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2024年9月30日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「おむすび」。
平成“ど真ん中”の、2004年(平成16年)。ヒロイン・米田結(よねだ・ゆい)は、福岡・糸島で両親や祖父母と共に暮らしていた。「何事もない平和な日々こそ一番」と思って生きてきた結。しかし、地元で伝説と化した姉の存在や、謎のギャル軍団、甲子園を目指す野球青年など、個性的な面々にほん弄されていく。そんな仲間との濃密な時間の中、次第に結は気づいていく。「人生を思いきり楽しんでいいんだ」ということを――。
青春時代を謳歌した自然豊かな糸島、そして阪神・淡路大震災で被災するまでの幼少期を過ごした神戸。ふたつの土地での経験を通じて、食と栄養に関心を持った結は、あることをきっかけに“人のために役立つ喜び”に目覚める。そして目指したのは“栄養士”だった。
「人は食で作られる。食で未来を変えてゆく。」 はじめは、愛する家族や仲間という身近な存在のために。そして、仕事で巡りあった人たちのために。さらには、全国に住む私たちの幸せへと、その活動の範囲を広げていく。
ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。
今回は、第88回を紐解いていく。
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濱田マリさん
NSTとはNutrition Support Team の略で、栄養管理をとくに必要とする患者のために、医師、看護師、薬剤師、管理栄養士が中心となったチーム。
小児科の患者でネフローゼ症候群の晴人くんが気になる結(橋本環奈)に、塚本(濱田マリ)が参加しないかと声をかけます。病院では、科によって担当が分けられていて、科が違うと関われないのですが、このチームであれば、科を超えて、栄養管理支援に携わることができるのです。Nutritionは栄養の意味。栄養管理だけでチームができるということはよっぽど大事なことなのですね。
チームは、塚本、看護師・桑原(妃海風)、言語聴覚士・杉沢(犬飼貴丈)、医師・松崎(永野宗典)、薬剤師・篠宮(辻凪子)の5人。
結はまずは見学。病棟に回診に行くとき、横並びで廊下を歩く姿に「戦隊ヒーローみたいで超かっこいい」と結はときめきます。松崎が赤で、篠宮が青、杉沢がグリーンで、ひときわセンターの松崎の赤が際立って見えました。でも、医療ドラマの回診シーンや戦隊ものの出動シーンのように、一糸乱れぬ並び方ではなく、ガタガタでしたが。
カンファレンスを見学していると、松崎の先輩医師・森下(馬場徹)がほかの仕事があるのにこの活動に時間を割くことを批判します。「森下先生、相変わらずこわ」と結は心のなかでつぶやきます。
第88回では、ほかの登場人物と結の関わった時間がどの程度なのか、ちょっとわかりにくいところがありましたが、今回は「相変わらず」によって、感じ悪い松崎のことを結はよく見かけているのだとわかりました。誰もが絶対に間違わない、これ以上ない言葉の選択です。
結は、気難しい患者さんが病院食がまずいというのを聞いて、自分がつくった(献立を)と名乗りをあげ、ぺらぺらと立板に水の勢いであしらいはじめます。献立を批判されて、頭に血がのぼってしまったのでしょうか。献立じゃなくて調理の問題かもしれないですが、自分のせいと思う責任感の強さ。
さて、本日は、再放送の「カーネーション」と「カムカムエヴリバディ」にも出演していて、3作出ていると話題の濱田マリさんのコメントをご紹介。
Q1 出演が決まったときの気持ちは?
出演のお話をいただいたのが、『おむすび』の放送を見始めて2週目くらいのときでしたので、「今は視聴者だけど、ゆくゆくは結ちゃんの上司になるんだ」と思うと不思議な感じがしました。
『おむすび』は避けては通れない「食」や「健康」、さらに「災害」にもフォーカスして描いているので、身近に感じられる作品だなと思っています。いろいろなテーマがありますが、家族を描いた作品だというところが一番好きかもしれません。今回、結ちゃん以外の米田家の方々とご一緒するシーンは少ないかもしれませんけど、米田家のことをとってもうらやましいなと思いながら見ていたので、皆さんと少しでもすれ違えたらいいなと思っています。
Q2 演じる役・塚本文香について
塚本はガミガミ言わないし大きな声も出さないけど、「きっと、誰も私には逆らえないんだろうな」とも思っています。私がこうしましょうと言えば、みんな聞いてくれるよね、みたいな(笑)。「NST(栄養サポートチーム)」を創設したすごく熱量の高い人で、怖い時期もあったかもしれないけれど、一周まわって落ち着いている。穏やかだからこそ感じる圧みたいなのが、みんなに届けばいいなと思います。
管理栄養士さんの役はやったことがないし、専門的な知識も必要になるので大変だなと思っていたんですが、根本さんの脚本はすごくイメージがしやすいんです。専門的なセリフもいっぱいあるんですけれど、キャラクターや人柄が表れているようなセリフもたくさん書いてくださっているので、とても演じやすいですね。
Q3 塚本が結を NST メンバーに推薦したことについて
塚本は「食」と同じくらい、コミュニケーションが大事だと思っていると思います。患者さんもやっぱり人ですから、機嫌が悪かったら食べてくれないかもしれません。でも、仲良くなれば患者さんの心も柔らかくなって、食べてくださるだろうから。塚本さんから見たら、結ちゃんはコミュニケーション能力が高くて頼りになる、「どうだ、すごいだろ!」と自慢できる部下です。一方で、まだ足りない知識を身につけ、十分でない経験も積んでほしい。
管理栄養士としては少し未熟な部分もある結ちゃんですけれど、絶対に乗り越えられると思っているからこそ、安心して後を任せられると思っているんじゃないでしょうか。
結ちゃんを演じる橋本さんとの共演は初めてです。実際にご一緒させていただいて、人間のスケールが「でっけぇな!」と思っています。朝ドラには何作か出させてもらっているので、ヒロインには並々ならぬリスペクトがあるんです。実は私、気を遣うタイプなのでヒロインには近寄りがたく思っていましたが、橋本さんはそんなことないんですよね。きっと橋本さんが、そういう空気を出してくれているんだと思います。それがナチュラルにできるところが格好いいです。
Q4 視聴者へのメッセージと見どころ
『おむすび』に出演して、食事の順番やバランスを考えるようになりました。食事をする時は、「目の前に結ちゃんがいたら、何て言うだろう」と考えながら食べるようにしています(笑)。
今ではアスリートが体のケアや食のことまで意識するようになりましたけれど、これからは特別な人だけじゃなくて、日常の中でも食を管理するようになっていくんじゃないかなと思います。食は、何よりも大切だと思うのです。1日3回食べますから、日々気をつけていれば、病気を未然に防げることもあるはず。そういうことが伝わるドラマになればいいなと思っています。
『おむすび』は、いろんなことを描いている作品なので、皆さんがどこにフォーカスをあてていただいても結構でございます。一緒におむすびの世界に行きましょう!
「根本さんの脚本はすごくイメージがしやすいんです。専門的なセリフもいっぱいあるんですけれど、キャラクターや人柄が表れているようなセリフもたくさん書いてくださっているので、とても演じやすいですね」だそうです。
(文:木俣冬)
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–{「おむすび」第18週あらすじ}–
「おむすび」第18週あらすじ
第18週 「 おむすび、管理栄養士になる 」 2/3-2/7
結(橋本環奈)は無事、平成26年に管理栄養士の資格を取得し、星河電器社員食堂を退社。大阪の総合病院で働き始める。平成30年、結は管理栄養士として4年目を迎えていた。所属する栄養科の科長の塚本 (濱田マリ)は戦国武将好きで、会話にちょいちょい武将ネタが入ってくる。一方、娘の花(宮崎莉里沙)は8歳になり、翔也(佐野勇斗)はちょくちょくヘアサロンヨネダの手伝いに行く。そんな折、結はひょんなことから自分の担当ではない子どもの患者が気にかかり、塚本科長は結に NST (栄養管理サポートチーム)に入ることを勧める。
–{「おむすび」作品情報}–
「おむすび」作品情報
放送予定
2024年9月30日(月)より放送開始
出演
米田結(よねだ・ゆい)/ 橋本環奈
『おむすび』の主人公。平成元年生まれ。 自然豊かな福岡県・糸島で、農業を営む家族と暮らしている。 あることがきっかけで、人々の健康を支える栄養士を志すようになる。
【結の家族・米田家の人々】
米田歩(よねだ・あゆみ)/ 仲里依紗
主人公・結の8つ年上の姉。
福岡で“伝説のギャル”として知られる。 奔放な振る舞いで米田家に波乱を巻き起こすが、ギャルになった裏にはある秘密が…。
主人公・結の父。 娘のことが心配でしょうがない、真面目な性格。 奔放な父の永吉とは言い争うこともしばしば。 元理容師。今は糸島で農業にいそしんでいる。
米田聖人(よねだ・まさと)/ 北村有起哉
主人公・結の父。
娘のことが心配でしょうがない、真面目な性格。 奔放な父の永吉とは言い争うこともしばしば。 元理容師。今は糸島で農業にいそしんでいる。
米田愛子(よねだ・あいこ)/ 麻生久美子
主人公・結の母。
結の祖母・佳代と家事をしながら、聖人の営む農業を支えている。 絵を描くのが得意。
米田永吉(よねだ・えいきち)/ 松平健
主人公・結の祖父。
野球のホークスファンで、自由奔放な“のぼせもん”。 困っている人がいたら放っておけない、情に厚い性格。
米田佳代(よねだ・かよ)/ 宮崎美子
主人公・結の祖母。
古くから伝わる先人たちの知恵に明るく、結が困った時の良きアドバイザーでもある。
【福岡・糸島の人々】
四ツ木翔也(よつぎ・しょうや)/ 佐野勇斗
福岡西高校に野球留学中の高校球児。
四ツ木という姓と眼鏡姿から「福西のヨン様」と呼ばれている。 糸島に練習場があり、結と時々出くわす。栃木県出身。
古賀陽太(こが・ようた)/ 菅生新樹
結の幼なじみで高校のクラスメイト。野球部員。
父は糸島の漁師だが家業を継ぐ気はなく、IT業界を目指している。 ある約束により、結のことを何かと気にかけている。
風見亮介(かざみ・りょうすけ)/ 松本怜生
書道部の先輩。
結にとって憧れの存在。 書道のイメージを一新するような書家を志している。
宮崎恵美(みやざき・えみ)/ 中村守里
結のクラスメイトであり、高校での最初の友達。
結を熱心に書道部へと誘う。 派手なギャルが苦手。
真島瑠梨(ましま・るり)<ルーリー>/ みりちゃむ
結の姉・歩が結成した「博多ギャル連合」(略してハギャレン)の、現在の総代表。
ハギャレンの復興を目指している。
佐藤珠子(さとう・たまこ)<タマッチ>/ 谷藤海咲
ハギャレンのメンバー。
子どものころからダンス好きで、ハギャレンではパラパラの振付を担当。 筋が通らないことを良しとしない、一本気タイプ。
田中鈴音(たなか・すずね)<スズリン>/ 岡本夏美
ハギャレンのメンバー。
結と同い年で、いつもスナック菓子を食べている。 手先が器用で、ネイルチップ作りが趣味。
柚木理沙(ゆずき・りさ)<リサポン>/ 田村芽実
結のクラスメイト。
学校では校則を守るおとなしい女子高生だが、実は隠れギャル&ハギャレンメンバーでもある。ギャルの歴史を本にすることが夢。
ひみこ / 池畑慎之介
糸島の「スナックひみこ」の店主。
年齢、性別、経歴、すべてが不詳の謎の人物。 糸島の住人一人一人の事情をなぜか把握している。
草野誠也(くさの・せいや)/ 原口あきまさ
糸島の商店街で陶器店を営んでいる。
ホークスの大ファン。
古賀武志(こが・たけし)/ ゴリけん
結の幼なじみ・陽太(ようた)の父親。
糸島で漁師をしている。
大村伸介(おおむら・しんすけ)/ 斉藤優(パラシュート部隊)
糸島の商店街で薬店を営んでいる。
ホークスの大ファン。
井出康平(いで・こうへい)/ 須田邦裕
結の父・聖人(まさと)の幼なじみ。
糸島の農業を何とかしたいと日々奮闘している。
佐々木佑馬(ささき・ゆうま)/ 一ノ瀬ワタル
結の姉・歩と行動を共にする“自称・米田歩のマネージャー”。
大河内明日香(おおこうち・あすか)/ 寺本莉緒
結の姉・歩と対立していた、元天神乙女会のギャル。
飯塚恭介(いいづか・きょうすけ)/ BUTCH
福岡県博多のカフェバー「HeavenGod」の店長。
作
根本ノンジ
音楽
堤博明
主題歌
B’z「イルミネーション」
ロゴデザイン
大島慶一郎
語り
リリー・フランキー
制作統括
宇佐川隆史、真鍋 斎
プロデューサー
管原 浩