『星くず兄弟の新たな伝説』は、仮面ライダーファン必見の作品だ!



(C)2016「星くず兄弟プロジェクト」



1985年の公開以来、未だに多くの観客の記憶に残る伝説のカルト映画、それが『星くず兄弟の伝説』。

今回、同じ手塚眞監督の手により制作された、30余年ぶりの続編『星くず兄弟の新たな伝説』が公開されるということで、公開初日の最終回で鑑賞してきた。世代的に当時劇場には見に行けなかったものの、そのタイトルと評判は良く覚えている作品の続編だけに、期待大で鑑賞に臨んだ本作。果たして、伝説のカルト映画はどの様な形で現代に蘇ったのか?

ストーリー


近未来の東京。

かつて「スターダスト・ブラザーズ」として一斉を風靡したカンとシンゴ。東京の下町にあるバーのオヤジとなったシンゴは、「地球がダメなら月でもう一度スターに?」との思いで、売れっ子DJとして活躍するカンを誘って「リ・エイジングスタジオ」で若返り、月へと旅立つ。

月世界で彼らを迎えたのは、ウサコとチェリー喜美雄というパッとしない二人のタレントしかいない弱小芸能プロダクション「アストロ・プロモーション」。場末のショーパブでの初ステージに、すっかり意気消沈した二人の前に現れた酔っぱらいの老人が「スターになりたかったら〈ロックの魂〉を探せ」と声をかける。

一方、月の芸能界を支配する組織「フラッシュバブル」の女ボス、ベタール卑美子と片腕チェザーレ伊東は、星くず兄弟の活躍を封じるべく、刺客を送り込むことに。
果たして、スターダスト・ブラザーズ二人は〈ロックの魂〉を手に入れることはできるのか!?


予告編


全てが予測不可能で型破り、だが最高に乗れて楽しめる映画!


実は続編やリブートとも違う全く新しいアプローチで現代に蘇った、この『星くず兄弟の新たな伝説』。

二転三転するその予測不能のストーリー展開は劇場でご確認頂くとして、何と言っても本作の話題はその豪華な出演キャスト陣にある。なにしろ今回は主演に三浦涼介と武田航平という、仮面ライダーファンにとっては正に夢の競演が実現!

ちなみに、本作の魅力の一つである音楽やライブシーンでも三浦涼介のソロ曲が披露されており、そこもファンには必見のシーンとなっているので、是非お見逃し無く。

更に有名監督やミュージシャンなど、豪華な特別出演の顔ぶれも今回はパワーアップ!
彼らが、脚本を担当したケラリーノ・サンドロヴィッチの独特なコメディ要素を見事に体現する様は、正に必見だと言える。

中でも観客に強烈な印象を残すのは、本作で悪役のボスを演じた夏木マリの怪演!ご本人も本当にノリノリで楽しそうに演じていて、昨年末に公開されて話題となった同傾向の映画、『パーティーで女の子に話かけるには』のニコール・キッドマンを思い出させるほど。

個人的には毒蝮三太夫と加藤賢崇の登場シーンに、「モンティ・パイソン」の匂いを感じられて嬉しかったと言っておこう。あの有名監督から有名ミュージシャンまで、油断すると見逃す程の豪華ゲスト陣の大量出演。果たして貴方は何人見付けられるだろうか?



(C)2016「星くず兄弟プロジェクト」



実は自分も、本作の撮影に参加&出演させて頂いてました


自分が本作の撮影に参加させて頂いたのは、月の酒場のカウボーイ役での出演で1日、別の日に映画冒頭の商店街のシーンへの出演で午前中だけの、計2日間。両日とも2015年の12月の撮影であり、実に公開の2年前の出来事になる。

映画の現場によっては、ピリピリした厳しい空気の中で撮影されている場合も多いのだが、手塚組の撮影現場は実に楽しい雰囲気であり、本作ではその空気がそのままスクリーンに現れている。

実際本編中には監督以下撮影スタッフが映り込んでいたり、堂々と登場するシーンもあったりするので、楽しい撮影現場の雰囲気を是非味わって頂ければと思う。



(C)2016「星くず兄弟プロジェクト」



最後に


実は、初日の昼と午後に行われた舞台挨拶には間に合わず、その夜の最終回で鑑賞した本作。

しかし、劇場ロビーには舞台挨拶を終えた手塚眞監督がちゃんと待機されていて、鑑賞後の観客たちにご挨拶され、サインや写真撮影にも笑顔で対応されていたのが印象的だった。

自分も撮影現場以来、久々にお会いしてご挨拶させて頂いたのだが、その際「期待は裏切りませんよ」と仰っていた通りの出来!本作は20代の新人監督の初監督作品、そう言われても疑わずに信じる程ポップでライブ感溢れる内容には、正直かなり驚いた。

実際、一見自由に思いつくまま撮っている様に見えて、実は絶妙のバランスと抑制の上に成り立っている本作。脚本のケラリーノ・サンドロヴィッチの個性が前面に出て、映画が演劇的に進行しがちになると、手塚眞監督がちゃんと映画的進行に引き戻す。その攻防と言うか阿吽の呼吸が実に見事なのだ。

様々な映画の面白さと、型に囚われない自由な発想がスクリーンに展開する本作だが、ラストに用意された、「ここから先はあなたが監督して」という意外な展開こそ、「映画は観終わったら観客の手に委ねる物、映画は撮る方が面白い」、そんな監督からのメッセージに他ならない。

昨今の様な、全部親切に説明してくれて観客に正解しか与えてくれない映画とは違い、観客が自由に考え自分なりの解釈や結末を生み出せる本作こそ、正に我々観客のために作られたエンタメ映画なのだ!

そう、本作を最大限に楽しむには、演劇鑑賞の様に想像力を働かせ、音楽ライブの様に身を委ねて乗ってしまうのが一番!

溢れる映画愛と楽しさが満載の、この『星くず兄弟の新たな伝説』。

一応現在の所では、2月9日まで上映予定とのこと。心から映画が好きな方なら、是非一度は劇場でご鑑賞を!

(文:滝口アキラ)

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