第1回日本アカデミー賞を受賞したあの作品を振り返る

「今度の週末は映画でも見よう。でも何を…」

そんな風に悩まれる方も多いと思います。

デジタル配信で見られる映画をご紹介する「金曜映画ナビ」。「金曜映画ナビ」は、流行や話題性を捉えながらあなたの映画選びをお手伝いするコーナーです。

早速今週も始めていきましょう。

金曜映画ナビ

本日3月4日(金)は日本アカデミー賞の授賞式。今年は以下の5作品が優秀作品賞を受賞しています。

『海街diary』
『海難1890』
『日本のいちばん長い日』
『母と暮せば』
『百円の恋』

この中から本日最優秀作品賞が決まります。

そんな日本アカデミー賞は今回で39回目ですが、第1回の最優秀作品賞を受賞した作品をみなさんはご存知でしょうか。

第1回の最優秀作品賞は時代を超えて愛される名作『幸福の黄色いハンカチ』

1978年に開催された第1回日本アカデミー賞で最優秀作品賞を受賞した作品は山田洋次監督の『幸福の黄色いハンカチ』。高倉健、倍賞千恵子、武田鉄矢、桃井かおりと、今考えるととんでもない主要キャスト陣で制作されました。

『幸福の黄色いハンカチ』_場面写真main_

©1977 松竹株式会社

第1回日本アカデミー賞だけでなく、同年のキネマ旬報賞、毎日映画コンクール、ブルーリボン賞、報知映画賞など国内の主要映画賞を総なめにしました。

北海道を舞台にしたロードムービーですが、意外にも原作は1971年にニューヨーク・ポスト紙に掲載されたコラムです。それを山田洋次、朝間義隆が北海道を舞台に脚色し名作へと昇華させました。

失恋して自暴自棄になった欽也、同じく失恋から傷心の朱美、そして殺人罪で服役していた刑務所から出所した勇作。この3人が北海道を旅していく過程で様々なドラマが起き、クライマックスはドストレートに「涙なしには見られない」感動が待ち受けます。

私が本作を鑑賞したのは大学生の頃。映画に関しては趣味ともいかない程度でたまに気になった映画を見る程度でした。ハリウッド大作などを好んで見ていましたが、友人がこの映画を猛プッシュしてきたので見ることに。

上記の通り北海道を舞台としたロードムービーということで、静かに静かに始まる映画。ロードムービーなのでアクションなど当然無く淡々と進んでいくのですが、気付くと今まで見たどの映画よりも自らの境遇を考えながら映画と向き合っていました。

感じたことは「愛する」ということの大切さ。これ以上無くストレートに力強くそれを描いている作品です。登場人物たち皆欠点があるので境遇こそ違えど自らと照らし合わせることもできるのです。

現代社会は非常に情報過多で、流れる時の感覚は昔よりも非常に早いと感じる方も多いでしょう。「愛する」ということや「人の温かさ」もつい忘れてしまうほど時の流れに身を任してしまっている方も多いでしょう。

そんな今こそ『幸福の黄色いハンカチ』は改めて「愛すること」の大切さ、「人の温かさ」をポジティブに考え直すきっかけになる映画だと思います。

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山田洋次監督の名作は『たそがれ清兵衛』も忘れてはいけない

山田洋次監督と言えば当然『男はつらいよ』シリーズがとても有名。あまりに名作で、数も多くあるシリーズなのでその特集はまたの機会と致しましょう。近年の山田洋次監督作品として評価も知名度も高いのはやはり『たそがれ清兵衛』でしょう。

たそがれ清兵衛_0002

© 2002 松竹/日本テレビ/住友商事/博報堂/日販/松竹ブロードキャスティング

藤沢周平の短編小説を映画化した本作は、2002年に公開されこの年の映画賞を総なめにしました。第26回日本アカデミー賞では全部門優秀賞受賞、助演女優賞以外の全ての部門で最優秀賞を獲得という驚異的な結果を残しました。ブルーリボン賞、キネマ旬報ベスト・テン、毎日映画コンクール、報知映画賞、日刊スポーツ映画大賞なども受賞。第76回アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされたことを記憶している方も多いのではないでしょうか。

幕末の東北に暮らす下級武士の生き様を描いた時代劇で、その題材そのものが何よりも素晴らしい。時代劇というとどうしても(良い意味でも)上級武士や権力者の物語が多く、それは楽しみとして享受できつつも、私たち自身に置き換える物語ではありません。

一方この『たそがれ清兵衛』は仕事に従事しながら家庭を愛する男の人生を描いた作品。時代は違い、刀はない現代ではありますが、それでもどこか私たちは自らの物語として見ることができるのではないでしょうか。自らを清兵衛に置き換えなくとも、みなさんの父親を清兵衛に置き換えることができる方も多いのではないでしょうか。

私はこの作品を非常にミーハーに「アメリカのアカデミー賞にノミネートされたから」という理由で鑑賞。そんな軽い理由でありつつも、等身大で優しい物語に虜になりました。

今改めて『たそがれ清兵衛』を思い返すと、あの印象的なラストシーンが目に浮かびます。井上陽水が歌う”決められたリズム “が流れるあのラスト。そのシーンに映画の全て、清兵衛の全てがぎゅっと詰まっているようでした。

見るときっとわかります。このラストシーンの余韻が。

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まとめ

第1回アカデミー賞の話から山田洋次監督作品を2つご紹介させて頂きました。「今年のアカデミー賞と関係あるの?」と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、あるのです。

そう、優秀作品賞にノミネートされている『母と暮せば』は山田洋次監督作品。主演男優賞に二宮和也、主演女優賞に吉永小百合もノミネートされており、受賞に期待がかかります。

御年84歳になる山田洋次監督ですが、まだまだ現役。3月12日(土)のは新作『家族はつらいよ』も公開されます。

家族はつらいよ
(C)2016「家族はつらいよ」製作委員会

名作を数多く生み出してきた山田洋次監督ですが、まだまだ目を離すことができないのであります。

(文:柳下修平)

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    ライタープロフィール

    柳下修平

    柳下修平

    シネマズby松竹編集長、1986年生まれ、今年で30歳。個人ブログ「Cinema A La Carte」も運営。幻冬舎「Ginger」及び「Spark Ginger」で映画コラム連載も。ブロガーメルマガEdge Rank執筆メンバー。映画以外ではカメラと旅行が趣味。

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