネタバレは避けられないので、先にキャスティングの面白さと、その魅力を記しておこう。

ウェンディ役のエヴァー・アンダーソンは、映画『バイオハザード』シリーズ主演を務めたミラ・ジョヴォヴィッチと、その監督であるポール・W・S・アンダーソン夫妻の娘。2007年生まれで、2022年の14歳の時に日本語を勉強している旨を話したインスタグラムの投稿が「日本語が上手すぎ!」だと話題にもなっていた。
そのエヴァー・アンダーソンは『バイオハザード:ザ・ファイナル』や『ブラック・ウィドウ』への出演経験があり、今回は堂々と主人公の1人を演じている。華があり気の強さを大いに感じさせる一方で、どこか不安を抱えているような感情表現も実に上手かった。この先の活躍も大いに期待できるだろう。

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対してピーター・パン役のアレクサンダー・モロニーは本作で長編映画デビューとなるが、7歳で子役デビューし、アニメ作品の声優も務めるなどしっかりとキャリアがある。今回は無邪気で快活な印象がピッタリで、インスタグラムではフック船長役のジュード・ロウとの仲の良さそうなツーショットが投稿されている。

そのジュード・ロウは、悪役としての狂気はもとより、物語の後半での悲しそうな表情も強く印象に残った。ちなみに、ジュード・ロウはフック船長役を演じて怖がらせすぎてしまったことに対する謝罪として、撮影最終日に映画に出演したすべての子どもたちにアイスクリームをプレゼントしていたらしい。

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そして、妖精ティンカーベルを演じいたのはアフリカ、イラン、インディアンのルーツを持つ俳優のヤラ・シャヒディ。ティンカーベルはディズニーアニメ版でのイメージが強固であるため、この配役は過剰なポリティカル・コレクトネスであると批判的な声もあった。だが実際に観てみれば、怒った顔も含む表情の愛らしさ、緑のワンピースや結んだ髪型はティンカーベルそのもので、個人的には大いに受け入れることができた。

さらに、ネバーランドで出会うロスト・ボーイズのひとりであるスライトリーを演じるのは、ダウン症の俳優であるノア・マシューズ・マトフスキーで、役にピッタリとハマっていた。昨今のディズニーらしい、こうした多様性のあるキャスティングを肯定したいのだ。



ちなみに、劇中ではロスト・ボーイズ(男の子たち)に対して、ウェンディが「女の子がいること」を気にしてしまうという一幕がある。これは、現代らしく多様性を持たせたことそのものへのメタフィクション的な言及だろう。「ロスト・ボーイズに、ガールがいても別にいいでしょう?」と、暗に(もしくは直接的に)示しているというわけだ。

そして実写化に伴い、実年齢が子どもである俳優が多くキャスティングされたことによって、『スタンド・バイ・ミー』や『6才のボクが、大人になるまで。』などに通じる、少年少女が大人になるまでの過程を描く「カミング・オブ・エイジ・ムービー」としての魅力も強まっているとも言える。

特に、物語の始まりから「大人になりたくない」悩みを持つウェンディ役のエヴァー・アンダーソンの、実際に10代半ばの年齢だからこそ出せる説得力に注目してほしいのだ。

3:デヴィッド・ロウリー監督の「時間」を描く作家性



デヴィッド・ロウリー監督は『A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー』や『グリーン・ナイト』など大人向けのファンタジー映画を手がける一方で、『ピートと秘密の友達』という同じくディズニーの実写映画(しかもこちらもリメイク)も手がけたことがある実力派だ。

その監督の作品群では、風光明媚な風景がどこかもの悲しげで切なく、物語上では「時間が経って変わってしまうこと」ことに対する悲しみや戸惑いが描かれることが多い。それが今回の『ピーター・パン&ウェンディ』でも見事に共通しているので、監督の他の作品を合わせて観てみるのも面白いだろう。

さて、以下からは後半の展開に触れる形で、『ピーター・パン&ウェンディ』の面白さについて記していこう。結末には触れていないが、十分にネタバレと言える内容でもあるので、できれば先に本編をご覧になることをおすめする。

※以降、『ピーター・パン&ウェンディ』の本編のネタバレに触れています。

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