映画コラム

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2019年03月29日

『ひまわりと子犬の7日間』『きな子』など、春は動物映画を見たくなる!

『ひまわりと子犬の7日間』『きな子』など、春は動物映画を見たくなる!



(C)2018 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved 



ようやく春らしい日和になってきましたが、ぽかぽかした陽気の中、ふと動物と戯れたりするのも一興。

ちょうど今実写版『ダンボ』が公開中ですが、無理に空を飛べなくても構わないので(?)、映画でも動物たちと触れ合ってみたくなります。

というわけで今回は厳選して(ってほどでもないけど)、実話を基にした『きな子~見習警察犬の物語~』(10)『ひまわりと子犬の7日間』(13)、2本のワンちゃん映画をご紹介!

見習い警察犬と見習訓練士の
心の交流を描く『きな子』





まず『きな子~見習い警察犬の物語~』は、香川県を舞台に、警察犬試験を何度も受けては失敗するラブラドール・レトリバー犬のきな子と、亡き父親の後を継いで警察犬訓練士を目指す杏子(夏帆)との心の交流を描いたものです。

見習訓練士の杏子は、きな子を何とか警察犬にしようと奮闘しますが、肝心のきな子は訓練発表会をはじめ、さまざまなところで失敗を繰り返し、逆にそちらのほうで有名になってしまい、いつしかイベント犬的な扱いを受けて巷の人気を得る始末。

現状を打破しようと焦る杏子から、より厳しい訓練を課せられるようになったきな子は、やがて体調不良で倒れてしまうのですが……。

あまりさっそうとしてないけどその分愛くるしいきな子と、悩み迷いながら成長していくヒロイン。本作はそんな見習い同士の少女と犬の交流を通して、人と動物の触れ合いを麗しく描いていきます。

監督は共同テレビ所属の敏腕演出家で、映画版『アンフェアthe movie』(07)『SS エスエス』(08)も手掛けた小林義則。

ドッグトレーナーは『南極物語』(83)などで知られるベテラン宮忠臣が担当していますが、本作に関しては普通のラブラドール・トリーバーだと頭がいいので、そうではなく、あまり賢そうではない犬(実際に名前もきな子だった!)を探してきて、撮影中は実際に夏帆に訓練させながらお互いの交流を深めさせていったとのこと。

ちなみに、実際のきな子が見習から正式な警察犬に昇進したのは本作が公開された翌11年で、13年春に引退。17年に老衰で惜しくも死去しました(享年14歳)。

つまり本作は(その当時の)現在進行形で少女と犬の成長の明るい希望を示唆しながら作られた作品だともいえるでしょう。

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犬の殺処分問題をめぐる
『ひまわりと子犬の7日間』




(C)2013「ひまわりと子犬の7日間」製作委員会



かたや2013年に公開された『ひまわりと子犬の7日間』、こちらは宮崎県を舞台に、犬の殺処分という重いテーマを通して人と犬の関係性を描いていく社会派ヒューマン映画。2007年に実際に起きた出来事を基に作られています。

勤務していた動物園が閉鎖となり、保健所に勤めている神崎(堺雅人)は、Ⅰ週間経っても保健所に預けられたまま飼い主が名乗り出てこない犬は殺処分するという規則を破りがちで、何とか里親を見つけようと常に腐心しています。

そんなある日、子犬と凶暴な母犬が保健所に届けられてきました。

やがて母子を引き取りたいという人が現れますが、それには母親の安全が保証されなければいけなくて、そのリミットは1週間。それを過ぎると母犬は殺処分されてしまいます。

神崎は保健所に泊まり込んで、母犬を懐柔させようと努めますが……。

当時も今も犬の殺処分は倫理的にも道義的にも扱いが難しい問題とされていますが(そのため本作も脚本が30稿も推敲されていきました)、本作はそうした現状の中から少しでも小さな命を救おうとしたいち家族のささやかな愛情を描いていきます。

その意味では命を扱う仕事に従事る父親と、デリケートな年ごろの子供たちとの交流を描いたシリアスかつ麗しいファミリー映画としての側面も大いに持ち合わせています。

監督は山田洋次監督の愛弟子で多くの山田作品の脚本を師匠とともに担当し、これが映画監督デビューとなった平松恵美子。現在監督第2作『あの日のオルガン』も公開中ですが、やはり脚本の組み立てが秀逸で、その上でテーマに対する真摯な姿勢に好感が持てます。

(個人的には、彼女がキラキラ映画を演出すれば、さぞ上質の青春映画ができるに違いないと期待しています)

主演の堺雅人は、本作の舞台となった宮崎県の出身ということもあり、本作にかける意欲は並々ならぬものがあったとのこと。

やはり単なるワンちゃん映画の域を優に超えた秀逸な人間ドラマとして扱うべき秀作ですが、もちろん犬の自然な愛らしい演技にも大いに注目。こちらもドッグトレーナーは宮忠臣が担当しています。

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(文:増當竜也)


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