涙のメリー・クリスマスを味わえる!?名作アニメ4選!

 Photo credit: puffclinty on Foter.com / CC BY-NC-SA

いよいよクリスマスが間近に迫ってきましたが、映画ファンのみなさんなら「クリスマスには毎年この映画を見る!」といった作品がおありではないでしょうか?

ちなみに私は岡本喜八監督の1978年度SF映画『ブルークリスマス』を毎年欠かさず見ています!

が、さすがにそういうのはマニアックかもしれないので(見てほしいけど)、今回はご家族で楽しめる有名な作品ということで……そうなるとやはり『フランダースの犬』につきるでしょう!

薄幸の少年ネロと愛犬パトラッシュ
あまりにも悲しく美しい物語

 (C)THE DOG OF FLANDERS PROD.

『フランダースの犬』と聞いて、そのお話を知らない人などほとんどいないのではないかと思われます。

19世紀のベルギー、フランドル地方アントワープも小さな農村を舞台に、画家を夢見る薄幸の少年ネロと愛犬パトラッシュが数奇で過酷な運命に弄ばれながら、やがてクリスマス・イヴの夜、アントワープ大聖堂に飾られたルーベンスの絵の前で……。

もうお話を思い出すだけで目がウルウルしてしまうほどに哀しくも美しいイギリスの作家ウィーダ(マリー・ルイーズ・ド・ラ・ラメーの本名で表記されることもあります)が記した児童文学を原作に、これまで幾度か映像化がなされていますが、日本で有名なのは1975年に放送されたTVアニメーション・シリーズ『フランダースの犬』全52話でしょう。

日本アニメーション制作の《世界名作劇場》第1作目(細かくは当初ズイヨー映像制作で、途中から日アニに制作が移ったもの)として知られ、最終回の視聴率は関東地区で30.1%を記録した人気作です。

そして今回ご紹介するのは、TV版から時を経た1997年、日本アニメーションがTVと同じ黒田昌郎監督で劇場用映画としてリメイクした長編アニメーション映画『Dog of Flanders~フランダースの犬』です。

TVアニメ版は1年間のオンエアということもあって原作にないオリジナルのエピソードやキャラクターも多々登場し、ラストの描写もかなり違っています。またパトラッシュも原作ではフランドル犬ですが、アニメ版はセントバーナード犬や和犬を参考にデザインされています(そもそも原作での外見の説明が、あまり一般的なフランドル犬っぽくないのです)。

映画版もTV版に準拠する形で、しかも104分の長さで一気にドラマを語り切る構成なので、身も蓋もない言い方をすると手っ取り早く見ることができます。

いわゆる総集編映画ではないので、映像も音楽も声優も刷新されています。

またTV版との大きな違いは、ネロ(声:津村まこと)の幼馴染の少女アロアが大人になって登場することですが(声:鈴木保奈美。少女時代の声:丹下桜)、その姿を見るだけで泣けてしまうこと必至!(ご覧いただければわかります)

何せ104分の上映時間なので、その分悲劇が次から次へとネロに襲いかかっていき、見る側も途中からはもう涙を拭いてる余裕すらなくなるほど!

ちなみに『フランダースの犬》は海外で幾度も映像化されていますが、1999年版は原作通りのラストのものと何とハッピーエンドのものと2種類作られ、アメリカではハッピーエンド版が上映されました(世界中どこでも、やはりこのお話は悲しすぎるってことの証左ではありますね)。

また日本でも『フランダースの犬』をモチーフにした『スノープリンス 禁じられた恋のメロディ』(09)が作られています。

さらには『鷹の爪団』でおなじみFROGMAN監督によるパロディ・ギャグ・アニメ映画『天才バカヴォン 蘇るフランダースの犬』(15)が作られていますが、その内容はネタバレになるので書くのを控えるものの、いやはやすごいことになっています!

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世界名作劇場から
派生したアニメ映画3選

では『フランダースの犬』に倣い、世界名作劇場ノリのアニメーション映画をいくつかピックアップしてみましょう。

『アルプスの少女ハイジ 劇場版』

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原作はヨハンナ・スピリ。

TVアニメ『フランダースの犬』放送の前年、1974年に制作された高畑勲監督、場面設定&画面構成:宮崎駿による不朽の名作アニメーション・シリーズは、1979年に総集編映画が公開されています。

ただし、その内容はかなりのダイジェストで、しかも再編集に高畑監督は一切関わっておらず、ハイジの親友ペーター役の声優もチェンジしていますので、そのあたりのところは配慮して接したほうが得策。

ちなみにハイジは実写でもアニメでも幾度も映像化されてますので、いろいろ見比べてみるのも一興でしょう。

『MARCO 母をたずねて三千里』

MARCO 母をたずねて三千里 [DVD]

原作はエドモンド・デ・アミーチスの『クオレ』。

TVアニメ『フランダースの犬』の翌1976年に1年間放送された高畑勲監督のTVアニメーション・シリーズは80年に総集編映画が公開されていますが(こちらも高畑監督はノータッチ)、それから時を経て1999年に日本アニメーション制作、楠葉宏三監督で映画リメイクされたのが『MARCO 母をたずねて三千里』です。

やはり声優陣はチェンジされ、また上映時間も90分とかなり短いのですが、ダイジェスト的ではあれまとまりは良いので、むしろ短時間で一気に感動をものにできるお楽しみもあると言えるでしょう。

『赤毛のアン グリーンゲーブルズへの道』

劇場版『赤毛のアン~グリーンゲーブルズへの道~』 [DVD]

原作はルーシー・モード・モンゴメリー。

TVアニメ『母をたずねて三千里』の翌1979年に放映された高畑勲監督のTVアニメーション・シリーズの第1話から6話までを高畑監督自らの采配で再編集した映画。

ヒロインの少女アン・シャーリーがグルーンゲーブルズのマシュウ&マリラ・カスバート兄妹のもとへやってきたときのエピソードが綴られていますので、『赤毛のアン』に興味はあるけどまだどんな世界観のお話か知らないという人へのプレゼンとして最適な構成です。

実はこの作品、1989年に完成しながらも正式な劇場公開はされず(VHSやLD化はされました)、およそ20年の時を経て2010年にようやく劇場公開されました。

これら3作品、すべて高畑勲監督が何某かの関わりをもったものとしても興味深く、また70年代における彼のTVアニメに対する功績を改めて痛感させられるところでもありますが、それよりも何よりもせっかくのクリスマス、ご家族でぜひこういった世界名作アニメを楽しんでいただけたらと思います。

(文:増當竜也)

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ライタープロフィール

増當竜也

増當竜也

増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画新作すべてのレビューをめざす『戯画日誌』、『衛星劇場プログラムガイド』誌に、毎月オンエアされる松竹映画名作群の見どころなどを紹介する『シネマde温故知新』を連載中。

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