「兄に愛されすぎて困ってます」真面目に頑張る土屋太鳳を、心から応援したい。

■「役に立たない映画の話」

兄に愛されすぎて困ってます 仮 メイン

(C)2017「兄こま」製作委員会 (C)夜神里奈/小学館

またしても、少女マンガの映画化作品だけど・・・。

女の後輩 あらまあ、珍しいですねえ。先輩が少女マンガの映画化作品の試写を見るなんて。

先輩 別にそういうジャンルに偏見はないよ。先日もこの連載で「こういう作品を続けて作ることを通して、新しい才能が出てくることを期待する」と言ったじゃないか。

女の後輩 とかなんとか言っちゃって、実は女優さん目当てだったりして(笑)。

先輩 ななななな何を言うんだね、君ぃ。僕はそそそそんなこと・・・。

女の後輩 もしかして、土屋太鳳ちゃんのファンですか?

先輩 いや、彼女はアクションも出来るし、女優としてその可能性をだな・・・。

女の後輩 「昼顔」の上戸彩にぞっこんだと思ったら、なんて気の多いおっさんなんだ(笑)!!

先輩 いや、真面目に土屋太鳳ってこれから大バケする可能性の高い女優だと思っているんだ。それと「兄に愛されすぎて困ってます」を見たくなったのは、河合勇人監督だから。彼の「チア☆ダン」を遅ればせながらシネコンで見て、こんなに面白い映画だったのか!?と驚いちゃったよ。

女の後輩 「チア☆ダン」だって、広瀬すずちゃんのチアスタイルがお目当てだったんじゃないですか(笑)?

先輩 何を言うんだね、君は。お不潔。

兄に愛されすぎて困ってます

(C)2017「兄こま」製作委員会 (C)夜神里奈/小学館

河合勇人監督のマンガチック演出がツボ。

女の後輩 河合監督の演出の、どこが良かったんですか?

先輩 笑いの間というか、思わぬところで思わぬリアクションをすずちゃんがして、その絶妙な表情をアップで撮ったり。つまり、マンガチックなんだよ。

女の後輩 「チア☆ダン」は少女マンガの映画化ではありませんが・・。

先輩 でも、ストーリーの構造的にはそれっぽい要素があるし、そのマンガチックな演出が、あの映画の内容に合っていたんだと思うよ。広瀬すずも、天海祐希も、気のせいかいつもよりノリノリでやってるように見えた。だから河合監督の新作に期待していたら、今度は土屋太鳳主演で、まさしく少女マンガの映画化をやるという。これは期待しちゃうよ。

女の後輩 なるほど。注目の監督と注目の女優がタッグを組んだというわけですね。

先輩 というか、土屋太鳳は河合勇人監督の「鈴木先生」にも出ているしな。この時彼女は、クールな美少女の役だったんだ。TVシリーズも含めて、長谷川博己演じる鈴木先生が、彼女に見とれて妄想するシーンが、このドラマと映画の見せ場だったりした。

女の後輩 それで河合監督の演出には慣れているはずの土屋太鳳ちゃんが、今回どうだったんですか?

先輩 うん、まあいつものように溌剌とした元気で明るい女子高生を演じているんだけど・・・。

女の後輩 でももう彼女も22歳ですからね。高校生役は卒業でしょ。

先輩 まあそうだけどさあ。今回彼女は、タイトル通り実の兄からとめどない愛情を注がれる役で、どちらかと言うと受ける立場なんだな。

女の後輩 演技で言うと、リアクションのほうが多い。

先輩 むしろ彼女に迫る王子様系やドS、癒やし系の男たちとその迫り方がマンガチックに描かれているんだよ。土屋太鳳の同級生で、なぜか常にスカーフを巻いている大野いととか、これまた土屋太鳳の女子高生に気がある、デブなのにいい男ぶっている教育実習生とかのおかしな存在感のほうが目立っていて、土屋太鳳はそれらをかわしながら、実の兄の気持ちを受け入れるまで・・というお話さ。

女の後輩 もっと土屋太鳳が、男たち相手におかしな行動をする映画だと思っていました。

兄に愛されすぎて困ってます サブ6

(C)2017「兄こま」製作委員会 (C)夜神里奈/小学館

「自転車で全力疾走するシーンの、目がマジ(笑)」。

先輩 しかし彼女は、真面目だよね。どの映画に出ても、一生懸命役になりきろうとしているし、撮影前には必死に役作りをするらしいよ。

女の後輩 最近つとに説教がましくなった先輩が、よく「真面目にやらなくてはダメだ。最後に勝つのは真面目に努力した人間だ」と言ってますよね。それを地で行くような女優さんなんだ。

先輩 それは、今月で映画記者歴30年を迎えるおれの本音だよ。こういう業界だから、一見すると真面目に見えなくても、実はコツコツと努力しているって人も多い。ただ女優さんの場合は、真面目であること以外にも、映画で成功するためには、別の要素もあると思うよ。

女の後輩 ほお。例えばどんな?

先輩 ちょっと力を抜いたところがキュートだったり、自然体で無防備なお芝居がセクシーだったり。まあそれは、映画の内容と監督の演出によるけどね。

女の後輩 なんだかんだで太鳳ちゃんのこと、心配してますねえ。

先輩 だって、ここ数年彼女が色んな映画やドラマに出ているのを、おれはずっと見て来たもん。「ウルトラマンゼロ」の映画第2作でエメラナ姫という星の王女様役をやったり、静岡県の一部でしか公開されなかった「果てぬ森のミナ」なんて、故郷でポスターを見て「なんだ、この映画?」と思って映画館に飛び込んだよ。

女の後輩 なんとかチャンスを掴もうと必死だったんですね。その頑張りの甲斐あって、今や引く手あまたの若手女優。朝ドラの主役もやったし、CMにも多数出ている。

先輩 ほんと、頑張ったよなあ・・・(しみじみ)。

女の後輩 しめっぽいなあ、もう。まだまだ彼女は新しい演技を見せると思いますね。「るろうに剣心」の第2作で見せた豪快なアクション。しかも自分でアクションシーンの画コンテまで描いてきたと聞きます。

先輩 そう。アクションがこなせる女優なんだよな。貴重な存在だよ。「兄に愛されすぎて困ってます」でも、自転車で全力疾走するシーンがあるんだけど、そこだけ目がマジ(笑)。さすがは現役女子体育大生!!って感じ。

女の後輩 体育会系なんですよね、基本。TVドラマの宣伝番組で赤坂を全力疾走し、スタジオについて、もう倒れそうなのに息も絶え絶えでドラマのタイトルを言って「よろしくお願いします」って、あれはテレビで見ていてもらい泣きしちゃいました。ほんと、どこまで真面目なんだ!!

先輩 「兄に愛されすぎて困ってます」の土屋太鳳は、個性的すぎる男たちに囲まれて、困りながらもまんざらではない乙女心を見せているけど、これをきっかけに本格的なコメディもやって欲しいし、もちろんアクション女優としても活躍して欲しい。健康的なルックスを逆手にとって、難病に冒される女性のラブ・ストーリーとかも良いと思うし、女体育教師が生徒をビシビシしごく熱血教師ものも見たいかな。

女の後輩 いずれにせよ、ひとつひとつの役に真面目に取り組む彼女の姿勢が活かせる作品、活かせる監督と、さらに出会えると良いですね。

先輩 そうだね。

女の後輩 なんか今回は「兄に愛されすぎて困ってます」じゃなくて、「先輩に応援されすぎて困ってます」みたいな内容になっちゃいましたね(笑)。

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(企画・文:斉藤守彦)

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    ライタープロフィール

    斉藤守彦

    斉藤守彦

    斉藤守彦(さいとうもりひこ) Morihiko Saitoh 静岡県浜松市出身。映画館、ビデオ会社でのアルバイトを経て、映画業界紙「東京通信」記者 (後に編集長)に。1996年からフリーの映画ジャーナリスト/アナリストとなり、以後多数の劇場用パンフレット、「キネマ旬報」「HiVi」「ザテレビジョン」「日経エンタテインメント!」「宇宙船」「スターログ日本版」「INVITATION」「東京カレンダー」「アニメ!アニメ!」「フィナンシャル・ジャパン」「Pen」などの雑誌・ウェブメディアに寄稿。2007年秋に「日本映画、崩壊 -邦画バブルはこうして終わる-」を、08 年「宮崎アニメは、なぜ当たる -スピルバーグを超えた理由-」、09 年「映画館の入場料金は、なぜ1800円なのか?」、 10 年に「『踊る大捜査線』は日本映画の何を変えたのか」(共著) を上梓。 他の著書に「図解でわかるコンテンツ・ビジネス」1〜4(共著)、「ソノラマ MOOK/ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃」(構成・執筆) 、電子書籍「日本映画、飛躍と困惑の過去・現在・未来」等があり、ここ数年は「映画宣伝ミラクルワールド」「80年代映画館物語」と、独自の視点による書籍を執筆。2016年3月には新作「映画を知るための教科書 1912−1979」が世に出る。現在、水道橋博士編集長のメールマガジン「メルマ旬報」で「2016年映画館物語」を連載中。また「BOOKSTAND映画部!」で、「映画を待つ間に読んだ、映画の本」と「映画惹句は、言葉のサラダ」の2つの連載を行っている。

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