「らんまん」田邊(要潤)の理不尽が極まる<第79回>


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2023年4月3日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「らんまん」。

「日本の植物学の父」と呼ばれる高知県出身の植物学者・牧野富太郎の人生をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。激動の時代の中、植物を愛して夢に突き進む主人公・槙野万太郎を神木隆之介、その妻・寿恵子を浜辺美波が演じる。

ライター・木俣冬が送る「続・朝ドライフ」。今回は、第79回を紐解いていく。

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寂しすぎて死にそう

「さ〜て、お母ちゃんとの楽しいお留守番がはじまりますよ〜!」

万太郎(神木隆之介)が植物採集とタキ(松坂慶子)の墓参りに行くことになり、お見送りした後、寿恵子(浜辺美波)が大きなおなかに囁きます。

いろいろ寂しい気持ちもあるけれど、笑顔をたやさず明るく振る舞う寿恵子。立派です。

主人公が出かけてしまい、出先の視点ではなく、お留守番している人たちの視点で描く回というのも
なかなか珍しいかもしれません。

万太郎が自費出版した植物図譜は評判になりそうで、田邊(要潤)は苛立ちを募らせます。画家・野宮朔太郎(亀田佳明)に、万太郎のような植物画を描けないならクビだと理不尽に迫ります。

もともと、朔太郎の画風と万太郎の画風はまったく違うもので、かぶらないからこそ、認め合うことができて、平和的に関われたのに、上司に、似たようなものを描けないなら価値はないみたいなことを言われたら、つら過ぎます。

うなだれていると、庭で、波多野(前原滉)がうさぎを抱いてうなだれていました。藤丸(前原瑞樹)が大学をやめてしまったので、代わりに波多野が世話をしているのでしょうか。うさぎは藤丸がいなくなって寂しくないのでしょうか。

田邊にへんなプレッシャーをかけられた朔太郎と、藤丸に去られてひとりになってしまった波多野が、突如として手を結びます。これもまた、誰もやってないことを、ふたりで探すことなのでしょう。

波多野は”見えないものを見ている”と語り、朔太郎はその言葉に刺激を受けます。

「肉眼で見えないものは万さんにも描けない」と俄然、闘志を燃やす波多野。

一度、道が失われても、別の道を探す。誰も歩いていない道はきっとまだまだたくさんある。その不屈の精神が生きることなのかもしれません。

波多野「いい日です。さっきまで寂しすぎて死にそうだったのに」
朔太郎「そうなんですか。俺もわりと死にそうな気分でしたよ」
波多野「野宮さん、いま『俺』って言いました?」

うさぎは寂しいと死んじゃうという名言がかつてドラマにありましたが、うさぎを抱きながら、死にそうな気分だった波多野と、田邊に理不尽な扱いを受けて絶望していた朔太郎が新たな目標に燃えているとき、ちょうど万太郎が藤丸と共に植物採集の旅をしているところです。藤丸は、見えないものを見たいという波多野の執念についていけなかったわけではなく、万さんにも描けない、と燃やす対抗心が苦手なんだとおもいます。

他人のことなど関係なく、ただただ、自分が好きで好きで夢中で追求できることに出会えたら、気に病むことなどなくなるでしょう。

万太郎の作った図譜は、博物館の野田(田辺誠一)里中(いとうせいこう)にも送られてきて、それを見たふたりは感涙にむせびます。

野田さん、この間、万太郎が訪ねてきたときには、「どうする家康」に出張中(穴山梅雪役)だったのか不在でしたが、今回は登場。まだ「家康」にも出番があります。

【記録】
藤丸役の、前原瑞樹さんが「あさイチ」にゲスト出演し、前作「舞いあがれ!」のなかなか出てこないムッちゃん役は福山雅治のサプライズ出演なのではないかと世間が期待していたときの気持ちを明かしていました。本人の口から真相が聞けてよかったです。「じつにおもしろい」と博多華丸さんが福山さんの代表作「ガリレオ」の決めセリフを言いましたが、スタジオではリアクションが薄かったです。(たぶん、ネットでは盛り上がったことでしょう)。

(文:木俣冬)

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