アントン・イェルチン、彼の魅力溢れる「5つ」の代表作

 



2016年6月19日、俳優のアントン・イェルチンが亡くなりました。まだ27歳でした。

『スター・トレック』での、若くて有能なクルーのパヴェル・チェコフ役としても有名ですが、ほかの映画でも彼は素晴らしい存在感を見せています。ここでは、アントン・イェルチンの魅力をとことん堪能できる、オススメの映画5作を紹介します。

1.『君が生きた証』(2014年製作)


君が生きた証 [DVD]



息子を銃乱射事件で亡くしてしまった中年男性と、ロック音楽が大好きな青年との友情が描かれた音楽映画です。

本作でのアントンの演技は素晴らしいです。その笑顔はとても愛らしく、時折憂いを帯びた目を見せる一方で、怒りを表すときには鋭い目つきになる。役者としての才能を、存分に感じられることでしょう。

泣けるのは、ビリー・クラダップ演じる中年男性が、アントン(青年)に、亡くなった息子を重ね合わせていることです。アントンという俳優が亡くなったという現実の悲しさが、この中年男性が感じている喪失感と、シンクロしているかのようで……。
劇中のアントンは音楽にのめり込み、楽しそうに“生きて”います。邦題の『君が生きた証』が、そのままアントンのことを指しているようにも思えました。

また、本作にはある“仕掛け”があり、それが提示された瞬間から“いままでにあった違和感”の正体がわかるようになっています。
一筋縄なヒューマンドラマでは終わっていない、衝撃的かつ、感動的な物語を見届けてください。

2.『フライトナイト/恐怖の夜』(2011年製作)


フライトナイト/恐怖の夜 (字幕版)



1985年製作のホラー・コメディ映画のリメイク作です。ヴァンパイアとあの手この手でバトルをするという、「楽しければそれでいいじゃん」なB級映画のおもしろさが詰まっているので、好きな人にはたまらんでしょう。

うれしいのはあらゆるタイプのエロい女性が出てくることですね。アントンの彼女は活発系元気少女、母親は中年ならではの色気たっぷりのシングルマザー、隣に住むのはビッ◯系ストリッパー、人気イリュージョニストの恋人にはグラマラスな美女と、幅広い需要に応えています(笑)。

そしてアントンの何が素晴らしいって、カワイイ童貞少年を演じていること! 彼女に「今日はエッチしていいわよ」と言われたときのあのドギマギ、でもそれにうまく応えられずに幻滅されてしまうシーンが大好き!
でも大切な人を守るために、武装してヴァンパイアに立ち向かうアントンはカッコイイぞ!

ちなみに、ヴァンパイアを演じているのはコリン・ファレル。本作では若干腹が出ているイヤ〜な性格の敵となっているので、こちらのファンもぜひどうぞ。『キック・アス』でヘタレオタクのレッド・ミストを演じたクリストファー・ミンツ=プラッセも、オイシイ役で登場しますよ。

3.『オッド・トーマス 死神と奇妙な救世主』(2013年製作)


オッド・トーマス 死神と奇妙な救世主(字幕版)



“平凡な青年が平和を守るために奮闘する”ヒーロー・ムービーであり、青春映画であり、事件の犯人の正体を追うサスペンスです。

この映画のアントンは、じつはかなりのリア充。フリーターではあるものの、警察からは理解があるし、人望もあるし、何より超カワイイ彼女がいるのです。この手のヒーロー映画って、主人公が冴えない男の場合が多いのですが、本作はモテない大多数の男子に迎合していませんね(笑)。

内容は『ハムナプトラ』の監督であるスティーヴン・ソマーズらしさに溢れまくっています。無理矢理お笑い要素が入ったり、語り口にスマートさがまったくなかったり、CG満載&アクション大盤振る舞いだったり、キモい虫が出てくる悪趣味さがあったりするのですから。

なお、本作はスポンサーが出資をしぶったために訴訟に発展、アメリカでは公開が行われないままになったという“大人の事情”があった作品でした(日本では1週間限定公開)。隠れた名作という言葉がふさわしい作品ですので、ぜひ多くの方に観て欲しいです。

4.『ゾンビ・ガール』(2014年製作)


ゾンビ・ガール [DVD]



『フライトナイト』と『オッド・トーマス』ではカワイイ彼女ができていたアントンですが、こちらは悲惨です。タイトル通り、彼女がゾンビになってしまうのですから……。

大変ステキなのは、主人公がホラーショップの店員(ホラー映画大好き!)で、そのゾンビになる彼女がエコ好きな現実主義者ということ。
彼女はホラー好きが唸るマニアックな商品を置くアイスクリーム屋に、まったく理解を示そうとはしません。それどころか、「アホな映画ばっかり見ていないで、現実を見なさいよ」とかほざきます。
自分はアホらしいB級ゾンビ映画が大・大・大好きなので、もうアントンに感情移入必死。「もうそんな女別れちまえ!」と思わざるを得ないわけです(だよね?)

しかもゾンビとして生き返った彼女は、アントンと必死にヨリを戻そうするあまり、絵に描いたような“ヤンデレ”化をします。大好きなゾンビ(の女の子)に言い寄られるけど、ぜんぜんうれしくないのです!そんなイェルチンの悲哀と葛藤が描かれている恋愛映画(?)としても、オススメできますよ。

ちなみに、本作の監督は『グレムリン』のジョー・ダンテだったりします。68歳になっても、趣味込めまくりな映画を作れるって素敵ですね。もちろん、ゾンビ映画愛もふんだんにありますよ。

5.『最高のともだち』(2004年製作)


最高のともだち [DVD]



若干15〜16歳(劇中では12歳の設定)のアントンがとにかくカワイイ作品!
母想いな数々のシーンはキュンキュンくるし、同世代の女の子とのラブロマンスもあるし、熟女にドギマギしたりするシーンもあります。
しかもアントン自身のシャワーシーンがあったりもします。美少年好きの淑女の方にもぜひ観てみてほしいですね。

邦題も含めてハートフルな作品に思えますが、じつは重い事実をつきつけられる物語でもあります。劇中でアントンが“認めてしまう”シーンは心が痛くて……(でも、それこそが作品にとても重要です)。

そして、ロビン・ウィリアムズ演じる、知的障がいのある中年男性との友情を描いた作品でもあります。
ご存知の通り、ロビンも2014年に亡くなっているという事実があるため、アントンと楽しそうに野球で遊んでいるシーンだけでも、涙腺が緩んでしまいます。

本作を観ると、ロビンとアントンが、いかに映画界において重要な存在であったか、その活躍が今後もいかに期待されていたかを、感じざるを得ないでしょう。

まとめ:これから遺作が公開されます


そのほかのアントンの魅力を知れる作品では、わずか12〜13歳で出演した『アトランティスのこころ』、遠距離恋愛で葛藤するイケメン青年を演じた『今日、キミに会えたら』、若き日のカイル・リース役に抜擢された『ターミネーター4』もオススメです。
(また、じつはアントンは、妊娠報道があったばかりの堀北真希と『誰かが私にキスをした』で共演をしていたりもします)

さらに、主演作『グリーン・ルーム』の日本公開も決まっています。こちらはパンクバンドのベーシスト役で、なんとスキンヘッド軍団と殺し合うというホラー映画になっているのだとか!? こちらも観逃せません。

アントンの遺作は10月21日に日本公開予定の『スター・トレック BEYOND』になるそうです。
その勇姿は、ぜひスクリーンで観て欲しいです。

本当に惜しい人を亡くしました。ご冥福を、お祈りします。

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(文:ヒナタカ

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