重度障がい者殺傷事件を描く映画『月』の「多くの人が目を逸らしてきたこと」に向き合うための「5つ」の覚悟
10月13日(金)より、実際に起こった重度障がい者殺傷事件をモチーフにした辺見庸の小説を原作とした映画『月』が公開中だ。
センシティブかつ重い題材を扱っており、激烈な批判を浴びてもおかしくない、危険な領域まで踏み込んでいる問題作であると同時に、だからこその「多くの人が目を逸らしてきたこと」に容赦なく、かつ真摯に向き合う覚悟がある傑作だったと、筆者個人は思えた。
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前置き:重い題材ながら、親しみやすさもある
何より、この題材に対して使う言葉としては適切ではないと思いつつも、グイグイと引き込まれる「面白い」映画であることを告げておきたい。
ひたすらに重く苦しい内容というわけでもなく、ほっと一息がつける場面があったり、共感できる(それがまた危険でもある)話し合いもされるため、意外な親しみやすさも備えていた。
出演すること自体にリスクがあるにもかかわらず、豪華キャストが集って、それぞれが渾身の演技をしてくれたことにも称賛を送りたい。
特に磯村勇斗は「普通の青年」に思える場面が多いからこそ、その言動の恐ろしさが際立つ。二階堂ふみも、負担がとてつもなく大きいであろう憔悴していく役柄を、見事に演じ切っていたと思う。
「描写は間接的だが、障がい者施設での大量殺人が描かれている」理由でPG12指定がされており、目を背けてしまいそうなほどに辛いシーンもあるが、それも作品には必要だった。
観ることそのものを躊躇してしまう、身構えてしまう方も多いとは思うが、後述する社会全般にもある問題にずっとモヤモヤを抱えていた筆者個人は「観て良かった」と心から思えた。
それ以外の情報はなくても良いが、ここからは内容に踏み込む形で、この映画の「覚悟」がわかる5つのポイントを記していこう。
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