「おむすび」花(新津ちさ)が負傷、真紀似の少女(大島美優)が脱走【117回】

続・朝ドライフ

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2024年9月30日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「おむすび」。

平成“ど真ん中”の、2004年(平成16年)。ヒロイン・米田結(よねだ・ゆい)は、福岡・糸島で両親や祖父母と共に暮らしていた。「何事もない平和な日々こそ一番」と思って生きてきた結。しかし、地元で伝説と化した姉の存在や、謎のギャル軍団、甲子園を目指す野球青年など、個性的な面々にほん弄されていく。そんな仲間との濃密な時間の中、次第に結は気づいていく。「人生を思いきり楽しんでいいんだ」ということを――。
青春時代を謳歌した自然豊かな糸島、そして阪神・淡路大震災で被災するまでの幼少期を過ごした神戸。ふたつの土地での経験を通じて、食と栄養に関心を持った結は、あることをきっかけに“人のために役立つ喜び”に目覚める。そして目指したのは“栄養士”だった。
「人は食で作られる。食で未来を変えてゆく。」 はじめは、愛する家族や仲間という身近な存在のために。そして、仕事で巡りあった人たちのために。さらには、全国に住む私たちの幸せへと、その活動の範囲を広げていく。

ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。
今回は、第117回を紐解いていく。

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愛子だって普通の人間 でも若見え過ぎる

佳代(宮崎美子)が心配で、愛子(麻生久美子)は糸島に移住したいと考えています。が、聖人(北村有起哉)はそんな気持ちはさらさらなく、むしろ、神戸に恩返しをする気満々でした。佳代も心配だけれど、癌を乗り越えたとはいえ聖人をひとり残して糸島に行くこともできない。どうしていいかわからず、愛子は歩(仲里依紗)結(橋本環奈)に相談します。

歩がどさくさに紛れて聖人に持ちかけるしかないとアドバイスし、愛子はさっそく決行。夜、聖人がリビングで、パソコンの表計算ソフトをおそるおそる使用してみたら、できた!とホッとしているときを見計らい「糸島に移住しよ」と切り出しました。

思わせぶりに佳代も聖人もどちらかひとり選べないとか言いながら、結局、糸島移住一択(愛子のやりたいこと)なんじゃん!と思いますが、そういうちゃっかりしたキャラなので仕方なし。しかも、ここで作者がやりたいことは「どさくさに紛れて何言うてんねん」と聖人が愛子の作戦を見切っていて、すげなくあしらう面白さだと思いますのでこれでいいのだ。

どさくさ作戦失敗と、愛子はさっそく、メッセージングアプリで報告。歩は冗談を真に受けたと一笑に付しました。結はそうなるに決まってると思いながら止めなかったことを告白。なんて母娘だ。でもこういうなにげない母娘の会話は楽しく見られます。

愛子が歩たちに相談したとき、結が「お母さんも悩むんやね」と言うと、「お母さんだって普通の人間だよ」と返すのですが、いやいや、愛子は普通ではありません。若すぎます。聖人にあしらわれ、すねたように部屋を出ていくときの、解いたロングヘアの後ろ姿が、髪が豊かで黒々していて若々しすぎました。女性は50歳も過ぎると髪の毛のコンディションも不安になります。染めることはできても、こんなにツヤツヤサラサラロングは望めませんので、短く切ってしまう人が多いです。長く伸ばしている人もいますが、どうしてもパサパサに見えてしまうものです。と、ここまで書いて気づきました。米田家はヘアサロンなので、髪にいいケアを入念にしているのかもしれません!

病院では、真紀ちゃん似の少女(大島美優)がちっともご飯を食べてくれないので、結は心配しています。必殺「美味しいものを食べたら悲しいことちょっとは忘れられるけん」作戦も、少女には効きません。食べても、悲しいことが忘れられないと、プリンを残してしまいました。

結だって、美味しいものを食べたって悲しいことが本当に忘れらるわけはないとわかっています。「悲しいときこそ笑う」とか「悲しいときにはおいしいものを食べる」とかそういうことは、気持ちの持ちようの話であって、実際にそうかエビデンスはありません。そんなことみんなわかっていて、そういう建前で生きているわけです。希望を持ち、前向きになろうとするのが人間の生きる力。でも、少女は世の中の建前なんて関係ないほど、絶望しているのです。

絶望し過ぎていると、前向きな考え方が、嘘くさい、ごまかしに見えるものです。たぶん、病院は、彼女を救ってくれる場ではなく、気持ちの悪い希望に満ちた偽善的な世界に見えるのでしょう。少女は病院を抜け出します。個人的には少女を支持したい。形骸化した決めセリフみたいなものが筆者は好きではないので、いいぞいいぞ、もっと否定しろと思って見ました。先週のコロナ禍や、荒んだ少女の話は「新宿野戦病院」を意識しているのかなと感じます。

ところが、少女は何も食べていないから歩きがおぼつかなくて……。そんな彼女に気づいたのは花(新津ちさ)でした。

花はサッカーの練習中にケガしていまい、結の病院に運び込まれていました。幸い、大事には至らずでした。翔也(佐野勇斗)の悲劇再び、にならず、ホッとして病院の待合室に座っているとき、少女がよろよろ歩いたすえ廊下の角に座り込んでいることに、花が気づくのです。

花は自分も松葉杖でおぼつかないはずなのに(たぶん、はじめて松葉杖を使ったと思うのですがずいぶん手際よく松葉杖を使いこなしています)、少女をつれて、備品倉庫みたいなところに隠れます。さすが、人助け好きな米田家の呪いの子。栄養失調でふらふらの患者と松葉杖の少女がよたよた病院の廊下を歩いていたら、誰かしら心配になると思うのですが、たまたま見えないところにいたのでしょう。ここで運命的に、真紀ちゃんに似た少女・田原詩と花の友情が育まれるのでしょうか。ドラマティックですねー。

人助け好きなお人好しの米田家の役割を引き継ぐ花。と同時に、翔也の機能キャラの役割も引き継いでいます。ケガして病院に運び込まれる。→翔也がドリンクを買いに席を外す。→花が詩に気づく。と偶然の積み重ねという、お話に都合よく機能的に翔也と花は動いています。キャラに対して余計な私情をいっさい入れず、徹底して結末ありきの展開を書けることは、長年の鍛錬による確かな技術です。根本ノンジさん、職人だなあ!(まじで褒めています)  例えば、花がこれまで自由に駆け回ることができたのに、松葉杖を使って体が自由に動かないもどかしさ、みたいな物語を入れたくなってしまうものではないかと思いますが、尺もないし、ここでは詩を助けることが優先だから、そういうことには目をつむる。そのドライな手際の良さが、お仕事が引きもきらない理由なのかもしれません。

(文:木俣冬)

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–{「おむすび」第24週あらすじ}–

「おむすび」第24週あらすじ

第24週「家族って何なん?」3 /17-3 /21


結が勤める病院に田原詩(うた)という名の栄養失調の少女が入院するが、一切食事を取ろうとせず結たちは困る。
詩は幼い頃両親を事故で亡くし児童養護施設で育ったらしく、歩の亡くなった親友・真紀にどことなく顔が似ていた。
そんな折、愛子から結と歩に相談があると言って3人で会ったところ、愛子は糸島に移住を希望していて、聖人に言いづらいと言う。結たちは聖人の機嫌がいい時に言えばいいと助言するが、聖人は聞き入れず、愛子は結局無断でお試し移住を始める。

–{「おむすび」作品情報}–

「おむすび」作品情報

放送予定
2024年9月30日(月)より放送開始

出演
米田結(よねだ・ゆい)/ 橋本環奈
『おむすび』の主人公。平成元年生まれ。 自然豊かな福岡県・糸島で、農業を営む家族と暮らしている。 あることがきっかけで、人々の健康を支える栄養士を志すようになる。

【結の家族・米田家の人々】

米田歩(よねだ・あゆみ)/ 仲里依紗
主人公・結の8つ年上の姉。
福岡で“伝説のギャル”として知られる。 奔放な振る舞いで米田家に波乱を巻き起こすが、ギャルになった裏にはある秘密が…。
主人公・結の父。 娘のことが心配でしょうがない、真面目な性格。 奔放な父の永吉とは言い争うこともしばしば。 元理容師。今は糸島で農業にいそしんでいる。

米田聖人(よねだ・まさと)/ 北村有起哉
主人公・結の父。
娘のことが心配でしょうがない、真面目な性格。 奔放な父の永吉とは言い争うこともしばしば。 元理容師。今は糸島で農業にいそしんでいる。

米田愛子(よねだ・あいこ)/ 麻生久美子
主人公・結の母。
結の祖母・佳代と家事をしながら、聖人の営む農業を支えている。 絵を描くのが得意。

米田永吉(よねだ・えいきち)/ 松平健
主人公・結の祖父。
野球のホークスファンで、自由奔放な“のぼせもん”。 困っている人がいたら放っておけない、情に厚い性格。

米田佳代(よねだ・かよ)/ 宮崎美子
主人公・結の祖母。
古くから伝わる先人たちの知恵に明るく、結が困った時の良きアドバイザーでもある。

【福岡・糸島の人々】

四ツ木翔也(よつぎ・しょうや)/ 佐野勇斗
福岡西高校に野球留学中の高校球児。
四ツ木という姓と眼鏡姿から「福西のヨン様」と呼ばれている。 糸島に練習場があり、結と時々出くわす。栃木県出身。

古賀陽太(こが・ようた)/ 菅生新樹
結の幼なじみで高校のクラスメイト。野球部員。
父は糸島の漁師だが家業を継ぐ気はなく、IT業界を目指している。 ある約束により、結のことを何かと気にかけている。

風見亮介(かざみ・りょうすけ)/ 松本怜生
書道部の先輩。
結にとって憧れの存在。 書道のイメージを一新するような書家を志している。

宮崎恵美(みやざき・えみ)/ 中村守里
結のクラスメイトであり、高校での最初の友達。
結を熱心に書道部へと誘う。 派手なギャルが苦手。

真島瑠梨(ましま・るり)<ルーリー>/ みりちゃむ
結の姉・歩が結成した「博多ギャル連合」(略してハギャレン)の、現在の総代表。
ハギャレンの復興を目指している。

佐藤珠子(さとう・たまこ)<タマッチ>/ 谷藤海咲
ハギャレンのメンバー。
子どものころからダンス好きで、ハギャレンではパラパラの振付を担当。 筋が通らないことを良しとしない、一本気タイプ。

田中鈴音(たなか・すずね)<スズリン>/ 岡本夏美
ハギャレンのメンバー。
結と同い年で、いつもスナック菓子を食べている。 手先が器用で、ネイルチップ作りが趣味。

柚木理沙(ゆずき・りさ)<リサポン>/ 田村芽実
結のクラスメイト。
学校では校則を守るおとなしい女子高生だが、実は隠れギャル&ハギャレンメンバーでもある。ギャルの歴史を本にすることが夢。

ひみこ / 池畑慎之介
糸島の「スナックひみこ」の店主。
年齢、性別、経歴、すべてが不詳の謎の人物。 糸島の住人一人一人の事情をなぜか把握している。

草野誠也(くさの・せいや)/ 原口あきまさ
糸島の商店街で陶器店を営んでいる。
ホークスの大ファン。

古賀武志(こが・たけし)/ ゴリけん
結の幼なじみ・陽太(ようた)の父親。
糸島で漁師をしている。

大村伸介(おおむら・しんすけ)/ 斉藤優(パラシュート部隊)
糸島の商店街で薬店を営んでいる。
ホークスの大ファン。

井出康平(いで・こうへい)/ 須田邦裕
結の父・聖人(まさと)の幼なじみ。
糸島の農業を何とかしたいと日々奮闘している。

佐々木佑馬(ささき・ゆうま)/ 一ノ瀬ワタル
結の姉・歩と行動を共にする“自称・米田歩のマネージャー”。

大河内明日香(おおこうち・あすか)/ 寺本莉緒
結の姉・歩と対立していた、元天神乙女会のギャル。

飯塚恭介(いいづか・きょうすけ)/ BUTCH
福岡県博多のカフェバー「HeavenGod」の店長。


根本ノンジ

音楽
堤博明

主題歌
B’z「イルミネーション」

ロゴデザイン
大島慶一郎

語り
リリー・フランキー

制作統括

宇佐川隆史、真鍋 斎

プロデューサー
管原 浩

公式サイト

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