続・朝ドライフ

SPECIAL

2024年02月23日

「ブギウギ」木野花さんの名演技とお花の障子にほっこり<第101回>

「ブギウギ」木野花さんの名演技とお花の障子にほっこり<第101回>


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2023年10月2日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「ブギウギ」。

「東京ブギウギ」や「買物ブギー」で知られる昭和の大スター歌手・笠置シヅ子をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。歌って踊るのが大好きで、戦後の日本を照らす“ブギの女王”となっていく主人公・福来スズ子を趣里が演じる。

ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。今回は、第101回を紐解いていく。

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母と子の歌「ヘイヘイブギー」

りつ子(菊地凛子)の計らいで突如現れた家政婦・大野晶子(木野花)は朝6時から来ておいしそうな朝食を作ってくれます。

いい匂いで目覚めたスズ子(趣里)の表情は、いつだったかの、麻里(市川実和子)が一日、家事を代わってくれたときの表情と似ていました。

久しぶりに、自分でやらずとも誰かが作ってくれた家庭の温もりに浸れる安心感や喜びに満ち、肩の力が抜けた表情でした。

愛子を残して、試写会と打ち合わせに向かうスズ子。たしかに、試写会に愛子がいたら、途中でぐずって、映画がちゃんと見られないでしょう。連れていかなくてよかったと思います。大野の現れたタイミングがよかった。

映画の出来が良かったので、タナケン(生瀬勝久)も上機嫌で、撮影中のスズ子の問題(愛子にかまけて撮影に穴を開けた)は「そんなこともうみんな忘れてるよ」と水に流してしまいます。

さすが、実力勝負の人。私生活や性格なんて関係ない。芝居が巧くて面白ければいいのです。でもそういう実力至上主義がハラスメントにもつながるわけで、現代社会では通用しなくなっていますが。タナケンだって、舞台稽古のときは、けっこうハラスメント的な言動をしていましたから。

条映での試写会のあと、コロンコロンレコードで打ち合わせが予定されていましたが、置いてきた愛子のことが気になって、スズ子は打ち合わせを山下(近藤芳正)に任せて帰宅。すると――。

愛子はおとなしく、洗濯物をたたむお手伝いをしていました。
そして、ほったらかしにしていた破れ障子もきれいに張り替えられていて……。



「女の子だもの お花の障子は破きませんよ きっと」
(大野晶子)

大野さんのアイデアは素敵でした。現代的な感覚だと男の子にもお花の障子を破かない子はいる、と言い出す人がいそうで、「女の子は」と分けづらくなっていますが、女の子はかわいいものが好き、お花が好き、というやさしい感覚はなくしたくないものであります。そこは、かわいいものやお花が好きな人はいる、というふうになるのでしょうか。

そういえば、壁掛けの花瓶にも大野さんによってようやく花が活けられています。かつて、愛助(水上恒司)がいた頃は、花が絶えなかった家ですが、亡くなってからは花が飾られることがなくなっていました。

安定した感情でやさしく接すると、子供も安定してやさしくなるようで、結局、スズ子が焦っていたため、愛子も不安定になってしまっていたということでしょう。いまやもう全然表情が違います。

スズ子は愛子の激変に感動し、家が落ち着いたことに心から安堵し、大野さんに感謝し、彼女に任せようと決意します。

「ずっとひとりでがんばってきたはんでね。これからが私がいます。頼ってけ」とスズ子をやさしくねぎらう大野さん。
ここまで長かった――。長すぎた――。

そして出来上がった「ヘイヘイブギー」は、スズ子にとっては愛子への歌になったのです。

「あなたが笑えば私も笑う」というサブタイトルにもなっている歌詞の「あなた」は、「愛子」のこと。
芸に人間性が出るというタナケンの言葉のように、「ヘイヘイブギー」にはスズ子の母の愛がこもったのです。でも、羽鳥(草彅剛)は恋の歌と思って作ったようなのですが。実は、母の歌だったという、
意外性の物語でした。


(文:木俣冬)

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