『星の子』公開記念!芦田愛菜、映画における様々な表情

(C)2020「星の子」製作委員会

2020年10月9日より公開の大森立嗣監督作品『星の子』は、幼少期に死にかけたのを奇跡的に救ってくれた“妖しい宗教”を両親(原田知世&永瀬正敏)が信じ込んでしまい、そのまま中学3年生になった少女ちひろ(芦田愛菜)の思春期の揺れを描いた異色作です。

原作は第161回芥川賞受賞作家でもある今村夏子の同名小説。

自分を助けてくれたことを感謝するがゆえに入信した両親の優しさを大切にしたいと思いつつ、他者とは確実に異なる自分の境遇に戸惑いを隠しきれなくなっていくヒロインの複雑な想い(彼女自身は両親に付き合ってはいるものの、別に熱烈な信徒というわけではありません)を、かつて天才子役と謳われた芦田愛菜が繊細かつ見事に演じ切っています。

そう、芦田愛菜といえば2004年に生まれて3歳で子役デビューし、2010年のTVドラマ「Mother」で注目され、11年の「マルモのおきて」では主演に加えて主題歌《マル・マル・モリ・モリ》も歌って大ヒット!

まさに天才子役として国民的人気を博した彼女ですが、その後も順調にキャリアを重ね、そして久々の主演映画となる本作をもって本格女優としてさらなるステップアップを果たしたといっても過言ではないでしょう。

さて、今回はそんな『星の子』公開を記念して、芦田愛菜が出演した映画からオススメをピックアップしたいと思います。

どうしてもTVドラマに人気が集中しがちではありますし、最近はバラエティ番組「サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん」での博学ぶり、また昨年は「天皇陛下御即位をお祝いする国民祭典」で祝賀メッセージを述べたことなども話題の彼女ですが、実は彼女、映画でもいろいろユニークな活動を続けているのです!

映画の中の芦田愛菜ちゃん

まずは宇仁田ゆみの同名コミックを原作にした2011年のSABU監督による映画『うさぎドロップ』で、芦田愛菜は松山ケンイチと共演。

しがない独身男性ダイキチ(松山ケンイチ)が祖父の隠し子りん(芦田愛菜)を引き取る羽目になり、そこから繰り広げられるアットホームなヒューマン映画です。

最初は心を閉ざし続けていたものの、ダイキチとの生活の中から次第に明るい正確になっていくりんを愛菜ちゃんが好演。

実はこの作品、原作はりんの高校生時代およびその後も描かれており、今の彼女で続編を作っても面白いような気もしています。

2013年の深川栄洋監督作品『くじけないで』は、明治大正、昭和、平成と生き抜き、92歳から書き始めた詩を2009年に自主出版したところ注目された柴田トヨさん(1911-2013)の半生を映画化したもの。

トヨさんを八千草薫(老齢期)、檀れい(若年期)、芦田愛菜(幼少期)の3人がそれぞれの時代のトヨさんを演じ分けていますが、ふたりの名女優と肩を並べている事実だけで、愛菜ちゃんの実力と存在感がおわかりかと思います。

西加奈子の原作小説を行定勲監督のメガホンで映画化した『円卓 こっこ、ひと夏のイマジン』(14)は、芦田愛菜初の単独主演映画です。

愛菜ちゃんが演じるのは、祖父母&父母&三つ子の姉とともに関西に住む(最近では大家族の部類ですね)の小学校3年生の“こっこ”こと琴子。

これまで可愛らしいピュアなキャラクタ―を演じることが多かった彼女ですが、ここでは結構生意気で時に毒舌も吐くガキ少女を楽し気に演じています。

もともと彼女は兵庫県出身なので関西弁も実にスムーズ。

ふと、この時期をちょっと越えたあたりの愛菜ちゃん主演だったら、「じゃりン子チエ」の実写映画化も不可能ではなかったかも!と思ってしまいました。

外国映画の中の
芦田愛菜ちゃん

今も昔も国民的人気を博し続ける芦田愛菜ちゃんですが、実はハリウッド映画にも出演しています。

ギレルモ・デル・トロ監督によるSFロボット・バトル超大作『パシフィック・リム』(13)。

愛菜ちゃんが演じるのはヒロイン森マコ(菊地凛子)の幼少期。

怪獣の日本襲撃で両親を亡くし、自分も危うく殺されかけたところをイエーガー(正義の巨大ロボット)に助けられたことを機に、彼女はイェーガー研究&パイロットの道を選ぶことになるのでした。

怪獣の攻撃で崩壊した街の瓦礫の中、泣き叫んでいる幼いマコの姿は、短いながらも映画の中で印象的な名シーン足り得ていて、現に日本の特撮&アニメ通としても知られるギレルモ監督は愛菜ちゃんのことを絶賛。

ならば彼女主演のギレルモ・デル・トロ監督作品なんてものも見てみたい気がします。

吹替&アニメ映画の中の
芦田愛菜ちゃん

芦田愛菜ちゃんは、実は声優としても幼い頃から大活躍中です。

ちびっ子から大人まで大人気の『怪盗グルー』シリーズ(10・13・17)の中で、彼女は日本語吹替版でアグネスの声を担当して好評を博しています。

実写洋画では、1976年に中国で勃発した唐山地震を背景に家族の別れと再会を描いた『唐山大地震』(13)で、少女・方登(張子楓)の声を担当。

その後も『ILOVEスヌーピー』(15)でヒロインとなる赤毛の女の子(ちなみにチャーリー・ブラウンの声は「マルモのおきて」共演者でもある鈴木福くんでした)、『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(19)でマディソン・ラッセルの声をそれぞれ担っています。

アニメーション映画でも『マジック・ツリーハウス』(12)でヒロインのアニーを、『劇場版ポケットモンスター みんなの物語』(18)でラルゴを、『海獣の子供』(19)ではヒロインの琉花を演じています。

特に『海獣の子供』は声優キャリアとしての大きなステップアップにつながった好演でした。

また幼い頃ジュエルペットが大好きだったという愛菜ちゃん、『映画ジュエルペットスウィーツダンスプリンセス』(12)でマーナ姫の声と主題歌をオファーされたときは大喜びだったたのことです。

と、まあ芦田愛菜ちゃんが出た映画をいくつかご昇華してきましたが、これらの作品群と共に新作映画『星の子』もぜひ見ていただきたく、強くプッシュしておきます。

この作品、新興宗教の闇といった問題提起よりも、他者とは異なる行為に及ぶと即疎外されがちな日本社会の中で健気に生きようとする少女の姿を繊細に描いた青春映画として、一見をお勧めしておきます。

(文:増當竜也)

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ライタープロフィール

増當竜也

増當竜也

増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画レビュー・コーナー『戯画日誌』を連載中。近著に『映画よ憤怒の河を渉れ 映画監督佐藤純彌』(DU BOOKS刊)がある。

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