『ユリゴコロ』炸裂する激しいSEX描写と佐津川愛美の狂人演技がスゴ過ぎ!

ユリゴコロ ポスター

(C)沼田まほかる/双葉社 (C)2017「ユリゴコロ」製作委員会

本作に続いて、10月にも映画化作品が公開される人気ミステリー作家、沼田まほかる。その初映画化となるのが、22日より公開中の本作『ユリゴコロ』だ。抽象的なタイトルからは作品の内容が想像し難いためか、連休の午後の回ながら観客は20人ほどの入り。今回、敢えて原作は未読で鑑賞に臨んだ本作だったが、果たしてその出来はどうだったのか?

予告編

ストーリー

父が余命宣告され、さらに婚約者が突如失踪した亮介(松坂桃李)は、実家で「ユリゴコロ」と書かれた1冊のノートを見つける。そこには人間の死でしか心を満たすことができない、美紗子(吉高由里子)という女性の衝撃的な告白がつづられていた。亮介は、創作とは思えないノートの内容に強く引き寄せられ、自身もその殺人衝動に次第に影響されて行く中、やがて美紗子と亮介の意外な接点が明らかになって行き・・・。

キャスト陣のキレた演技、その攻めた内容や描写は必見!

人気ミステリー作家、沼田まほかる作品の初映画化なだけに、相当期待して鑑賞に臨んだ本作だったが、いや、これは予想以上に鑑賞後にズッシリ来た!

そう、鑑賞後の胸に残るモヤモヤした感情や、一見感動作の様に見せて実は暗く残酷で攻めた表現が満載の内容は、昨年公開されて話題を呼んだ『湯を沸かすほどの熱い愛』を思い出すほど。

演じるキャスト陣も皆素晴らしく、特に松坂桃李は『湯を沸かすほどの熱い愛』で見せた様な、得体の知れない青年を更に踏み込んで演じていて、突発的に爆発する狂気と殺人衝動に次第に取り込まれていく様子を、今回も見事に演じている。

しかし、何といっても本作の見所は、もはや本作の主演と言ってもいい、佐津川愛美の女優魂とその成長振りに尽きる。
特に今までのイメージを覆すかの様な、彼女の気合の入った役造りは必見!その変幻自在の演技力は、いったいどこまで進化し続けるのか?個人的に、あの伝説の鬱映画『私設銀座警察』での渡瀬恒彦オマージュにしか見えない!とだけ言っておこう。冗談抜きで、彼女の女優魂を込めた演技を見るだけでも劇場に駆けつける価値は十分にあるので、是非ご自分の目でご確認頂ければと思う。

ユリゴコロ サブ3

(C)沼田まほかる/双葉社 (C)2017「ユリゴコロ」製作委員会

原作小説からの改変は成功?見所は何と言ってもそのSEX描写にあり!

実は今回の映画化においては、原作からの改変や省略が実に多かったとの意見がかなり見受けられた。そのため、あくまでも原作と映画とは全くの別物として受け入れるのが、オススメの本作の楽しみ方だと言えるだろう。

実際原作との相違点はかなり多く、亮介の弟の存在や、自分が幼い頃に母が入れ替わったのでは?と亮介が疑念を抱いているなど、亮介側の人間関係がかなり整理されていたり、美紗子の妹や両親の存在、更に彼らが小説では非常に重要な役割を果たす点など、主に登場人物の家族関係が観客に理解し易いように改変されている。

確かに、美紗子が最後まで救われない原作通りのラストや、悲劇的な結末を予感させるエンディングにしておけば、より話題性や集客にはプラスに働いたかも知れない。だが、映画版でのアレンジやオリジナルのラストも素晴らしい物であり、時を越えて再開を果たし、やっと平穏を取り戻したかの様に見える二人の姿は、観客の心に大きな満足感を与えてくれるのも事実。

ただ、これらの改変によって、「えっ、そんなに都合のいい偶然が起こるの?」としか思えない部分が出来てしまい、ネットのレビューでもこの部分への疑問や批判が散見される結果になってしまったのは、実に残念でならない。

だが、それらを充分に補ってくれるのが、全編に炸裂する独創的な「SEX描写」の数々だ。
例えば佐津川愛美と吉高由里子の関係では、女性同士の精神的共依存関係から恋愛に発展するのだが、ここでは女性同士が体を交えることなくSEXする描写が展開する。そう、お互いの腕を切り合う行為と、流れたお互いの血がやがて混じり合う様は、正に女同士のSEXそのもの!

その他にも過去の悲劇的な事件により、性的不能者となっている松山ケンイチと吉高由里子の関係など、本作には実に多くの性的なイメージが散りばめられている。それは主人公が幼少時に初めてユリゴコロを覚えた、「ミルク飲み人形」に対して取ったある行動においても象徴的なのだが、彼女が犯した初めての殺人(あくまでも事故だったのだが)で覚えた興奮も、明らかに性的な目覚め・快感として描かれていたりする。

予告編や宣伝ポスターからは想像出来ない、これらの激しいSEX描写の数々!女性の鑑賞には少し注意が必要かも知れないので、その点は要注意!

ユリゴコロ サブ2

(C)沼田まほかる/双葉社 (C)2017「ユリゴコロ」製作委員会

最後に

予告編の印象から、悲しいラブストーリーや感動を期待される方が多いと思われる本作だが、今回原作小説からの改変が成功しているため、原作小説にあった「救いの無さ」はかなり排除されているので、その点はご安心を。

ただ、前半はかなりエグい描写が続き、特に松坂桃李が終盤で見せる、ある狂気の行動(XXを踏みつぶす)は、かなりのショック映像!この部分に関しては、女性の方や気の弱い方はちょっと注意が必要かも?

同じ原作者、沼田まほかるの小説を映画化し『彼女がその名を知らない鳥たち』も、10月28日より続いて公開されるが、この「ユリゴコロ」を見たら絶対にそちらも見たくなるのは確実!どうしようも無い男たちと墜ちていく女、そこに殺人や衝撃的な展開が絡むという作風は、きっとこれからの邦画界にとって大きな追い風となるに違い無い。原作ファンの方にも原作未読の方にも、それぞれの楽しみ方が出来る本作、全力でオススメします!

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(文:滝口アキラ)

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    ライタープロフィール

    滝口アキラ

    滝口アキラ

    滝口アキラ 映画ライターにしてブルース・リー研究家。主な著書に、「ブルースリー超全集」「俺たちのジャッキーチェン」「俺たちの007」などがある。映画のコミカライズや、日本オリジナル映画主題歌などの、「失われた映画カルチャー」にも造詣が深く、TBSラジオ「ウイークエンドシャッフル」へのゲスト出演、今関あきよし監督作品への声優出演、更には「実際に映画に出演する映画ライター」として、現在「毎月1本必ず映画に出る」をノルマに活動中。その抜群の企画力と、交友関係の広さには定評がある。

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