私と映画Vol.4「ロイヤルエンターテイメント 藤田梨恵社長を支えるストーリー」[PR]

急成長する通販ショップの経営者を取材した。ロイヤルエンターテイメント・藤田梨恵社長。2008年、沖縄・名護を拠点に『マンゴースイーツ専門店おきぽたショップ』を開業した人物だ。彼女は『チャーリーとチョコレート工場』や『タイタンズを忘れない』が、ネットショップを経営する自分の心を支えてくれた、と語る。

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地元・名護の農家の方と、ロイヤルエンターテイメント・藤田梨恵社長。『おきぽたショップ』により、農作物が安定的に売れるため「地元の農家の方たちと共存していけている」(藤田社長)とか。

「そこらにいくらでもあるもの」と「自分の心」

福岡県出身の私が沖縄・名護に移り住んだのは、沖縄舞踊『エイサー』が好きだったからです。始めたのは大学生の時。沖縄県人会の方に『夏は沖縄で合宿があるよ』と誘われ、軽い気持ちで参加してみました(笑)。でもエイサーを始めると、その奥深さに胸打たれ、大学卒業時、エイサーを続けるためにわざわざ名護の企業へ入社したんです。

『チャーリーとチョコレート工場』を見たのは大学生の時でした。

この話、前半から素晴らしいセリフがあるんです。世界的に有名なチョコレート工場が、金色のチケットが入ったチョコレートを5つだけ出荷します。これを引きあてると、普段は絶対に公開していない工場の内部を見学できます。しかも、選ばれた一人には想像もつかない特別な商品があたる。世界中の子どもがこのチケットをほしがったなか、最後の一枚を引きあてたのは、貧乏なチャーリーでした。ところが、チャーリーのもとに『最後のチケットを譲ってくれ』と大金を持った人が押し寄せ、彼は家族のためにチケットをお金で売ろうとします。

ここで、チャーリーのおじいさんが言ったんです。

「金はこの世の中にいくらでもある、しかしこのチケットはたったの5枚しかない、二度と手に入らないものだ。そこらにいくらでもある金の為に諦めるのは馬鹿だ、お前はその馬鹿なのか?」

このセリフが、私にとってとても大切な言葉になりました。自分がやってみたいこと、見てみたいもの、すばらしいと感じたもの――それって、ほかの誰かにとってはとくに大切じゃないかもしれません。沖縄合宿に行きたくてサークルを選んで、エイサーを続けたくて沖縄で就職を探し、実際には周囲から首をかしげられる選択でした。

でも、私が「やりたい」と思った何かは、やっぱり、私にとってかけがえのないものなんです。むしろお金のような、誰もがほしがるもの、どこにでもあるものより、私にとっては価値がある……特に若い時にしかできないエイサーを続けるかどうかの選択肢を迫られていたのは、まさにその時だったんです

チャーリーのおじいさんのセリフが、私にそれを教えてくれたんです。
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『おきぽたショップ』のマンゴーフロマージュ。商品をあける喜びが演出できるよう、パッケージにもこだわった。

世の中にない新しいものを作っていきたい!

マンゴーの通信販売を始めたきっかけは、私が大のマンゴー好きだから(笑)。最初は就職先の企業で『通販してみたい』と企画を立てたんです。でも、始めてみると苦労の連続でした。マンゴーの旬である夏が終わると注文がこないんです。しかも、100キロ近くのマンゴーが出荷できなくなったことがありました。大きな台風が来て、名護が3日間停電し、マンゴーを保存していた冷蔵庫も動かなかったんです。経営は大打撃を受けました。

でも、私なりの「不思議な工場」が始まるのはここからだったんですね。

傷んだマンゴーは、表面が黒くなって、見た目がよくないだけ。完熟なので、味は素晴らしいんです。私は「ピューレにしておけばとっておける」と黙々と作業をはじめ……気付いたんです。「マンゴーを使ったスイーツをつくれば、旬も停電も関係ない!」って(笑)。

勝算もありました。私もこの時までに、ネットショップのノウハウを身につけていたんです。eコマース市場では、身近な店で買えない商品ほどよく売れます。そこで「ならマンゴーをふんだんに使ったスイーツをつくろう!」と考えました。色んなお店のマンゴー味のスイーツを食べました。マンゴーって高価だから、スイーツのほとんどが「マンゴー味」程度にしかマンゴーが入っていないんです。でも私は逆にマンゴーを主役にすえ、マンゴー好きがわざわざ通販で買いたくなるほどマンゴーをふんだんにつかったスイーツをつくろう、と思ったのです。

私のビジネスが面白くなってきたのはここからです。

たとえば、マンゴーフロマージュを試作したときのこと。マンゴーとチーズと混ぜても、どこかありきたりな「マンゴー味」でした。もちろん、それもおいしいんだけど、誰かがたやすく想像できるものなんか私がつくる意味がないし、ネットショップでは売れません。そこで、マンゴーフロマージュに、マンゴーピューレをマーブル状に加えてみたんです。食べてみると、マンゴー独特の南国らしい香りのなかに優しいフロマージュの味が混ざるような感じになって、私、思わず「これだ!」と言ってしまいました(笑)。

わたしの『おきぽたショップ』にお客様が集まってくださったのはここからです。そして、この経緯を振り返ると、私のなかには『チャーリーとチョコレート工場』の残像が残っていたんだと思います。

ナッツの皮を剥く工場では、リスが殻からクルミの身を取り出していました。チョコレートの川が流れていて、滝で空気と混ぜられふんわりした食感のチョコが作られる……。

私はそんなシーンから「何かをつくる時、固定観念にとらわれるなんてもったいない」と学んでいたのかもしれません。

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ロールケーキ『炭マンゴー美人』。竹炭は古来、整腸作用があると言われてきた。

自分の想いを貫かなければ「幸せ」はつかめない

同時に、この映画は「自分の思いを貫く」ことの大切さを教えてくれます。

最後、チャーリーはあえて自分の想いを貫こうとし、彼が得たものをすべて投げ捨てようとします。これと同じように、まわりの人が自分の思い通りに動くことはなく、時には、自分が動き、周囲を巻き込んでいくことも必要だと思うのです。

実を言うと私、最初は県内のパティシエにお菓子のレシピ作りを頼もうと思っていたんです。でも、そのかたがつくるお菓子は、どうしても「どこかで見たことがあるもの」で、私がイメージする商品ではありませんでした。私が要望を出すと「プロの目で見るとありえないね」と、去って行ってしまいました。

また、会社からも独立しました。天候や台風の影響で度重なるマンゴーの不作、にもかかわらずスイーツ事業の立ち上げで新たな出費が増え赤字を計上し、通販を続けるなら独力で始めるしかなかったのです。私は公的機関から資金を借り、仲間を募りました。

その時は、不安もありました。でも、独学でお菓子作りを学び、よなよな研究し、経営も自分で行う道が、今となると一番良かったのです。

たとえば、マンゴーのロールケーキを作った時のこと。最初、普通のスポンジを使って巻きました。ところがスポンジが薄黄色、マンゴーが黄色だから、普通ではありえないほどマンゴーを入れても鮮やかな黄色が引き立たないんです。そこで、私は赤や黒のスポンジをつくったらどうか、と試作してみました。

赤は色素などを使わなければ赤みを出せなかったため、すぐやめました。私は極力、添加物を使いたくなかったんです。一方、黒はうまくいくと思っていました。伝統的に体のため摂取する人が多い竹炭を入れれば添加物は必要ありません。

つくってみると、真っ黒なスポンジに、ごろごろ入った黄色いマンゴーの対比が鮮やかで、できあがりを見た時、「わあ!」と声を上げてしまいました。この最初の一声をすごく大事にしています。ただ美味しいだけではなくて、見た目からも楽しめるスイーツ。

そして、販売にも力を入れ会社員時代にはできなかった対面販売も強化することでネットショップとは違う新たな客層も掴みました。全国の百貨店からもお声がかかるようにまで成長の一過をたどっています。

今は私もスタッフもそれぞれの仕事に追われ、工場もフル稼働です。忙しい中でも仲間たちみんなで和気藹々とした雰囲気の中でスイーツをつくっています。チャーリーが甘い生活を手に入れたのと同じように、私も、自分の思いを貫くことで今の成功を得たのだと思います。

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『マンゴースイーツ専門店おきぽたショップ』ホームページ。

自分を信じる力をくれる映画との出逢い

ほかにも、好きな映画があります。『タイタンズを忘れない』と『幸せの力』です。この映画は、大切なことを教えてくれます。それは「最後まで諦めずにやれば必ずできる」ということです。

私はよく「起業なんて、頭がよくなきゃできないよ」と言われてきました。でも、そうじゃないんです。商売が上手く行くか行かないかは、ただひとつの要素で決まります。それはうまくいくまでやるか、途中で辞めてしまうかです。

私は会社でマンゴーの通販を始め、初年度はまったくうまくいきませんでした。それでも続けることは本当に大変です。でも続けないと成功もしないんです。立ち上げから軌道に乗せる間駆け抜けた20代は本当に忙しかった。会社の仕事をし、夏になるとひたすらマンゴーを出荷するんです。遊んだ記憶がないのでなく、当時の記憶がありません(笑)。

ところがそんななかでも、私は勝手に『未来は明るい』と思いこんでいました。それは、大学時代に『タイタンズを忘れない』と『幸せの力』を見ていたからなのかも知れません。

映画はエンターテイメントです。おきぽたショップの商品においてもエンターテイメントをもってお客様に楽しんで頂きたいという想いでやってます。映画から本当にいろいろ、大切なことを教わっているんだな、と思います。

【プロフィール】
藤田梨恵

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1982年福岡県生まれ。立命館アジア太平洋大学大学国際経営学部卒業後、沖縄・名護の広告代理店に就職。2008年、沖縄・名護を拠点にマンゴーの通信販売を始め、2014年にロイヤルエンターテイメントを創業。『マンゴースイーツ専門店おきぽたショップ』を運営する。


    ライタープロフィール

    夏目幸明

    夏目幸明

    経済ジャーナリスト。1972年愛知県生まれ。早稲田大学卒業後、広告代理店へ勤務し、経済ジャーナリストに。「日本で一番多くの社長を取材しているジャーナリスト」として、現在は様々な企業でコンサルタントも務める。著書多数。

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