「おむすび」歩はギャルじゃなくて大女優?【第27回】
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2024年9月30日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「おむすび」。
平成“ど真ん中”の、2004年(平成16年)。ヒロイン・米田結(よねだ・ゆい)は、福岡・糸島で両親や祖父母と共に暮らしていた。「何事もない平和な日々こそ一番」と思って生きてきた結。しかし、地元で伝説と化した姉の存在や、謎のギャル軍団、甲子園を目指す野球青年など、個性的な面々にほん弄されていく。そんな仲間との濃密な時間の中、次第に結は気づいていく。「人生を思いきり楽しんでいいんだ」ということを――。
青春時代を謳歌した自然豊かな糸島、そして阪神・淡路大震災で被災するまでの幼少期を過ごした神戸。ふたつの土地での経験を通じて、食と栄養に関心を持った結は、あることをきっかけに“人のために役立つ喜び”に目覚める。そして目指したのは“栄養士”だった。
「人は食で作られる。食で未来を変えてゆく。」 はじめは、愛する家族や仲間という身近な存在のために。そして、仕事で巡りあった人たちのために。さらには、全国に住む私たちの幸せへと、その活動の範囲を広げていく。
ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。
今回は、第27回を紐解いていく。
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歩の付き人登場
糸島フェスでハギャレンは優勝を逃しましたが、彼女たちの頑張りはオーディエンスにちゃんと届いていました。ハギャレンに入りたい子たちが現れました。天神のハギャレンの聖地・ゲーセンに集っていると、そこに歩(仲里依紗)がやって来ます。結(橋本環奈)を心配して、話を聞きに来たのです。
第26回ではおじいちゃん(松平健)に相談していたし、歩はなんだかんだで結のことが心配のようです。神戸時代はものすごく妹思いのお姉さんでしたし。
ハギャレンは彼女たちが知り得る限り結のことを歩に報告します。お父さん(北村有起哉)のことを気にしているのだと聞いて、歩は思うところある様子。彼女も階段に潜んでこっそりお父さんの苦悩を聞いていましたから。そして、結は歩にキレていたから。
それはそうと、「偽物のギャル」ってどういう意味ですか?とハギャレンに質問されても誤魔化して歩は去っていきます。
結は家で農業の手伝いをせっせとしています。はりきっていますが、やっぱりちょっと淋しい顔をしているような。
四ツ木(佐野勇斗)が以前、結が海で淋しい顔をしていると指摘していましたが、彼は結をよく観察していたと感じます。結に特別な感情があるのでしょう。
自分の部屋でフェスのときの衣裳を見て、あの楽しかった瞬間を思い出している顔は、まぐれもなくハギャレンに後ろ髪引かれている顔です。
その頃、米田家には歩の付き人・佐々木祐馬(一ノ瀬ワタル)訪ねてきます。彼は歩を大女優だと言います。偽物のギャルだけど、本物の女優なのでしょうか。
佐々木という人物はなんだかあやしげにも見えます。
おじいちゃんは歩が女優だということを近所に触れ回り、歩が帰ってくると、近隣の人たちが待ち構えていました。
歩は祐馬の姿を見るやいなや猛スピードで逃げます。
仲里依紗さんの走る勢いがものすごいのと、松平健さんの倒れ方が軽快なのとで、愉快なシーンになりました。
佐々木という人物はなんだかあやしげにも見えます。
一ノ瀬ワタルさん、「サンクチュアリ‐聖域‐」で主役の力士役で注目された俳優ですが、朝ドラ初出演ではなく「エール」にもゲスト出演していました。
結のことを心配した陽太(菅生新樹)が夜釣りに誘います。彼は漁師を継ぐ気はありません。
そして四ツ木がいちごジャムを届けにきます。彼も当然、結を心配しているのでしょう。
最初に会った時と同じ寂しそうな顔に戻ってると気にします。やっぱり結は心に蓋をしてしまっている。それを四ツ木はわかっているのです。陽太もたぶん、感じているのでしょうけれど。
結は「みんないつか消えてしまうけん」と意味深なことを言います。歩は「偽物」と自分のことを言い、結は「みんな消えてしまう」だから「一生懸命やっても無駄」と諦め気分で、どちらもネガティブです。
今週の演出担当・小野見知さんはアングルを見つけるセンスがいい。
第4週では米田家の家の間取りがわかるようなアングルがあったし、今回は四ツ木が米田家に来る前、作業場を、母屋側からうんと引きで撮っていたり、蛍光灯をわざわざ背後に入れていたりしてセットでも単調に見えません。若手演出、がんばれ。一生懸命やることは無駄ではありません。
(文:木俣冬)
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