「おむすび」結の支えは善意のおしつけ?沙智のキツイ指摘【第44回】
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2024年9月30日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「おむすび」。
平成“ど真ん中”の、2004年(平成16年)。ヒロイン・米田結(よねだ・ゆい)は、福岡・糸島で両親や祖父母と共に暮らしていた。「何事もない平和な日々こそ一番」と思って生きてきた結。しかし、地元で伝説と化した姉の存在や、謎のギャル軍団、甲子園を目指す野球青年など、個性的な面々にほん弄されていく。そんな仲間との濃密な時間の中、次第に結は気づいていく。「人生を思いきり楽しんでいいんだ」ということを――。
青春時代を謳歌した自然豊かな糸島、そして阪神・淡路大震災で被災するまでの幼少期を過ごした神戸。ふたつの土地での経験を通じて、食と栄養に関心を持った結は、あることをきっかけに“人のために役立つ喜び”に目覚める。そして目指したのは“栄養士”だった。
「人は食で作られる。食で未来を変えてゆく。」 はじめは、愛する家族や仲間という身近な存在のために。そして、仕事で巡りあった人たちのために。さらには、全国に住む私たちの幸せへと、その活動の範囲を広げていく。
ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。
今回は、第44回を紐解いていく。
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話せば伝わる?
突如、結(橋本環奈)の家に泊まりに来た佳純(平祐奈)。お寿司を御礼にしたのはいいけれど、それほど深く知り合いなわけでもない家で奔放過ぎる振る舞い。
部屋に大量のぬいぐるみを持ち込んだり、朝はヨーグルトとフルーツを希望したり。
それが許せないのは歩(仲里依紗)。でも歩も糸島に急に帰ってきたとき、無脂肪牛乳を希望したり、けっこうマイペースでした。
しかも、朝食中、歩は、家に生活費を入れろという聖人(北村有起哉)に、話題をずらして誤魔化そうとします。他人を怒れる筋合いではない。でもまあ自分のことは見えないもの。
佳純の家族問題は、父が彼女を憎んでいるというのは誤解であったことが、愛子(麻生久美子)が佳純の母と会って話したことでわかります。町中華・太極軒は飲茶もできるようです。セレブの医者の妻と話すのはおしゃれカフェのほうが。せめてここはパン屋のカフェコーナーのほうが良かったのではという気がしますが。意外と太極軒は名店なのかも。
米田家の呪いといわれる困ってる人を放っておけない性分を愛子も発揮。
ものすごーく簡単に佳純の悩みは解決してしまいました。
ここでは佳純の悩みが重要ではなく、「良かれと思ってやったことでもちゃんと伝わらないことって」「話せばきっと伝わる」ということを結や聖人や歩にさりげなく伝えることなのです。
目下、結、聖人、歩の3人ともが誰かに想いがちゃんと伝わらないことで悩んでいました。結は沙智(山本舞香)、聖人と歩は渡辺(緒形直人)です。
ただし、結が「良かれと思ってやったことでも」の言葉に反応していましたが、彼女の「良かれ」は四ツ木(佐野勇斗)に対する「良かれ」であり、沙智にはなんの関係もありません。でも結は結なりに、沙智と仲良くしたいのか、沙智のいいところを発揮してもらって不機嫌な彼女を励ましたいのか、なにか思うところがあるのでしょう。
結は反省し、沙智に謝罪します。
でも、沙智が「善意のおしつけ」であるとピシャリ。支えられる側の気持ちを考えてないと言うのです。
ごもっとも。
沙智の言葉から、結は、四ツ木の献立に問題があることに気づきます。
アスリートにしては食事の分量が少なかった。
思い切って四ツ木に確認すると、一生懸命結が作ってくれた献立だから、何も言えなかったとやさしい。
でもこれ高校時代と同じ徹を踏んでいます。なぜ……。
アスリートが体を作って強くなるという話は、朝食時、歩が、昔はガリガリだった力士の白鵬がちゃんこばくばく食べて体重を増やし強くなったという世間話をしていて、ピンと来る人なら来るでしょう。
そもそも体の大きなもりもり(小手伸也)も手伝っていたのですから、分量が少ないことに気づいても良さそうなものですが……。それに、アドバイスもらうなら先生を頼ってもいいのでは……。いや、そこはドラマ。これは現実ではなくフィクションなのです。
ドラマにおいて、主人公が障害を乗り越えることが重要素となります。だからあえて障害を作らないといけません。主人公をあえて未熟に描く必要があるのです。
ところで。「話せばわかる」なんてことはないと言われる世知辛い世の中ですが、「話せば伝わる」ことを信じている愛子。その言葉に突き動かされていくらしき結や聖人。はたして、このドラマでは話せば伝わるという理想論を証明することはできるでしょうか。
最も難題そうなのが渡辺さん。善意のおしつけにならないように、彼とコミュニケーションをうまくとるにはどうしたらいいのか。明日金曜日には、佳純問題のようにまるっと解決しちゃうでしょうか。
(文:木俣冬)
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