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2024年9月30日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「おむすび」。
平成“ど真ん中”の、2004年(平成16年)。ヒロイン・米田結（よねだ・ゆい）は、福岡・糸島で両親や祖父母と共に暮らしていた。「何事もない平和な日々こそ一番」と思って生きてきた結。しかし、地元で伝説と化した姉の存在や、謎のギャル軍団、甲子園を目指す野球青年など、個性的な面々にほん弄されていく。そんな仲間との濃密な時間の中、次第に結は気づいていく。「人生を思いきり楽しんでいいんだ」ということを――。
青春時代を謳歌した自然豊かな糸島、そして阪神・淡路大震災で被災するまでの幼少期を過ごした神戸。ふたつの土地での経験を通じて、食と栄養に関心を持った結は、あることをきっかけに“人のために役立つ喜び”に目覚める。そして目指したのは“栄養士”だった。
「人は食で作られる。食で未来を変えてゆく。」 はじめは、愛する家族や仲間という身近な存在のために。そして、仕事で巡りあった人たちのために。さらには、全国に住む私たちの幸せへと、その活動の範囲を広げていく。
ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。
今回は、第83回を紐解いていく。
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まきちゃんの声
まきの声を忘れてしまいそうだと嘆く孝雄（緒形直人）に、歩（仲里依紗）はまきの声を録音したテープを届けます。カセットから、聞こえる歩とまきのおしゃべりと歌声。「あの夏はもう来ない」という歌詞が染みます。「やばお父ちゃん帰ってきた」とまきが録音を止め、テープの中身はそれで終わり？ 歩はそのあとの記憶を話します。孝雄が歩と遊んでいることを叱ったそうです。そう、このテープの頃、アーケード建設問題で孝雄は聖人（北村有起哉）と対立（一方的に孝雄が敵視していた）していて、まきに歩と遊ぶなと強いていたのです。それがいまや、歩と同士のようになっている。人生はなにがあるかわかりません。
まきの声を思い出す儀式でしたが、当時の孝雄がいかに頑固であったか思い出して、心が痛むのではないでしょうか。でも、そこはさておき、孝雄による、「おむすび」名物・自分語り。先に病気で亡くなった妻に、まきを守ってと言われたにもかかわらず、守れなかったことを悔やんでも悔やみきれずに17年。孝雄はせめて、思い出の染み込んだ家を残したいのです。
頭の固い筆者には、こういう話を入れるのであれば、孝雄の家を作り込んでほしいのですが、いかんせん、孝雄の家のセットが凝ってないので、感情移入しづらい。そんなのなくても想像できる人たちもいるのもわかりますが、眼に見えたものしか信じたくない人もいることもわかってほしいなあと思います。ただ、緒形直人さんの身体が放つものが、17年、哀しみを抱えて生きてきた人に見えるので、この場面はなんとか成立しています。ナベべ化したり、昔に戻ったり、大変な役を緒方さん、よく演じていらっしゃいます。
まきの声を託して、とりあえず、孝雄の問題は解決？ 次は、商店街閑古鳥問題。オーロラ餃子やメロンパンを売り出して一週間、全然売れず……。閉店セール中のガーリーズも、客足が途絶えています。
そこへひみこ（池畑慎之介）が訪ねてきます。ひみこはいつも素敵な服を着ています。お金はどこから得ているのでしょう。それはともかく。この商店街、どこもかしこも人の気配がないのです。役付きの俳優しかいない。商店街もひとつの題材に据えているのにお客さんの顔が見えない。すごい割り切り方だと思います。たぶんこれも孝雄の家、同様、日本各地にあるシャッター商店街的なことを想像すればいいのだと思いますが。それにしても人がいない。新しい世代を取り込むべく、新しいことに挑戦しているようで、ここは徹底して、吉本新喜劇的な旧来のスタジオドラマの手法のように、外の世界を作らないやり方なのです。いまの若い世代は新海誠アニメのように、ディテールが細かいものに惹かれ、そこに自分を重ねるのだと思うのですけど、いかがでしょうか（誰に問いかけているのか）。
さて。ひみこは自分の名前に由来するであろう邪馬台国の話をはじめます。邪馬台国がどこにあったかいろんな説があるが、どこでもええ、「なんでみんな決めつけたがるのかな」と、老若男女、みんな自由とひみこは言うのです。これを池畑慎之介さんが言うのは、説得力以外の何ものでもありません。
歩は、ひみこをギャルにして、SNSで拡散することを思いつきます。思いつきは成功、ガーリーズは繁盛します。気を良くした歩は、愛子（麻生久美子）や美佐江（キムラ緑子）をはじめ、商店街の人々がみんなおしゃれして、写真を撮って、SNS に拡散されていきました。麻生さんもも緑子さんも似合うし、太極軒の御夫婦もすごく似合っています。堀内正美さん、素敵でした。ほかの男性陣も着こなしています。やっぱり俳優さんだなーと。冴えない商店街のおじさんおばさんを演じているだけであり、本来は、パーッと華やかなのでありましょう。そして、みんなが生き生きと写真に映っていると、はじめて、商店街が生き生きと立ち上がって見えてきます。お店の様子もお客不在でも、店が確かに存在している。そんなふうに感じられるのです。たぶん、これ、るーりー（みりちゃむ）に何言ってるかわからないと言われてしまうようなことですけど。ここを丁寧に書いてる時間がないので、わかる人だけわかってください。ここだけ何度も繰り返し見たい。元気になります。でもそこに、孝雄はいませんでした。さすがにやらないのか。元気になった証として参加してほしかった。いや、まだ、孝雄の問題は終わっていないようです。土地買収問題はまだ解決していません。
（文：木俣冬）
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–{「おむすび」第17週あらすじ}–
「おむすび」第17週あらすじ
第１７週「 Re start 」 1/27-1 /31
店の高額品を根こそぎ盗まれたうえに容疑者が彼氏だったことでチャンミカは茫然
自失になったが、昔のギャル仲
間の励ましで気力を取り戻す。ただ店を閉店する意思は変わらず、歩はそれなら最後に出血大サービスの閉店セー
ルをやろうと言う。一方さくら商店街では、菜摘（田畑志真）の提案で飲食店が名物メニューを考案することになり、
それを聞いた結も、栄養士ならではのアイデアを出していく。
–{「おむすび」作品情報}–
「おむすび」作品情報
放送予定
2024年9月30日（月）より放送開始
出演
米田結（よねだ・ゆい）／ 橋本環奈
『おむすび』の主人公。平成元年生まれ。 自然豊かな福岡県・糸島で、農業を営む家族と暮らしている。 あることがきっかけで、人々の健康を支える栄養士を志すようになる。
【結の家族・米田家の人々】
米田歩（よねだ・あゆみ）／ 仲里依紗
主人公・結の8つ年上の姉。
福岡で“伝説のギャル”として知られる。 奔放な振る舞いで米田家に波乱を巻き起こすが、ギャルになった裏にはある秘密が…。
主人公・結の父。 娘のことが心配でしょうがない、真面目な性格。 奔放な父の永吉とは言い争うこともしばしば。 元理容師。今は糸島で農業にいそしんでいる。
米田聖人（よねだ・まさと）／ 北村有起哉
主人公・結の父。
娘のことが心配でしょうがない、真面目な性格。 奔放な父の永吉とは言い争うこともしばしば。 元理容師。今は糸島で農業にいそしんでいる。
米田愛子（よねだ・あいこ）／ 麻生久美子
主人公・結の母。
結の祖母・佳代と家事をしながら、聖人の営む農業を支えている。 絵を描くのが得意。
米田永吉（よねだ・えいきち）／ 松平健
主人公・結の祖父。
野球のホークスファンで、自由奔放な“のぼせもん”。 困っている人がいたら放っておけない、情に厚い性格。
米田佳代（よねだ・かよ）／ 宮崎美子
主人公・結の祖母。
古くから伝わる先人たちの知恵に明るく、結が困った時の良きアドバイザーでもある。
【福岡・糸島の人々】
四ツ木翔也（よつぎ・しょうや）／ 佐野勇斗
福岡西高校に野球留学中の高校球児。
四ツ木という姓と眼鏡姿から「福西のヨン様」と呼ばれている。 糸島に練習場があり、結と時々出くわす。栃木県出身。
古賀陽太（こが・ようた）／ 菅生新樹
結の幼なじみで高校のクラスメイト。野球部員。
父は糸島の漁師だが家業を継ぐ気はなく、IT業界を目指している。 ある約束により、結のことを何かと気にかけている。
風見亮介（かざみ・りょうすけ）／ 松本怜生
書道部の先輩。
結にとって憧れの存在。 書道のイメージを一新するような書家を志している。
宮崎恵美（みやざき・えみ）／ 中村守里
結のクラスメイトであり、高校での最初の友達。
結を熱心に書道部へと誘う。 派手なギャルが苦手。
真島瑠梨（ましま・るり）＜ルーリー＞／ みりちゃむ
結の姉・歩が結成した「博多ギャル連合」（略してハギャレン）の、現在の総代表。
ハギャレンの復興を目指している。
佐藤珠子（さとう・たまこ）＜タマッチ＞／ 谷藤海咲
ハギャレンのメンバー。
子どものころからダンス好きで、ハギャレンではパラパラの振付を担当。 筋が通らないことを良しとしない、一本気タイプ。
田中鈴音（たなか・すずね）＜スズリン＞／ 岡本夏美
ハギャレンのメンバー。
結と同い年で、いつもスナック菓子を食べている。 手先が器用で、ネイルチップ作りが趣味。
柚木理沙（ゆずき・りさ）＜リサポン＞／ 田村芽実
結のクラスメイト。
学校では校則を守るおとなしい女子高生だが、実は隠れギャル＆ハギャレンメンバーでもある。ギャルの歴史を本にすることが夢。
ひみこ ／ 池畑慎之介
糸島の「スナックひみこ」の店主。
年齢、性別、経歴、すべてが不詳の謎の人物。 糸島の住人一人一人の事情をなぜか把握している。
草野誠也（くさの・せいや）／ 原口あきまさ
糸島の商店街で陶器店を営んでいる。
ホークスの大ファン。
古賀武志（こが・たけし）／ ゴリけん
結の幼なじみ・陽太（ようた）の父親。
糸島で漁師をしている。
大村伸介（おおむら・しんすけ）／ 斉藤優(パラシュート部隊)
糸島の商店街で薬店を営んでいる。
ホークスの大ファン。
井出康平（いで・こうへい）／ 須田邦裕
結の父・聖人（まさと）の幼なじみ。
糸島の農業を何とかしたいと日々奮闘している。
佐々木佑馬（ささき・ゆうま）／ 一ノ瀬ワタル
結の姉・歩と行動を共にする“自称・米田歩のマネージャー”。
大河内明日香（おおこうち・あすか）／ 寺本莉緒
結の姉・歩と対立していた、元天神乙女会のギャル。
飯塚恭介（いいづか・きょうすけ）／ BUTCH
福岡県博多のカフェバー「HeavenGod」の店長。
作
根本ノンジ
音楽
堤博明
主題歌
B’ｚ「イルミネーション」
ロゴデザイン
大島慶一郎
語り
リリー・フランキー
制作統括
宇佐川隆史、真鍋 斎
プロデューサー
管原 浩
