「おむすび」「カーネーション」で泰蔵こと須賀貴匡演じる人物は何者なのか【93回】

続・朝ドライフ

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2024年9月30日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「おむすび」。

平成“ど真ん中”の、2004年(平成16年)。ヒロイン・米田結(よねだ・ゆい)は、福岡・糸島で両親や祖父母と共に暮らしていた。「何事もない平和な日々こそ一番」と思って生きてきた結。しかし、地元で伝説と化した姉の存在や、謎のギャル軍団、甲子園を目指す野球青年など、個性的な面々にほん弄されていく。そんな仲間との濃密な時間の中、次第に結は気づいていく。「人生を思いきり楽しんでいいんだ」ということを――。
青春時代を謳歌した自然豊かな糸島、そして阪神・淡路大震災で被災するまでの幼少期を過ごした神戸。ふたつの土地での経験を通じて、食と栄養に関心を持った結は、あることをきっかけに“人のために役立つ喜び”に目覚める。そして目指したのは“栄養士”だった。
「人は食で作られる。食で未来を変えてゆく。」 はじめは、愛する家族や仲間という身近な存在のために。そして、仕事で巡りあった人たちのために。さらには、全国に住む私たちの幸せへと、その活動の範囲を広げていく。

ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。
今回は、第93回を紐解いていく。

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森下は押し付けたわけじゃなかった?

親睦会のあと「疲れた」と言いながら結(橋本環奈)が帰宅すると、前髪ぱっつんになった歩(仲里依紗)が来ていました。前髪ぱっつんはひみこ(池畑慎之介)を意識したのでしょうか。

飲み会が「疲れた」は正直だとは思いますが、NSTという志あるチームの人たちとはじめて語り合う飲み会で疲れちゃうのもさみしい感じ。ギャルはつるんではっちゃけるイメージなのですが、趣味の合わない人たちとの飲食は結は苦手なんでしょうか。結の妙に冷めていて、他者と壁を作るところはギャル化する前のようです。結という人物の実態がいまいちわかりません。話は単純なのにキャラがへんに多面的なじつに個性的なドラマです。

翔也(佐野勇斗)花(宮崎莉里沙)が仲良さそう。第92回ではふたりでアイス食べる場面がよかったし、第93回は翔也が頭皮のマッサージの練習を花を練習台にしてやっています。その手前で、結は歩に、いまどきの加工女子の話を相談。

歩は「かわいくなっても楽しくなければ意味なくね?」と言います。「楽しくなければテレビじゃない」というキャッチフレーズのフジテレビを思わせるようなセリフはちょっとタイミングが悪かったですね。まあ、歩はずっといまを楽しむと言っていましたけれど。

病院では、バイキング形式の食事レクチャーイベントが行われます。患者が好きに料理を選び、それを管理栄養士がチェックしてアドバイスするもので、患者が自主的に料理を選択することを楽しみます。

そこに、拒食症の曽根麻利絵(桧山ありす)もやって来ますが(病院とはいえ病室から出るときパジャマのうえに何もはおらないものなのかと驚いた。思春期の女の子なのに)、母親の紗英(潮田由香里)がたくさん選んで持ってきた料理を見て、「こうなったのはママのせい」と言い出しました。どうやら、母親が大量に作った料理を全部食べて太ってしまっていたらしい。子どものとき、家で出るものを何も考えずに食べていたら太って、中学や高校で自意識が芽生えるとダイエットをはじめる女の子は少なくないでしょう。

麻利絵の母親は、子どものとき貧しくて、お腹いっぱい食べられなかったため、子どもにだけはたくさん食べてほしいと思ってのことでした。ここも「母親って何なん?」に」つながっているのでしょう。

結は、自分より年長のおばちゃんの患者を「八重ちゃん」と呼んでうまくやっていましたが、麻利絵は手強い。森下(馬場徹)には「君らやったらなんとかしてくれるんやないかと本気で思ってたんやけどな」とがっかりされる始末。森下は面倒な患者を押し付けたわけではなくて、本気でNSTを見込んでいたようです。結同様、森下もキャラが一筋縄ではいかない。「人間とは多面体である」と言えるようにキャラが造形されているようです。個人的な好みとしては、物語に起伏のあるものなのですが、キャラのギャップで展開していくのが昨今の流行りなんでしょうか。

ただ、シーンとシーンのつなぎは意識されています。八重ちゃんと結が呼ぶ患者夫婦の仲良さを見て、自分の父母のことを思う結からの、ヘアサロンヨネダ。

イケメンの白木(須賀貴匡)と会っている愛子(麻生久美子)。今日もひらひらワンピにジャケットで出かけていきます。そんな服持ってたか?と聞く聖人(北村有起哉)に、結の卒業式に着ていたと答える愛子。つまり、6年くらい、よそいきの服を買ってないということです。ずーっと、働いているだけ。八重ちゃん夫婦のように、病気が治ったら温泉に行くというような夫婦の仲良しコミュニケーションがないのです。娘ふたりも独立したというのに、聖人と愛子はよそゆきの服を買ったり、旅行行ったりしてないなんて、やっぱり商店街が寂れているから苦労しているのかも。そんな味気ない毎日だから、愛子がイケメンになびいてしまうのも無理はないのでしょうか。

愛子が謎の白木と待ち合わせてどこか行く様子を偶然、歩が見つけてしまうのです。それをさっそく、聖人と翔也に話しますが、聖人は愛子に限って浮気なんてと信じません(でも動揺はしている)。

翔也に結に話すなよ、と聖人は釘を差しますが、そのときの翔也の顔は絶対心にしまっておけない顔。ここは第93回のなかで、素直に笑えました。

(文:木俣冬)

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–{「おむすび」第19週あらすじ}–

「おむすび」第19週あらすじ

第19週 「母親って何なん?」(2/10-2/14)

理容師になりたいと思った翔也は、聖人(北村有起哉)に弟子入りを志願。聖人は経済的なことを心配するが、愛子(麻生久美子)の応援で正式に見習いとなる。一方、結は病院で女子高生の曽根麻利絵(桧山ありす)の担当になるが、栄養不足なのにダイエットにこだわり必要量の食事をとらないことに困っていた。しかも、食べない理由が可愛くなりたいからと言われ、自分がギャルで可愛くなることに積極的なだけに、どう対応したらいいのか悩んでしまう。そんな折、歩(仲里依紗)は繁華街で愛子が密かに男と会っているのを発見する。

–{「おむすび」作品情報}–

「おむすび」作品情報

放送予定
2024年9月30日(月)より放送開始

出演
米田結(よねだ・ゆい)/ 橋本環奈
『おむすび』の主人公。平成元年生まれ。 自然豊かな福岡県・糸島で、農業を営む家族と暮らしている。 あることがきっかけで、人々の健康を支える栄養士を志すようになる。

【結の家族・米田家の人々】

米田歩(よねだ・あゆみ)/ 仲里依紗
主人公・結の8つ年上の姉。
福岡で“伝説のギャル”として知られる。 奔放な振る舞いで米田家に波乱を巻き起こすが、ギャルになった裏にはある秘密が…。
主人公・結の父。 娘のことが心配でしょうがない、真面目な性格。 奔放な父の永吉とは言い争うこともしばしば。 元理容師。今は糸島で農業にいそしんでいる。

米田聖人(よねだ・まさと)/ 北村有起哉
主人公・結の父。
娘のことが心配でしょうがない、真面目な性格。 奔放な父の永吉とは言い争うこともしばしば。 元理容師。今は糸島で農業にいそしんでいる。

米田愛子(よねだ・あいこ)/ 麻生久美子
主人公・結の母。
結の祖母・佳代と家事をしながら、聖人の営む農業を支えている。 絵を描くのが得意。

米田永吉(よねだ・えいきち)/ 松平健
主人公・結の祖父。
野球のホークスファンで、自由奔放な“のぼせもん”。 困っている人がいたら放っておけない、情に厚い性格。

米田佳代(よねだ・かよ)/ 宮崎美子
主人公・結の祖母。
古くから伝わる先人たちの知恵に明るく、結が困った時の良きアドバイザーでもある。

【福岡・糸島の人々】

四ツ木翔也(よつぎ・しょうや)/ 佐野勇斗
福岡西高校に野球留学中の高校球児。
四ツ木という姓と眼鏡姿から「福西のヨン様」と呼ばれている。 糸島に練習場があり、結と時々出くわす。栃木県出身。

古賀陽太(こが・ようた)/ 菅生新樹
結の幼なじみで高校のクラスメイト。野球部員。
父は糸島の漁師だが家業を継ぐ気はなく、IT業界を目指している。 ある約束により、結のことを何かと気にかけている。

風見亮介(かざみ・りょうすけ)/ 松本怜生
書道部の先輩。
結にとって憧れの存在。 書道のイメージを一新するような書家を志している。

宮崎恵美(みやざき・えみ)/ 中村守里
結のクラスメイトであり、高校での最初の友達。
結を熱心に書道部へと誘う。 派手なギャルが苦手。

真島瑠梨(ましま・るり)<ルーリー>/ みりちゃむ
結の姉・歩が結成した「博多ギャル連合」(略してハギャレン)の、現在の総代表。
ハギャレンの復興を目指している。

佐藤珠子(さとう・たまこ)<タマッチ>/ 谷藤海咲
ハギャレンのメンバー。
子どものころからダンス好きで、ハギャレンではパラパラの振付を担当。 筋が通らないことを良しとしない、一本気タイプ。

田中鈴音(たなか・すずね)<スズリン>/ 岡本夏美
ハギャレンのメンバー。
結と同い年で、いつもスナック菓子を食べている。 手先が器用で、ネイルチップ作りが趣味。

柚木理沙(ゆずき・りさ)<リサポン>/ 田村芽実
結のクラスメイト。
学校では校則を守るおとなしい女子高生だが、実は隠れギャル&ハギャレンメンバーでもある。ギャルの歴史を本にすることが夢。

ひみこ / 池畑慎之介
糸島の「スナックひみこ」の店主。
年齢、性別、経歴、すべてが不詳の謎の人物。 糸島の住人一人一人の事情をなぜか把握している。

草野誠也(くさの・せいや)/ 原口あきまさ
糸島の商店街で陶器店を営んでいる。
ホークスの大ファン。

古賀武志(こが・たけし)/ ゴリけん
結の幼なじみ・陽太(ようた)の父親。
糸島で漁師をしている。

大村伸介(おおむら・しんすけ)/ 斉藤優(パラシュート部隊)
糸島の商店街で薬店を営んでいる。
ホークスの大ファン。

井出康平(いで・こうへい)/ 須田邦裕
結の父・聖人(まさと)の幼なじみ。
糸島の農業を何とかしたいと日々奮闘している。

佐々木佑馬(ささき・ゆうま)/ 一ノ瀬ワタル
結の姉・歩と行動を共にする“自称・米田歩のマネージャー”。

大河内明日香(おおこうち・あすか)/ 寺本莉緒
結の姉・歩と対立していた、元天神乙女会のギャル。

飯塚恭介(いいづか・きょうすけ)/ BUTCH
福岡県博多のカフェバー「HeavenGod」の店長。


根本ノンジ

音楽
堤博明

主題歌
B’z「イルミネーション」

ロゴデザイン
大島慶一郎

語り
リリー・フランキー

制作統括

宇佐川隆史、真鍋 斎

プロデューサー
管原 浩

公式サイト

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