不老不死のヒロインの愛と哀しみを描いた『アデライン 100年目の恋』

アデライン、100年目の恋 BD&DVD

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人間、誰でも一度か二度は不老不死に憧れたことがあるかと思われます。

10~20代の頃なら、その若さを永遠に保てないものかと夢想してみたり、トシとって体の不調など訴えだしたりすると、あの頃に戻れないものかと願ってみたり……。

もっとも、いざ現実に不老不死になってしまったとしたら、それはそれでかなり大変なようです。

今回ご紹介する『アデライン 100年目の恋』は、そんな不老不死をモチーフにしたファンタジックかつロマンティックで、少し心が痛いラブストーリー映画です。

奇病に侵され、不老不死となった
29歳の美女アデラインの悲劇

『アデライン 100年目の恋』のヒロインは、29歳の美女アデライン(ブレイク・ライヴリー)です。

サンフランシスコで老犬と共に暮らす彼女は、ニュー・イヤー・パーティでエリス(ミキール・ハースマン)と知り合い、お互い惹かれあうものを感じます。

しかしアデラインはエリスのアプローチを素直に受ける気になれません。

なぜなら、彼女はかつて異常な天気の下で交通事故に遭って夫を亡くすとともに、体が衰えない奇病にかかってしまい、そのまま80年近い際月が経ってしまっていたのです……。

29歳で奇病にかかったアデラインは、実は現在107歳。

およそ78年もの間、彼女は10年おきに自分のことを知る人が誰もいない街に引っ越しては、名前も身分も偽りながら暮らしてきました。

そうしないと、いつまで経っても老けることのない自分に疑念を抱く人が現れるのは必至だからです。

実は事故に遭った当時、幼い愛娘がいて、彼女とは定期的に連絡を取り続けていますが、今ではずいぶんトシを取り、はたから見るとアデラインの祖母と思われても何ら不思議ではありません。

いくら恋をしたくても、やがては相手との見た目の年差がどんどん離れていく現実を直視できず、なるべく他人との接触を避け、ひっそりと生き続けるしかないアデライン……。

しかし、そんな彼女がなぜエリスに一目で惹かれてしまったのか……?

もしあなたがアデラインのように
永遠にトシをとらなくなったら?

日本にも八百比丘尼の伝説や、手塚治虫の名作漫画『火の鳥』シリーズなど、不老不死をテーマにした作品は多数ありますが、本作はそれゆえに人と交わることができなくなったシビアな現実を直視しながら、いかにロマンティック・ラブストーリーを構築するかに軸足を傾けています。

何といっても、アデラインに扮するブレイク・ライヴリーの美しさが、逆に悲劇の度合いを強めるギャップとしても機能していて、さらなる存在感を増すことにもつながっています。

彼女の年老いた娘を演じるのはエレン・バースティン。『アリスの恋』や『エクソシスト』などで知られる名優ですが、若き母(?)にもっと人生に積極的になるよう勧めるあたりの説得力は、さすがはベテランの貫禄です。

あと、映画の後半、エリスの父親役で同じく名優ハリソン・フォードが出演していますが、彼が登場することによって一気に本作がタイムパラドックスSF的な情緒まで醸し出してくれています。
(それはなぜなのかは、見てのお楽しみ!)

監督は『セレステ∞ジェシー』などのリー・トランド・クリーガー。

語り口はシンプルに、映像はとことん美しくゴージャスに、ヒロインの美しさを嫌味なく強調しながらロマンティシズムを発露させてくれています。

細かいツッコミどころを指摘するのも、もはや野暮。

ここはひとつ、悲しみを帯びた永遠の若さに見とれつつ、自分だったらどういう人生を送るだろうかと想像してみるのも一興ではあるでしょう。

[2018年6月29日現在、配信中のサービス]
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(文:増當竜也)

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ライタープロフィール

増當竜也

増當竜也

増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画新作すべてのレビューをめざす『戯画日誌』、『衛星劇場プログラムガイド』誌に、毎月オンエアされる松竹映画名作群の見どころなどを紹介する『シネマde温故知新』を連載中。

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