香港&台湾ファンタジック・アクション映画を気まぐれに5本選んでみた!

今回は編集部から香港&台湾アクション映画で何本か選んでほしいとの依頼なのですが、さすがにアクション映画の本場ゆえ、ざっと選んだだけでも軽く100本くらいイっちゃいそうです。

というわけで、ならば今回はファンタジー絡みのアクション映画でやってみようと思います(とはいっても、このジャンルだけでもまあ本来なら50本くらいイっちゃうんですけど、そこはまあ独断と偏見と忖度ってことで!)

●巨匠キン・フー監督の
武侠ファンタジー大作『山中傳奇』(79)

まずは香港映画界の巨匠キン・フー監督が韓国長期ロケを敢行した(この時一緒に『空山霊雨』も撮っています)台湾映画『山中傳奇』から。

11世紀の宋の時代を舞台に、写経のため山奥の城跡を訪れた修行僧(シー・チュン)が、そこで美しい娘(シュー・フォン)と結ばれますが、実は彼女は悪霊で、やはり彼女に殺された善霊(シルヴィア・チャン)の力を借りてそこから逃れようとするが……といった怪異譚。

キン・フー監督、唯一のファンタジー映画で堂々3時間余の超大作。アクション映画を芸術の域にまで高め、ブルース・リーやジャッキー・チェンなどにも多大な影響を与えた彼ですが、ここでのバトルは何と太鼓や音の鳴る神具を用いた、いわばパーカッション・リズム合戦。かたや絵は水墨画を思わす淡麗な美が貫かれており、あたかも生と死の狭間にいるかのような陶酔感を味わうこと必至。1979年度金馬奨で最優秀監督・美術設計・撮影・録音・音楽賞を受賞しています。

●香港ファンタジー映画の金字塔
『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』(87)

チャイニーズ・ゴースト・ストーリー(字幕版)

1980年代の香港映画は世界的に飛躍し、日本でもジャッキー・チェン人気とも相まって大ブームを築いていきますが、その中でツイ・ハーク監督の『蜀山奇伝 天空の剣』(83)をはじめとするファンタジック・アクションのジャンルも発展していきました。

そしてこの時期の代表作とも呼べるのが『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』。これは中国の古典小説『聊斎志異』の一篇を映画化した『真説チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』(60)をツイ・ハーク製作&チン・シウトン監督のコンビでリメイクしたもの。

貧しい書生(レスリー・チャン)と類い稀なる美貌の幽霊(ジョイ・ウォン)の悲恋が、ダイナミックなワイヤーアクションを駆使したバトル・シーンなどを大きな見せ場にしつつ繰り広げられていきます。

世界各地のファンタスティック映画祭で受賞し、日本はもとよりアジア全域で大ヒットした本作は、その後2本の続編やテレビドラマ化、さらにツイ・ハークの制作でアニメーション映画『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー スーシン』(97)、2011年にはリメイク映画『倩女幽魂』(日本未公開)も作られています。

●西遊記をベースにしたSF
『チャイニーズ・オデッセイ』(95)

中国ファンタジーの原点といえば、何といっても『西遊記』が真っ先に挙げられるでしょうが、昔も今もさまざまな西遊記をベースにした映画は作られ続けています(日本もときどき作ってますね)。

その中でも傑作の誉れ高いのが『チャイニーズ・オデッセイPart1激昂の恋』『同Part2永遠の恋』の2部作です。

三蔵法師を殺害しようとして失敗し、500年後の人間世界へ飛ばされてしまった孫悟空(チャウ・シンチー)。かたや現代を生きるチンポウ(チャウ・シンチー)の前に、彼が孫悟空であるとにらんだ二人の美女が現れて……と、ここではチャウ・シンチーが猿と人間(実は同じキャラ)を演じ分けながら時空を超越したハチャメチャながらもパワフルなタイムスリップ・ドラマを繰り広げていきます。

チャウ・シンチーといえば『少林サッカー』に代表される徹底的にオバカでぶっ飛んだコメディ・アクションの雄として知られていますが、ここではもう一歩踏み込んだ“劇”としての面白さも大いに堪能できる仕組みになっています。(ただ、設定などかなりややこしいので、一度見ただけではすべて把握しきれないかも?)

●ドニー・イェンのパワー炸裂
『アイスマン』2部作(14&18)

アイスマン 超空の戦士 (字幕版)

1989年のユン・ピョウ主演『タイムソルジャーズ―愛は時空を超えて―』を前後編でリメイク。中国・明の時代末期に雪崩に巻き込まれた追う側と追われる側の双方が冷凍保存されたまま現代に蘇り、再び戦いを繰り広げていきます。

大スター、ドニー・イエン主演の珍しいファンタジック・アクション作品で、前編は3Dで上映されました。日本での公開当時は2部作であることが上手くプレゼンしきれておらず、観た人のもやもや感を増幅させることにもなってしまいましたが、2018年に後編『宇宙最速の戦士』(日本では19年1月に公開)がようやくお披露目されてようやく溜飲が下がったファンも多かったかと思われます。

特にこの後編、チェン・カンタイや倉田保昭といった香港アクション映画の二大大御所も出演といったサービスぶりで、往年のファンを感涙させてくれました。

●本当は怖いキョンシー
『キョンシー』(13)

(C)2013 Kudos Films Limited. All Right Reserved.  

香港映画界を代表するホラー・アクションといえば、やはり中国版ゾンビ(と言い切ってしまうと語弊があるか?)キョンシーを題材にした『霊幻道士』(85)をはじめとするキョンシー映画の数々。

ただ、キョンシーといえば、あの満州族のいでたちやピョコピョコ歩く風情などから、どことなく愛らしいイメージを抱く人も多いのではないでしょうか?(ファミリー向けのドラマも多く作られてますしね)

この映画『キョンシー』はそういったイメージを見事なまでに覆してしまう本格ホラー・アクション映画です。

しかも何とこの作品、もともとコミカルテイストだった『霊幻道士』をダークホラーとして転生させたもの。
(監督のジュノ・マックは「リメイクでもリブートでもないリビジット(再訪)」と呼んでいるとのこと)

ストーリーも、かつて『霊幻道士』の道士役で人気を得るも今はすっかり落ちぶれてしまったチン・シュウホウ(チン・シュウホウ本人が演じている!)が、死に場所を求めて幽霊の出るアパートにたどり着いたことから巻き起こる怪異譚。

製作に日本から『呪怨』シリーズで世界に名を馳せた清水崇監督を迎えていることから、その恐怖度を推し量ることもできるでしょう。

シュウホウだけでなくアンソニー・チェン、チョン・ファなど過去のシリーズに出演した俳優が多数出演しているのも大きな魅力です。

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(文:増當竜也)

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ライタープロフィール

増當竜也

増當竜也

増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画新作すべてのレビューをめざす『戯画日誌』、『衛星劇場プログラムガイド』誌に、毎月オンエアされる松竹映画名作群の見どころなどを紹介する『シネマde温故知新』を連載中。

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