『ドクター・スリープ』公開記念!?マニアック・ホラーの続編&リメイク作品

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11月29日から『ドクター・スリープ』が公開されます。これはスティーブン・キング原作、スタンリー・キューブリック監督のホラー映画『シャイニング』の続編で、前作公開時は巷の評価こそ高かったものの原作者は激怒するなど、さまざまな意見が飛び交った問題作でもあったわけですが、今回は原作者も太鼓判を押す仕上がりとのことで期待は増すばかりです。

さて、「柳の下に泥鰌は何匹いる?」のたとえではありませんが、続編やリメイクというのはヒット作の宿命でもあるようで、とかく二番煎じなどと揶揄されがちではありますが、最近はパート2のほうが出来が良いとか、今の時代ならではの秀逸なリメイク作品も多々見受けられますので、なかなかあなどることはできません。

というわけで今回は『ドクター・スリープ』公開を記念して、ちょっとマニアックなホラー映画の続編およびリメイクをそれぞれ紹介していきたいと思います。
(そういえば『シャイニング』もTVムービーでリメイクされてましたね)

恐怖の老舗ハマープロ製作
『ウーマン・イン・ブラック2』

(C)Angelfish Films Limited 2014 

『フランケンシュタインの逆襲』(57)『吸血鬼ドラキュラ』(58)などのホラー映画でジャンル・ファンからカリスマ的な支持を得続けているイギリスの映画製作会社ハマー・フィルム・プロダクションが、『ハリー・ポッター』シリーズのダニエル・ラドクリフを主演に迎えて2012年に製作した『ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館』です。

原作はスーザン・ヒルの小説『黒衣の女 ある亡霊の物語』で、時代背景は19世紀末。妻に先立たれた哀しみから未だに立ち直れずにいるロンドンの弁護士が、遺産整理の仕事で訪れた沼地の中に孤立する古い屋敷“イルマーシュの館”で恐るべき怪現象に見舞われるという内容。

怪現象は我が子を亡くしたショックで自殺し、悪霊と化して子どもたちの命を奪う“黒衣の女(ウーマン・イン・ブラック)”の仕業で、じわじわ迫りくる恐怖とそれに伴う哀しみの描出の両立は、さすがは老舗ハマー・フィルムの冠をいただいての貫録とも唸らされつつ、どこかしら日本の怪談映画とも共通するところを見出せる秀逸なゴシック・ホラー映画でした。

そして2015年に製作された続編『ウーマン・イン・ブラック2 死の天使』の舞台となるのは、前作からおよそ40年後となる第2次世界大戦中の1941年。

孤児院の教師らがドイツ軍の空襲から孤児たちを守るべく田舎の古い屋敷に疎開しますが、そこはあの忌まわしき“イルマーシュの館”でした。

やがて孤児たちはひとり、またひとりと消えていきます。

屋敷内の不穏な気配を察した孤児院教師のイヴ(フィービー・フォックス)は、疎開する途中で知り合った空軍中尉のハリー(ジェレミー・アーヴァイン)の協力を得て館内の調査を始めるのですが……。

監督は前作のジェームズ・ワトキンスからトム・ハーパーに交代。キャストもがらり入れ替わっているので、さほど前作との関連性を気にしなくても、“黒衣の女”の再生といった点のみに着目しておけば、これ単独で十分堪能できる仕組みにもなっています。

前作同様にこだわっているのは、やはり洋館のおどろおどろしい雰囲気を含む世界観で、どこか冬枯れた中での湿った恐怖を構築していく映像センスは、やはりハマー・フィルムならではの賜物ともいえるでしょう。

カルト名作のリメイク
『パトリック 戦慄病棟』

(C)MMXIII Roget Clinic Pty Ltd, Screen Australia, Melbourne International Film Festival Premiere Fund, Film Victoria, Screen Queensland, Cherryhill Holdings Pty Ltd, PDER Pty Ltd and FG Film Productions (Australia) Pty Ltd 

ファンタスティック映画祭の草分けともいえるアヴォリアッツ国際ファンタスティック映画祭の1979年度グランプリ獲得作品が、オーストラリアのサイキック・ホラー映画『パトリック』(78)です。

残念ながら日本では劇場未公開のままビデオ発売。

また本作の音楽はブライアン・メイですが、イタリア公開版のみゴブリンといったヴァージョン違いも当時のジャンル・ファンの間では話題になった伝説的作品でもあり、監督のリチャード・フランクリンはヒッチコック・タッチのサスペンス演出が大いに評価されて、後に『サイコ2』(83)の監督に抜擢されました。

そして2013年にオーストラリアでリメイクされたのが『パトリック 戦慄病棟』です。

監督はドキュメンタリー映画『マッドムービーズ~オーストラリア映画大暴走~』(08・未)のマーク・ハートリーで、この中でオリジナル『パトリック』も紹介されていることからも、彼が同作のリメイクに意欲を示していたことも容易に想像できるでしょう。

郊外の不気味な病院を舞台に、昏睡状態に陥って久しい青年パトリック(ジャクソン・ギャラハー)をケアする看護師キャシー(シャーニ・ヴィンソン)や周囲の人々にふりそそぐ恐怖を描いていきます。

要はこのパトリック、五感を失った植物人間でありつつも、第六感たるサイキック能力を持っているのです。

では彼はどういう状況下で、なぜ超能力を使うのか? そもそも彼が植物人間になった原因は? などは見ての楽しみとして、オリジナル版がサスペンス重視のスリラー映画的作りであるのに対し、さすがに21世紀に入ってから作られたリメイク版だけあって、ショックシーンも含む諸描写は派手におどろおどろしくなっています。

本音を申せばオリジナル版と比較しながら楽しんでいただきたいところですが、日本で今オリジナル版を見るのはなかなかに困難でしょうから、まずはこのリメイク版を堪能した後で、さらに深い世界を探求したくなってみた方は国内発売のビデオソフト(音楽:ブライアン・メイ版です)や海外発売のDVDなどを入手してみるのも一興でしょう。

(文:増當竜也)

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ライタープロフィール

増當竜也

増當竜也

増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画レビュー・コーナー『戯画日誌』を連載中。近著に『映画よ憤怒の河を渉れ 映画監督佐藤純彌』(DU BOOKS刊)がある。

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