オーディションはほぼ落ちている?『雄獅少年/ライオン少年』花江夏樹&桜田ひよりインタビュー
獅子舞に没頭していく主人公・チュンの声を担当した花江夏樹、チュンが獅子舞に取り組むきっかけを作った少女・チュンを担当した桜田ひよりにお話を伺った。
獅子舞のイメージが変わる作品
▶︎本記事の画像を全て見る――作品自体に対して、どういった印象をお持ちになられましたか。
花江夏樹(以下、花江):僕の中での獅子舞のイメージは、やっぱり日本のお正月やお祭りのときのものでした。ちょっと地味なイメージがあったのですが、こんなにも激しく動いて、「あんなに高いところを渡っていくんだ!」という。競技になっていることも知らなかったので衝撃でしたし、それがアニメーションになることで、アクションだったり、アニメでしかできないようなアングルだったりといった表現が追加され、より魅力的なものに描かれているな、と思いました。
――確かに日本人が見たら驚きそうですよね。
花江:実際の獅子舞の映像も見せていただいたんですけど、ちゃんと足場を渡っていっているんですよね。アニメになったことで、本当に人間にできるのかどうか、でもできそうな気もする、というリアルとファンタジーのギリギリを攻めてる感じがして、そこが面白かったです。
桜田ひより(以下、桜田):獅子舞を題材にしている映画がなかなかないので、想像ができなかった分、こんなに獅子舞ってカラフルなんだ、とまずは衝撃を受けました。獅子舞がずらっと並んでるシーンは本当に圧巻でしたし、私たちが知っている獅子舞とはまた違った、中国の獅子舞を日本の皆さんに知っていただけるきっかけになるんじゃないかな、と思います。
「今まで仕事頑張ってきてよかったな」(桜田)
▶︎本記事の画像を全て見る――桜田さんは今回、初めて吹き替えに初めて挑戦でした。演じてみていかがでしたか。
桜田:普段、自分がやっている演技とは全く違うものだったので、初めてのことだらけすぎて。やっぱり追い付かない瞬間がいくつもあったのですが、そのときに、監督にすごく助けていただきました。1人で収録をさせていただいたんですけど、周りのキャラクターにどのように声が入っていくのか想像をしながら、やらせていただきました。
――豪華声優陣も注目ですが、中でも、桜田さんが大ファンの花江さんとのご共演です。共演を知ったときのお気持ちはいかがでしたか。
桜田:今まで仕事頑張ってきてよかったな、と思いました。
花江:ははは(笑)。
桜田:この仕事の醍醐味だと思いつつ(笑)。でも、自分が初めてなので、足を引っ張るんじゃないかなとか、いろんな不安の部分も徐々に湧いてきて……。収録中も「本当に大丈夫ですか」と聞いてばかりいましたし、そのたびに監督に「大丈夫、絶対大丈夫だから」って言っていただいて。完成した作品を見て、不思議というか、もう夢みたいだなって今でも思いますね。
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――ぜひ、桜田さんが思う花江さんの魅力を教えていただければと思うのですが……。
花江:いや、そんな。言いづらいと思いますよ(笑)。
桜田:ご本人の前でものすごく恥ずかしいですけど、すごく落ち着いている声のトーンが大好きで。今も隣で聞いてるだけで、もう幸せな空間だな、って思うんですけど。
花江:ははは(笑)。
桜田:やっぱり役によって、それぞれの声質やトーンだったり迫力も違っていて。あと花江さんがいるだけでその作品の面白味が変わってくるな、ということは感じますね。
――ちなみに一番お好きな作品をお聞きしてもいいですか。
桜田:めちゃくちゃ恥ずかしい(笑)。私、『東京喰種』の実写映画に出演させていただいたので、アニメを観て研究に研究を重ねたんです。結果、セリフが全部入るくらいリピートしちゃうほど、本当にすごく好きな作品ですね。
花江:こんなふうに目の前で言っていただく機会がないので恥ずかしいですね(笑)。ありがたいですよ、本当に。
オーディションは「落ちることしかない」(花江)
▶︎本記事の画像を全て見る――桜田さんから花江さんに聞いてみたいことはありますか?
桜田:花江さんでもオーディションに落ちることあるんですか?
花江:もう落ちることしかないです。ほぼ落ちてますね。
桜田:えーっ!
花江:全然落ちますよ。今は作品数も多いですしね。でも、受かるときは、「これ受かりそうだな」というのは感じますね。昔は特にそうでした。最近は「この役が受かるんだ」ということがちょっと増えてきたんですけど。
桜田:へえー! すごいな……聞けて嬉しいです。
花江:本当ですか(笑)。すみません、ありがとうございます(笑)。でも「東京喰種」は、すごく自信がありました。
桜田:本当にぴったりでした! エネルギーを消費するような演技ですよね。
――桜田さんも多くオーディションを受けられているかと思いますが、いかがですか?
桜田:私もほぼ落ちているので、数打ちゃ当たる精神で受けています(笑)。でも、私も「これはもしかしたら受かる気がするな」というのは受かっていたり、意外なところで受かったりとか。あと私はすごく波があります。
花江:波!?
桜田:受かる期間はすごく受かるんですけど、落ちるときは本当に連続して落ちちゃう感じですね。
花江:へえー!
――桜田さんは声優のお仕事には、今後もチャレンジしてみたいお気持ちはありますか?
桜田:本当に頑張りたいな、と思いますし、やっぱり自分の声を使ってお仕事する機会がなかなかないのですごくいい経験だったな、と思いますね。
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――花江さんから、桜田さんに声優の面白さをお伝えされるとしたら、どういったことになるでしょうか。
花江:なかなか実写では表現できないような役柄だったり、実際にいないだろうという人を演じられるところはひとつありますね。
あとは自分の今置かれているキャリアだったり経験が直に反映されることと、年齢を問わないこと。本当にベテランの方々がずっと中学生を演じられていたりもするので、どんな年齢でも、自分に合ってさえいれば演じることができるので。
でも、それって今だけの場合もあるんですよね。おそらく今回、桜田さんが演じられたチュンの声を、例えば声優としての仕事が増えてキャリアを重ねて行って、10年後とか20年後にもう一度やってください、となったらまた変わると思います。今回のチュンちゃんの少女っぽさっていうんですかね。すごくかっこいい女の子なんですけど、獅子舞をやっていないときはとても女の子らしい年相応の感じ、ちょっと危うさを秘めている感じは多分今しか出ないと思うんですよね。そこが面白いですよね。なんかそのときの自分に出せる魅力みたいなのが毎回変わってくるという。それは多分俳優さんも一緒だと思うんですけど、そこが面白いなと思います。
桜田:確かにそうですね。やっぱり俳優は見た目も反映されるので、役がどうしても限られてしまうんですよね。声を使って幅広く年齢問わずできるのはやっぱり最大の魅力だな、と思います。
――今後、やってみたい役はありますか?
桜田:今回は強めの女の子だったので、主人公の男の子のチュンくんみたいな、ちょっと気弱な男の子からスタートしていって、どんどん強くなる役はやってみたいな、と思います。
――今回の作品に限らずですが、チュンのように成長していく過程を演じられることが多いかと思います。そういった面で気をつけていらっしゃることはありますか。
桜田:私は何の言葉に心を動かされたのかをすごく気をつけるようにしています。人は何かのきっかけがないと動けなかったりするので、その中で誰に何を言われて、自分の心が動いたのかとかを意識していくことで、ポイント、ポイントで作品の中でも山場があったりとか、感情の流れが変わってくる場合もあるので、そういうところに注目を置いていますね。
花江:映っていないところの方が大事だな、と思っています。
90分とか120分の中で一つの物語として完結するとなると、やっぱり時間的に尺が足りないので、どうしても修行しているシーンはカットになる部分が多いと思うんですよね。それにしては、今回はかなりその修行の部分を描いていると思うんですけど、家族が倒れて自分が出稼ぎに行かなきゃいけないといったところでの心の変化だったり、その道中で何を思ってるとか、映っていないところでどれぐらい獅子舞を練習しているのかとか、そういうところをちゃんと繋いでいかないといけないので、どの作品でもそうですけど、大事にしていますね。
コミカルなシーンも楽しんでほしい
▶︎本記事の画像を全て見る――最後に、おふたりが注目してほしいシーンを教えてください。
花江:僕はラストシーンがすごく好きですね。みんなの獅子舞に対する愛情というか、情熱が特に感じられるシーンなので、競技の流れがとってもいいな、と思いますし、あと、師匠が靴を脱いで……というシーン(笑)。すごく壮大なんだけど、くだらない。そこからの流れで最後はみんなで太鼓叩いてジャンプして。すごく熱いな、と感じました。
桜田:一つに絞りきれないので、全体になるんですけど要所要所に出てくるコメディー要素はすごく見どころだなと思っています。こういう熱い作品だからこそ、一瞬ふわっと朗らかになる雰囲気があるんです。映画館で見ていてもクスッと笑ってしまうようなシーンもいくつかあるので、そこに注目していただきたいなと思います。
(ヘアメイク=fringe<花江>、菅井彩佳<桜田>/スタイリスト=村田友哉(SMB International.)<花江>、前田涼子<桜田>/撮影=渡会春加/取材・文=ふくだりょうこ)
<衣装協力=e.m. 青山店、エイタークルー(Hdxuly,)、CHARLES & KEITH JAPAN>
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