続・朝ドライフ

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2023年11月17日

「ブギウギ」伊原六花のシコふんじゃった!が、さすが<第35回>

「ブギウギ」伊原六花のシコふんじゃった!が、さすが<第35回>


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2023年10月2日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「ブギウギ」。

「東京ブギウギ」や「買物ブギー」で知られる昭和の大スター歌手・笠置シヅ子をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。小さい頃から歌って踊るのが大好き、戦後の日本を照らす“ブギの女王”となっていく主人公・福来スズ子を趣里が演じる

ライター・木俣冬が送る「続・朝ドライフ」。今回は、第35回を紐解いていく。

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「センチメンタル・ダイナ」誕生

ツヤ(水川あさみ)の体調が良くないようです。元々気丈な人ですから元気なふりして、みんなに心配かけないようにしているみたいで、心配であります。

ツヤは自分のことはさておいて、スズ子(趣里)を心配します。熱々先生(妹尾和夫)の口癖のように「熱々やで」が健康の秘訣。

でも野菜を食べて、カラダを冷やさないという健康の秘訣には、いささか矛盾があるような気もします。生野菜はカラダを冷やしそう。いや、調理方法に気をつけるか、温める根菜類をとるといいでしょう。キャベツやきゅうりやトマトはカラダを冷やします。

などと小姑チェックはここまでにして、野菜を食べろとか、カラダを冷やすな、とかは親が子を思う気持ちの現れです。ものすごく単純な言葉ですが、こういうふうにしか言えないことって現実にあります。

社会がどんどん進化して、豊かになって、情報もたくさん得ると、健康にいい様々なものや気の利いた言葉が身近にあふれていきますが、野菜を食べろ、カラダを冷やすな、それだけがせいいっぱいの人たちだっているのです。

スズ子は、都会に出てスターになって違う世界が広がっている途中かもしれません。移籍しないで梅丸でやるにあたり、自分の価値を自覚してギャラアップを打診していましたし。

が、こういうつつましく生活している人たちと共に生きてきたことを決して忘れないでほしい。いや、きっと、彼女はスターになっても忘れない。羽鳥(草彅剛)が彼女を商品ではなくひとりの人間として見てくれたことに信頼をもったのだから。そういう認識の数々が、彼女の歌をたくさんの庶民が愛す理由になるのだと思います。

なにはともあれ、スズ子と羽鳥のスキャンダルが笑い話で終わってよかった。笑い話過ぎる気もしましたが。

秋山(伊原六花)は大阪に戻ることになり、お別れに、吾郎(隈本晃俊)と相撲をとります。

伊原さんは、ディズニープラスで配信されている「シコふんじゃった!」で、女性ながら相撲部部員として活躍する役を演じていたため、シコが華麗。股関節がやわらか〜い。

これは秋山が鍛錬したダンサーである説得力にもなります。さほど強くなかったとはいえれっきとした力士だった吾郎に勝ってしまうとは、秋山はやっぱり、男役のほうが似合っているかもしれません。能力は男女関係ないとはいえ、体格や体力の差はあるもので、カラダの大きな吾郎に勝てる秋山は、十分な体格や体力をもっているのでしょう。

秋山が大阪に向かう列車に乗っているとき、劇場ではスズ子のショーがはじまり、新曲「センチメンタル・ダイナ」が披露されます。列車のなかで秋山も曲に合わせてタップを軽やかに踏み、乗客に拍手喝采されます。

ほんとうだったら、スズ子の後ろでダンスを踊っていたかもしれないけれど、秋山は大阪でもう一度、自分の夢に向かうのです。

「センチメンタル・ダイナ」はくよくよしてるダイナに、朗らかに歌えとやさしく寄り添うような歌です。秋山は憧れの東京に出てきたのに、自分の力を伸ばすことができなくて、やっぱり大阪にいる自分のほうが自分らしいと考え直したのでしょう。

男性がやる男性の踊りには勝てなかったという、ある種の挫折についてはドラマではあまり詳しく描かれていません。東京では圧倒的な中山(小栗基裕)のダンスに勝てなかったけれど、大阪ではまだ、女性が男役をする演目が求められている。求められている場所で、自分のやりたいことをやって生きる。

スズ子もまた、自分が歌いたい歌を作ってくれる羽鳥と共に梅丸楽劇団で生きていくのです。

そんな人生の選択が描かれた第7週でした。

(文:木俣冬)

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