昭和、平成、令和と、時代を代表する作品が誕生している不滅の“不良ヤンキー映画”。人生で必ず通る思春期年代を中心に描かれることが多く、それだけに実は誰もが心に残る1本があるといっても大げさではないほど確立されたジャンルとして愛されているが、近年も少しずつ新しいエッセンスを加えながら次々に大人気作が世に放たれ続けている。

11月17日（金）には、『ドロップ』の品川ヒロシが監督・脚本を務めた『OUT』が全国公開される。原作は累計発行部数650万部を突破するヤンキー漫画「OUT」で、品川監督の中学からの友人・井口達也の青年時代を詰め込んだ実録物語だ。

「映画を撮り始めるキッカケになったジャンルである“ヤンキー映画”“不良モノ”は、撮り収めのつもりで、やりたいことを全部詰め込もうと思っていました」と品川ヒロシ監督が語る本作の公開に備え、記憶にも新しい2000年代以降の名作・大ヒット不良ヤンキー映画を振り返る。

『ドロップ』（2009）

まずは品川監督といえばコレ、という今も色あせぬ代表作『ドロップ』。自身の経験をベースに執筆された小説が話題を呼びマンガ化、そして成宮寛貴と水嶋ヒロを主演に迎えて実現した実写映画化でメガホンをとると、芸人になる前から憧れを抱いていた映画作りへの情熱、そしてお笑いで培ったコメディ演出も見事に融合し、興行収入20億円を記録する驚異のデビュー作を生み出した。水嶋ヒロが演じていた伝説の不良、“狛江の狂犬”井口達也が最新作『OUT』の主人公とあって、再び脚光を浴びている。

『ROOKIES-卒業-』（2009）

同じ年に公開されたのが『ROOKIES-卒業-』。野球を通じて夢を持つ大切さを教えんとする熱血教師（佐藤隆太）と、反発しながらも次第に絆を深めていく不良たち（市原隼人、佐藤健など）との青春物語が一世を風靡し、2009年公開映画の第1位となる興行収入85.5億円の大ヒットを達成。爽やかな感動を起こしてくれるのもこのジャンルの大きな魅力といえる。

『クローズ』シリーズ（2007・2009・2014）

同じく00年代～10年代にかけて全3作品が制作されたのが、「週刊少年チャンピオン」で連載されカリスマ的人気を誇った漫画を原案にしたオリジナルストーリーで、小栗旬、山田孝之ら豪華キャストが集合した『クローズ』シリーズ。本格派の不良ヤンキーモノとして人気を博すと、完結編のクライマックスバトルには、総勢500名が一気に激突するという映画史上最大級の乱闘シーンが生み出された。

『HiGH＆LOW』（2016〜）

その後2016年からは、いまも新作が公開されるたびにファンの激烈な反響が殺到する『HiGH＆LOW』の劇場映画シリーズが開幕。かつて見たことのない新次元のアクションシークエンスや、全員主役ともいうべき若手俳優たちが一挙に集結して進化を続け、『HiGH&LOW THE WORST X』(2019)では前述の『クローズ』ともクロスオーバーを果たして話題を呼んだ。

『今日から俺は!!劇場版』(2020)

そして20年代には毎年のように、どれもがブームになった熱気あふれるヤンキー映画が到来。コロナ禍に突入し映画館では座席制限がはじまり、大作がこぞって公開延期していたなかでも気を吐いたのが『今日から俺は!!劇場版』(2020)。

賀来賢人、橋本環奈らが出演、福田雄一監督のもと、80年代を舞台にツッパリ的なビジュアルをポップに採り入れながらハイテンションで描かれたこの作品はレトロブームの一端をも担い、興収50億円を突破して2020年公開の実写映画No.1という驚きの大ヒットを成し遂げた。

『東京リベンジャーズ』シリーズ（2021・2023）

そして2021年・2023年で計3本が公開、北村匠海、山田裕貴、今田美桜、吉沢亮らが出演した『東京リベンジャーズ』シリーズは、ヤンキー×タイムリープという鉄板の人気ジャンルをかけ合わせた現代らしい新たなヤンキー映画の在り方と、まだまだこのジャンルの進化の可能性を示した。


ここまで振り返ってみてもわかるように、硬派な本格ヤンキーから別ジャンルとの化学反応まで多種多様な楽しみ方や、瑞々しく気鋭の若手俳優たちが一堂に会して活躍するのも不良ヤンキー映画の魅力。品川ヒロシ監督がいま持てる、いま描きたい全てを注ぎ込む『OUT』が2023年の秋を熱くすること間違いナシ！

ハミ出して、それでも生きる。豪華な若手俳優陣が紡ぐ＜アウト＞な物語にご期待いただきたい。

ストーリー

“狛江の狂犬”と恐れられた伝説の超不良・井口達也が、少年院から出所した。地元から遠く離れた叔父叔母の元、焼肉店・三塁で働きながらの生活を始めるが、保護観察中の達也は、次喧嘩をすれば一発アウトだ。そんな彼の前に現れたのは、暴走族「斬人」副総長の安倍 要。この出会いが達也の壮絶な更生生活の始まりだった。暴走族の抗争、新しい仲間・家族との出会い、守るべきものができた達也の進む道は── 。　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　

作品情報

『OUT』
11月17日（金）全国劇場公開
倉 悠貴　醍醐虎汰朗　与田祐希（乃木坂46）　⽔上恒司
與那城 奨（JO1）　⼤平祥⽣（JO1）　⾦城碧海（JO1）
　小柳 心　久遠 親　山崎竜太郎　宮澤 佑　長田拓郎　仲野 温
じろう(シソンヌ)　大悟(千鳥)   庄司智春（品川庄司）／渡辺満里奈　杉本哲太
原作：井口達也／みずたまこと『OUT』（秋田書店「ヤングチャンピオン・コミックス」刊）
監督・脚本：品川ヒロシ　音楽：武史（山嵐／The Ravens）
主題歌：JO1「HIDEOUT」（LAPONE Entertainment）
制作：吉本興業　
制作協力：ザフール　
配給：KADOKAWA
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