憑依型俳優ダニエル・デイ=ルイス、圧巻の演技エピソード

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『マグノリア』『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』のポール・トーマス・アンダーソン監督が名優ダニエル・デイ=ルイスと二度目のタッグを組んだ最新作『ファントム・スレッド』が2018年5月26日(土)より公開。それに先立ち今回は主演のダニエル・デイ=ルイスを深掘りしていく。

予想外のラブストーリー『ファントム・スレッド』

『ファントム・スレッド』は第90回アカデミー賞の主要賞含む6部門にノミネートされ、見事衣装デザイン賞を受賞。「今年、最も予想外な展開のラブストーリー!」(ヴァニティ・フェア)と、世界中を驚かせ虜にした本作。

なかでも、本作で俳優業引退を表明しているダニエル・デイ=ルイスの演技は「もはや演技を超えている!」「変態的で狂気じみた主人公が本当にハマリ役!」とマスコミ試写会でも大絶賛されている。

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ストーリー概要

1950 年代ロンドン。英国ファッションの中心に君臨し、社交界から脚光を浴びる天才的な仕立て屋のレイノルズ。ある日、レイノルズはウェイトレスのアルマと出会い、彼女を新たなミューズに迎え入れる。彼はアルマの“完璧な身体”を愛し、彼女をモデルに昼夜問わず取り憑かれたようにドレスを作り続けた。しかし、アルマの気持ちを無視して無神経な態度を繰り返すレイノルズに不満を募らせたアルマは、ある日朝食に微量の毒を混ぜ込む…。やがてふたりは後戻りできない禁断の愛の扉を開き、誰もが想像し得ない境地へと向かう。

ダニエル・デイ=ルイスが演じるのは天才仕立て屋

今作でダニエル・デイ=ルイスが演じるのは、英国ファッション業界に君臨する天才仕立て屋。何と映画の撮影前に約1年間ドレス作りの修行を行ったというから驚きだ。

ドレスの仕立てについて大量の著作を読み、NY のメトロピリタン美術館の中にあるアナ・ウィンター・コスチューム・センターを訪れ、保管されている歴代のデザイナーのドレスを見て学び、ニューヨーク・シティ・バレエの衣装監督マーク・ハッペルの元で洋裁の修行をした。

最終的には、バレンシアガのスーツをそのまま複製できるほどの腕前に。家でも実際に実の奥さんをモデルにしてドレスを仕立て、グレーのスーツで長い革の手袋をつけたドレスをプレゼントしたそう。

もはやどちらが本業か分からないくらいに役にのめり込む姿勢は、常人には到底理解できない領域。これで見納めとなるであろうダニエル・デイ=ルイスの並外れた演技が堪能できる作品となっている。

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ダニエル・デイ=ルイスのコメント

「僕は1957年生まれだから、映画の背景であるこの時代にとても親近感を感じるんだ。当時、イギリスでの物事の発展の仕方はとても特徴があった。社会の色々な面で、規制が残っていたんだ。僕たちが調べたデザイナー達は、社会的な流れに反していながらも、そのなかで非常に活躍していた。時代の流れに反していくのは難しいことだけど、それはどこかとても魅力的でもあったよ。」

ダニエル・デイ=ルイス、華麗なるフィルモグラフィー

『マイ・レフトフット』
(89/初のオスカー受賞作)

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脳性マヒで体が不自由なアーティストのクリスティ・ブラウンを演じるため、体が不自由な生徒たちの養護施設に入って役作りをし、生徒たちと仲良しになった。撮影中は左足しか使わず、車椅子で移動。オフの時の食事も、(主人公は手が不自由という設定ゆえ)他の人にスプーンで口まで入れてもらったという。ロケ中はあばら骨を骨折したこともあった。

『ラスト・オブ・モヒカン』
(92/初のハリウッド進出作)

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原始的な生活を送る18世紀の主人公になりきるため、徹底的な肉体改造を行う。また、アラバマの荒野で過ごし、実際に狩りをしながら生活をする。動物の皮をはいだり、カヌーを作ったり、斧を使ったり、とさまざまな技術も習得。オフの時も火縄銃をいつも持ち歩いていた。

『エイジ・オブ・イノセンス』
(93/初のマーティン・スコセッシとのコンビ作)

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19世紀のニューヨークの上流階級の主人公を演じたが、主人公と同じ生活をめざして、彼が滞在していたという設定のプラザ・ホテルに 2 カ月滞在。トップハットに杖という19世紀の紳士的なファッションでいつもニューヨークのストリートを歩いた。

『父の祈りを』(93)

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映画のロケが予定されていた人里離れた刑務所に寝泊りをした。尋問をうける場面では、3 日間徹夜して、役作りを行った。

『クルーシブル』(96)

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17世紀が舞台で、水道も、電気もないセットの家で実際に暮らした。そのため、シャワーも浴びない日々が続いた(この映画のセットで、現在の妻であるアーサー・ミラーの娘、レベッカ・ミラーと知り合ったが、そんな彼の行動に彼女も驚いたという)。

『ギャング・オブ・ニューヨーク』(02)

ギャング・オブ・ニューヨーク(字幕版)

90年代後半に、一時引退して、イタリアで靴職人として修行をしていたデイ・ルイス。そこにマーティン・スコセッシ監督が出向き、「映画とその仕事とどっちをとるんだ!」と決断を迫り、出演することになった。ギャングの肉屋という設定ゆえ、実際に肉屋の修行をした。気温が低下した日は、厚手のコートを着ることを勧められたが「舞台になった時代にはなかったから」という理由で着用を拒否。肺炎になってしまった。そこで今の時代の薬を勧められたが、「舞台になった時代にはなかったから」という理由で、その薬も
飲まなかったという。主演のディカプリオを差し置いて、アカデミー賞®主演男優賞にノミネートされたのは有名な話。

『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』
(07/二度目のオスカー受賞作)

ゼア・ウィル・ビー・ブラッド (字幕版)

役にのめり込み、相手役の男優にきつく当たるせいで、最初起用されていた男優が降板。ポール・ダノに変わったが、ダノもかなり辛い思いをしたという(監督は表向きはこれを否定しているらしい)。後半ダノにボーリングを投げる場面も、本物のボーリング用のボールを使ったという。また、舞台となった時代の石油の採掘装置の使い方も習得した。

『リンカーン』
(12/三度目のオスカー受賞作)

リンカーン(字幕版)

スピルバーグは7年間、デイ・ルイスを口説き続けた。最終的には「撮影前に 1 年間の準備期間を設けること」を条件に役を引き受けたという。100 冊に及ぶリンカーン関連の本を読み、資料を読みこむことで、リンカーンのハイトーンの声を作り上げた。ロケ中は周囲の人に「ミスター・プレジデント」と呼ばれ、大統領になりきった。また、ロケ地では設定に合わせて、英国人の出演者に英国アクセントの英語で話すことを禁じていたという。

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最新作『ファントム・スレッド』が2018年5月26日(土)より公開。ダニエル・デイ=ルイス最後の熱演を堪能したい。

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