お笑い

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2023年12月25日

<考察>「ドキュメンタル」シーズン13:初のコンビ対抗戦で見えたものとは?

<考察>「ドキュメンタル」シーズン13:初のコンビ対抗戦で見えたものとは?

▶︎「HITOSHI MATSUMOTO Presents ドキュメンタル」シーズン13 COMBINED 画像を全て見る

※本記事は優勝コンビ名を含め、「ドキュメンタル」シーズン13のネタバレを含みます。未鑑賞の方はご注意ください。

松本人志プレゼンツ、極限の笑わせ合いバトル「ドキュメンタル」。その最新回となる「HITOSHI MATSUMOTO Presents ドキュメンタル」シーズン13 COMBINEDが、12月22日(金)よりPrime Videoにて一挙独占配信された。

これまでは芸人による熾烈なタッグマッチが繰り広げられてきたが、シーズン11では香取慎吾や貴乃花光司ら非芸人による変則バトルになり、シーズン12では「UNLIMITED(アンリミテッド)」と題して、芸人・非芸人が混ざりあう異種格闘技戦に。

そして、シーズン13は久々にオンリー芸人によるシバキ合い。しかも、初のコンビ対抗戦となる「COMBINED(コンバインド)」だ。出場費の100万円徴収はナシ、優勝賞金はこれまでの倍となる2000万円。

松本人志は開催にあたって、次のように語っている。

「ちょっとしばらく、芸人さんと離れていましたよね。せっかくこんなに芸人がいるのに、個の戦いだけで終わらせるのは、もったいないなと」

召集されたのは、フットボールアワー・ウエストランド・ランジャタイ・ニューヨーク・EXIT。フットボール後藤以外は全員「ドキュメンタル」初参加というフレッシュな面々。かつ、M-1グランプリ王者が2組もいる超豪華メンバーである。

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▶︎「ドキュメンタル」シーズン13を観る

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弱肉強食の実力社会


筆者は配信日に全エピソードを一気見し、コンビでネタを仕込めるメリットはやはり大きいと感じた。フットボールアワーは本ネタを随所に散りばめ、ランジャタイは行方不明になった愛犬ラッキーと久々に会う(でもおもいっきり襲われる)という謎のネタを披露し、これまで以上に作り込まれた“笑い”が全編を覆っていた。

だが、今回のシーズン13で最も痛感したことは、笑いというよりも過酷な現実。もちろん、たくさん笑わせてもらったのだが(個人的には、刺客として送り込まれたピン芸人・ひょうろくの立ち振る舞いに悶絶してしまった)、それよりも序盤のチェ・ホンマン物真似が空振りに終わり、お笑いイップスに陥ってしまったEXITりんたろー。の意気消沈ぶりに目が釘付けになってしまったのである。


戦闘不能に成り果てた姿が面白い、という意地の悪い意味ではない。弱肉強食の実力社会で、自分の攻撃がなすすべもなく空砲になってしまった残酷な現実に、いたたまれなくなってしまったのだ。見届け人として参加していたFUJIWARA藤本に「2時間半くらい喋ってない」とツッコまれたり、相方の兼近に瓶でアタマを殴られていた時も何もリアクションできなかったり。


ウエストランド井口は、「全部のお笑いのなかで一番面白くなかった」という強烈なジャブを浴びせ、M-1決勝に出れていないことも絡めてEXITの不発ぶりをイジり倒していた。

「ドキュメンタル」がある種の残酷ショウであることが、白日の下に晒されてしまったのである。面白い奴・面白くない奴が白黒はっきりつけられてしまう、ノールールの笑かし合い。普通の格闘技であればKOされた時点で試合終了だが、「ドキュメンタル」の場合はレッドカードを貰わないかぎり、ずっと試合に出続けなくてはならない。きっと、メンタルはズタズタだったことだろう。

「COMBINED(コンバインド)」優勝の方程式



この戦場でサバイヴするには、フットボール後藤やウエストランド井口のようにツッコミまくるか(ニューヨーク屋敷がさほどツッコミに回らなかったのが意外だった)、ランジャタイ国崎のように執拗にボケまくるかしかない。

EXITは明確にボケるでもツッコむでもないコンビのため、ひょっとしたら「ドキュメンタル」は構造的に不利だったということもあるかもしれない。


これまでの「ドキュメンタル」でも、何もできぬまま、あっけなく散っていった芸人たちはいる。だが個人戦とは違ってタッグ戦となると、スベることは自分だけではなく相方の失敗にも繋がってしまう。ひょっとしたら、EXITりんたろー。はその罠にハマってしまったのではないか……。思わずそんな感慨に耽ってしまったのだ。


強力なツッコミと強力なボケがいるコンビは、この「COMBINED(コンバインド)」では圧倒的実力を発揮する。フットボールアワーが優勝したことは、当然の帰結だった。松本人志曰く「最後までフットボールアワーと競っていた」というランジャタイは、どちらもボケタイプのコンビ。爆発力はあるが、カウンターで敵を倒すタイプではない。


ニューヨークは嶋佐が健闘したが、屋敷はあまりツッコミに回ることができなかった(フットボール後藤、ウエストランド井口という最上級のツッコミ芸人がいたために、なかなかそのポジションをこじ開けられなかったのかもしれない)。

ウエストランドは、河本が攻撃以上に防御力が弱弱であることがバレてしまった。今後も「COMBINED(コンバインド)」が開催されるとしたら、ダイアンやかまいたちのように、分かりやすいボケ・ツッコミのコンビが選ばれることになるのではないだろうか。

「すべらない話」や「IPPONグランプリ」とは異なり、「ドキュメンタル」はマイナーアップデートとメジャーアップデートを繰り返しながら続いてきた番組だ。今回のチャレンジを試金石にして、松本人志はさらなる大仕掛けをカマしてくることだろう。

(文:竹島ルイ)

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