【佐久間大介】『マッチング』からパフォーマンスまで、“振り幅”を楽しむ
佐久間大介のパフォーマンスでしか得られない養分がある
ここからは、彼の振り幅についてあらためて振り返りたい。
まずなんと言っても、その振り幅を最大限に魅せてくれるのはパフォーマンスだ。彼のパフォーマンスを初めて観たときの衝撃は忘れられない。
ダンスが上手いのは間違いないのだけど、「上手い」なんていう言葉では到底表せない感動と感情を私たちにくれる。こんな人、今まで観たことない。月並みな言葉かもしれないが、佐久間大介のパフォーマンスでしか得られない養分が確実にある。一生だって観ていたいと思う。
得意なダンスのジャンルを聞かれて「全部!」と答える彼は、引っ込み思案で感情表現が苦手だった頃にダンスに出会い、ダンスをしているときだけは自己表現できた、という内容の話をよくしている。事務所に入ったのもダンスの先生に薦められたからだという。
キレが良く、時にしなやかで時に力強いダンスは、彼がどこにいたって惹かれてしまう。どんな曲でもその音楽の一部であるかのように、最適な表現を見せてくれる。
MVを何度も観る際に「今回はこのメンバーを見るぞ」と思っているのに、気がついたら彼に目がいってしまったこともよくある。MVやダンプラが出るたびに“他担狩りの佐久間”と言われるのも納得である。
技術だけでなく、自分の顔や身体をどう動かしたら魅力的に見えるか、完璧にわかっている。アクロバットもそこだけ重力がなくなったように見えるし、着地のタイミングまでも音に合わせている。どうして人間にこんな動きができるんだろう?と思う。
これまでのどれだけの努力を続けてきたのだろう……と思うと気が遠くなると同時に、そんなパフォーマンスを目にできるこの時代に生きていることに感謝したくなる。
デビュー曲「D.D.」の振り付けを教えに行く動画で放った「俺、反復練習好きなんだよね」という言葉は今も忘れられない。出来ないことでも何度もやるとできるようになると。反復練習なんて好きじゃない人が大半だと思うのに、笑顔で好きと言えてしまうこと、間違いなく実際にそうしてきたであろうことがわかってとても刺さった。
彼の完璧なパフォーマンスはそういう長年の努力の上に成り立っているのだと実感して胸が熱くなってしまう。しかも、練習したからできるようになったみたいな方法論や説教みたいな言い方ではなく、「好きなんだよね」という表現が本当に素敵だ。
2023年のアルバム、ラウールとのユニット曲「Bass Bon」はすごかった。歳を重ねたらできることが減るのではなく、この先どんな表現を見せてくれるんだろうと楽しみにさせてくれる。
今後のパフォーマンスでも見たことのない佐久間大介を期待したい。
あらゆる場面で見せる、“明るくて元気な太陽”な姿
メンバーといるときや番組出演で見せる、明るくて元気な彼は太陽のようで、メンバーからも「疲れているところを見たことがない」と言われるほどだ。もともとは陰キャで人と関わるのが苦手だったけど、「グループのために性格を変えた」というのが、よりこの明るさを魅力的に見せているのだと思う。生まれつき根アカな人だったら、こんなに惹かれなかっただろう。
歌番組やバラエティー番組ではメインで出ていないときにも全力でワイプに映り、見ているだけで元気をくれる存在だ。
また彼は個人の媒体でも、その振り幅を見せてくれている。自身のラジオ「待って、無理、しんどい」でも、相手に対して本当に敬意を持っている様子が伝わってきて、彼の人柄の良さがうかがえるのだ。
最近はX(Twitter)で個人のアカウントを開設して、ファンはより一層近い距離でその日常と“小悪魔な”魅力を見ることができている。
彼は演技やパフォーマンスだけでなく、多くの場面でその魅力の振り幅を存分に発揮しているのだ。
これからも振り幅に惑わされたい
「最後の推しになってやる」というのは彼の名言のひとつだが、そりゃ彼のような人は他にいないもんなと納得してしまう。唯一無二ってやつだ。『マッチング』で「吐夢の正体はなんだろう」とハラハラしながら見守った気持ちは、佐久間大介が次にどんな姿を見せてくれるのだろうとワクワクする気持ちと少し似ている。
彼が見せてくれるさまざまな姿は、いつもその奥にある別の一面まで感じさせるからこそ、より魅力的なのかもしれない。
これからはきっと、演技という面でもたくさん新しい姿を見せてくれることだろう。願わくば一生、彼の振り幅に惑わされて生きていきたい。
(文:ぐみ)
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