お正月、映画初笑いには快作(怪作?)『鴨川ホルモー』を!

 (C)2009「鴨川ホルモー」フィルムパートナーズ

あけましておめでとうございます。

今年も《金曜映画ナビ》をよろしくお願いいたします!

さて、お正月といえばかつては『男はつらいよ』シリーズ(このたび久々に新作が発表されることになりました!)や『釣りバカ日誌』シリーズが毎年映画館を賑わせていたものですが、その風潮は最近テレビに移ったようで、濱田岳がハマちゃん、映画版でハマちゃんを演じていた西田敏行がスーさんを演じるTV版シリーズ最新作『釣りバカ日誌 新米社員 浜崎伝助~瀬戸内海で大漁!結婚式大パニック編~』がテレビ東京系新春ドラマスペシャルとして1月4日21時よりオンエアされます。

すっかりハマちゃんが板についてきた濱田岳ですが、彼が出演した楽しい映画はほかにもいっぱいありまして、中でもお正月向きなものといえば……『鴨川ホルモー』がありました!

京大新入生が入ったサークルが行う
謎の競技“ホルモー”とは?

『鴨川ホルモー』は万城目学による青春ファンタジー……などと、本来はひとくくりにできないジャンルの小説を原作に、2009年に映画化した作品です。

主人公は、二浪して京都大学への入学を果たした新入生の阿倍(山田孝之)。

彼は同じく新入生の高村(濱田岳)とともに京大青竜会なるサークルの勧誘を受け、その新歓コンパの席で相良京子(芦名星)なる鼻筋の美しい女性に一目惚れして、即入会。

しかし実はこの京大青竜会、何と鬼(オニ)や式神を使って敵チームと戦う謎の競技“ホルモー”に従事る京都1000年の伝統に基づく驚愕のサークルだったのです!
(ちなみに“ホルモー”とは、競技中のクライマックスで発せられる雄叫びに由来しています)

オニたちを巧みに操りながら京都の他大学チームとの激戦を強いられていく阿倍たちの運命と、そして恋の行方やいかに?

本作は陰陽五行説を導入した奇抜でファンタジックなな設定で、現代の若者たちの青春群像をときにコミカルに、ときに真摯に活写していきます。

監督は2018年の大ヒット作『空飛ぶタイヤ』を手掛けた本木克英。『釣りバカ日誌』シリーズも手掛けたキャリアのある彼のコメディ・センスに加え、彼ならではの青春に対する繊細な想いなどがここでも十分に活かされています。

2009年の第1回沖縄国際映画祭“Laugh&Peace”コンペティション長編映画部門大賞“ゴールデンシーサー賞”を受賞。さらにはその後『ゴースト/ニューヨークの幻』で知られるジェリー・ザッカー監督がハリウッド・リメイク権を獲得したことでも知られています(残念ながらいまだに実現はしていませんが……)。

京都千年の歴史に根差した伝奇競技
それに従事る若手キャストの魅力!

本作の面白さは何といってもホルモーなるゲームそのものの奇抜な楽しさと、それに参加する若者たちノキャスティングの妙にあるでしょう。

主演の山田孝之はそれまでどちらかというと二枚目路線で来ていましたが、本人はそれが窮屈だったのか、本作では封印を解いたかのような大暴れっぷりで、現にこの後彼は次々と型破りな映画に意欲的に挑戦するようになっていき、今では日本映画界になくてはならない存在と化して久しいものがあります。

濱田岳も『アヒルと鴨のコインロッカー」(07)で高崎映画祭主演男優賞を受賞するなど、『3年B組金八先生』第7シリーズ(04~05)生徒役などの子役イメージから脱皮して波に乗り始めていた時期で、本作のような作品群を通過しながら2015年『釣りバカ日誌~新入社員浜崎伝助~』で二代目ハマちゃんに抜擢されることになるのでした。

その他、ヒロインに扮する栗山千明をはじめそうそうたる若手俳優総出演で、くだらなくもオモロイ奇々怪々ゲームを通してそれぞれの青春群像を体現してくれています。

オニたちのキモ可愛い造形も特筆的で、こんなゲーム本当にやれるものならやってみたいと思わせてくれるほど。

その一方で、かつては飢饉による餓死者などの惨状の場であった鴨川の歴史を知る人ならば、オニたちのルーツが実に哀しき存在であったことも心の片隅に留め置いてもいいかもしれません。

何はともあれ『鴨川ホルモー』、『釣りバカ日誌』ともどもお正月初笑いにふさわしい快作コメディです。おとそ気分でぜひお愉しみください!

b_dtvb_hulub_hikarib_unextb_netflixb_amazonb_jcomb_auvideo<b_rakutenb_itunesb_googleplay

(文:増當竜也)

金曜映画ナビ関連記事

『鴨川ホルモー』のようなサークルにぜひ入りたい⁉

他の記事も読む
映画の配信情報をチェック!
                  

ライタープロフィール

増當竜也

増當竜也

増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画新作すべてのレビューをめざす『戯画日誌』、『衛星劇場プログラムガイド』誌に、毎月オンエアされる松竹映画名作群の見どころなどを紹介する『シネマde温故知新』を連載中。

ピックアップ

新着記事

WP Facebook Auto Publish Powered By : XYZScripts.com