俳優・柳楽優弥と長久允 監督が語り合う、幽霊たちとの楽しい暮らし。
柳楽優弥が語る、幽霊を演じるということ
ー長久さんは幽霊をどういう存在に捉えていますか?
長久:かつて実家が高円寺にあった頃の話なんですが、四方八方お墓に囲まれている場所に住んでいました。僕自身霊感はなかったんですが、霊感の強い友人は自宅近くまで来ると、「この先行きたくない」とか、夜に僕の家へ電話をかけると、赤ちゃんが泣き叫んでいる家に一度かかって、リダイヤルするとようやくうちに繋がるとか、どうも霊がいるっぽいところに住んでいたみたいなんですよね。自分自身は見たことはなかったんですが、朝友達に返さなきゃいけないMDがあって、探していたら、突然それがプレイヤーからガチャって出てくるみたいな経験はありました。
─なんだか良い奴な感じもしますね(笑)。
長久:そうなんです(笑)。だから、きっと幽霊はいるけど、別に怖がらせてくるわけではないし、共存しているものだとは思っていたので、こういった話が書けたのかもしれないですね。ドラマのなかでもポルターガイスト現象を表現するとき、幽霊が電気を点けたり消したり、音を鳴らしたりするシーンがあるんですけど、それくらいの距離感で霊と対峙するのが良いかなと思って入れました。本当はギシギシ音がするなと思ったら、実は幽霊たちがセックスをしていたみたいな描写も入れたかったんですが、今回はそういった幽霊同士の描写が想像できなかったので、泣く泣く諦めました(笑)。
ー柳楽さんは、今回幽霊を演じてみてどうでしたか?
柳楽:僕が俳優として大事にしているのは、「今」の自分のスタンスや、「今」感じているもの。自身のパーソナルな部分を大事にしながら、演じる役柄と自分がうまく噛み合う瞬間があるぐらいのほうが、自分の大切にしているものに近くなるなと思っていて。その視点から見ると、長久監督の現場は、まず現場に入る前に長久監督へ自分のテンションを伝えさせてもらって、自分自身が自然体で現場に入ることができました。なので、この役柄だからこうしなきゃというよりは、長久組に居ればついていけるというか、自分に不安を持たずに演じることができる。「それでいくか」と、監督が言ってくれる環境がすごく良かったですね。とても好きな雰囲気で撮影に臨めました。
長久:柳楽さんのそういった自然体な部分が、さっき話していた桜田という役の難しい部分が定着できたのかなと思います。幽霊って、ステレオタイプでキャラを作っていこうと思えば作れちゃうし、漫画的なキャラクターにもなってしまいそうなところを、そうではないものにしてくれました。なので、そういったところとのマッチングがあったのかなと思います。
ー演じた役柄と自分自身でマッチするところはどこだと思いますか?
柳楽:俳優は表に出る仕事なので、作品や演技、自身のことが人から評価される仕事でもあります。そして、ホストというのも、ある一定の評価のなかで自分の価値がつけられていく。いい評価をされることだけが、それらの職業に対してすべてではないけど、そういったところは似てるんですかね。もっと売れたいのに、全然売上が伸びないなとか、人気が出ないなとか(笑)。その視点からの気持ちはわかるし、演じる上でやりやすさはあったのかなと思います。
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