映画コラム
V8から一年!!!!!!!!『マッド・マックス』に熱狂したあの日を振り返る!!!!!!!!
V8から一年!!!!!!!!『マッド・マックス』に熱狂したあの日を振り返る!!!!!!!!
みなさんは6月20日と聞いて、なにを思い浮かべますか?
真っ先に『マッド・マックス 怒りのデス・ロード』の公開日だ!と答えた方々は、おめでとうございます。もはや立派なウォー・ボーイズです。
(c)2014 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED
そうです、昨年の6月20日、『マッド・マックス 怒りのデス・ロード』が日本で劇場公開され、早いものであれから一年が経ちました。昨年末にはソフト化もされ、自室が英雄の館と化している熱狂的なファンの方もいるのではないでしょうか。
と、言いましょうかまだ劇場で公開が続いているんですよ、この作品。
ソフトが出ているにもかかわらず今も上映が続いているというのは異常な事態と言えます。それだけこの作品が支持され、愛されている紛れもない証拠でしょう。
今回の「映画音楽の世界」は、そんな『マッド・マックス怒りのデス・ロード』をご紹介したいと思います。
語り尽くせぬ魅力
『マッド・マックス怒りのデス・ロード』、言うなれば「往きて還りし物語」な訳ですが、なぜここまで作品が愛されたのでしょう。
まずは世界観。30年ぶりの新作ですが、過去作を手掛けてきたジョージ・ミラー監督が引き続きメガホンを握り、まったく同じ、資源の枯渇した荒廃的な描くことでシリーズとしてのブレがありません。この点、旧来のファンがそのまま劇場に乗り込むだけでなく、生身のカースタント、最新のVFXを駆使したリアルなアクションが新規層を取り込むことに成功したと言えます。そもそもミラー監督70歳にしてもはや一種の宗教ともいえる狂気の改造車が唸りを上げて爆走し激突する場面を演出してしまう時点でこの映画は異常な生誕を見たわけです。
それぞれのキャラクターも魅力的でした。メル・ギブソンから主人公の座を受け継いだ、マックス役のトム・ハーディ。寡黙な姿の中に男の強さと優しさを体現してみせました。
シャーリーズ・セロンは片腕を失った女性大隊長であり逃避行の発端となったフュリオサ役を演じ、そのパワフルな演技で高い評価を得ました。砂漠での慟哭に思わず涙した人も多いのではないでしょうか。
メインキャラクター以外でも、銀スプレーを顔に吹きかけぶっ飛んだキャラかと思いきや見事に母性本能をくすぐりにきたニュークスや、カリスマ性すら漂う悪役イモータン・ジョー、囚われのワイブス、炎のギタリスト、ドーフ・ウォーリアー、鉄馬の最強BBA集団、乳首男sy……じゃない人喰い男爵などなど、キャラ飽和状態でありながら作り込まれた性格付けに隙がまったくありません! そんな濃い面々が入れ代わり立ち代わり常にスクリーンに登場しているので、異様な高揚感が持続します。
豊富な鑑賞フォーマット
『マッド・マックス怒りのデス・ロード』を楽しむ上で、どの劇場でどんな鑑賞法を選ぶか、そんな選択肢の広さも作品の魅力だったのではないでしょうか。ここではそのフォーマットをいくつか振り返ってみましょう。
「全身で音響を浴びる、立川シネマシティでの極爆上映」
東京、立川市にある立川シネマシティ。この名前を聞いただけで心ときめく映画好きも多いはず。『パシフィック・リム』でいち早く絶叫爆音上映を実施したのを皮切りに、サブウーファーを増設してもはや映画館の音響を軽く突破した最高の環境で、エンジン音、クラッシュ音、効果音などが、体がビリビリと震えるほどのウェーブとなってぶつかってきます。私自身ここで二回、本作を鑑賞しました。最近6000万円をかけ、さらなるスピーカーの増強を行ったようでもはや正気の沙汰とは思えません(全力で褒めてます)。
「もはやアトラクション、4DX・MX4D」
名古屋にある中川コロナを皮切りに全国に広がりを見せる、座席連動やエアー、水飛沫など従来にはなかった演出体感型鑑賞法。本作はとにかく激しいカーチェイスの連続で、エンジンを吹かせば座席が揺れ、車がクラッシュすれば振り落とされんばかりに大きく揺れ動くので鑑賞後に疲労感を感じるほど。それでもアトラクションとしての楽しみがあり、公開当時はチケット争奪戦となりました。ちなみに私は平日のリバイバル上映でようやく体験することができました。
「世界観没入型、IMAX3D」
前記二つほどの特色としては欠けますが、荒野が果てしなく広がる遠景や、縦列・編隊を組む車列など、本作は奥行きのスケールや画作りを楽しむ映画でもあるため、IMAXが実は一番この映画の世界観に入りやすいのではないかと思います。ある意味監督の理想とするビジョンが、そのまま巨大なスクリーンを通して映し出されたのではないでしょうか。またIMAXは座席が震えるほど音響スペックも高いのでやはり音を楽しむという意味でも理想的です。
これらの上映方式は今もなおリバイバル上映として定期的にスクリーンを当てがわれているのでファンの方は情報チェック、共有が欠かせません。
音楽の魅力と効果
本作を鑑賞していて気になったのは、ドラム隊のリズムやドーフ・ウォーリアーのギターの音がそのまま劇伴とシンクロしていた点で、他にもこれだけ効果音が使われる映画でありながら劇伴のメロディがはっきり聴き取れたことでしょうか。この作品においてジョージ・ミラー監督がいかに音楽を大切にしていたかが解ります。
そんな劇中音楽を任されたのがジャンキーXL。『<300> 帝国の進撃』の音楽でミラー監督に見染られたジャンキーXLもこの作品で一躍有名となり、以降『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』、『デッドプール』も担当して、名前を認識している人も徐々に増えてきたのではないでしょうか。このコラムでも一番名前の出ている作曲家かもしれません。
極爆上映で二度鑑賞したと前述しましたが、そのどちらも、マックスとフュリオサが初めて共闘を見せた岩の砦からのアクションシーンで流れた[Brothers in arms]が音響設定の絶妙なバランスもあって胸に突き刺さり、映画を観ながら感動のあまり涙が出てしまうほどでした。まさに、ヒーローのテーマに相応しく、叩き付けるリズムに勇壮なメロディがボルテージを最高潮にまで上げた瞬間でした。
繰り返しますがミラー監督70歳、その慧眼と音楽×映像のヴィジョンには脱帽するしかありません。
まとめ
何年かに一度、みんなでわいわいと騒ぎたくなるような映画が公開されます。『パシッフィク・リム』はもちろんのこと(むしろ先駆け)、他にも『バトルシップ』などがあり、本作も間違いなくその部類に入ると思います。こんな楽しみは映画ファンでもそうそう巡り合えるものではありません。全身全霊で楽しむ。映画を愛し、映画に愛される作品。もちろん敷居を高く感じる心配はありません。アカデミー賞最多受賞作でありながら、肩ひじ張る必要のない狂気を楽しむ映画です。
『マッド・マックス怒りのデス・ロード』。スクリーンでも自宅でも、忘れることの出来ない一本を心から愛し、V8を称えましょう!
ここまで読んでいただき、ありがとう ございました。
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(文:葦見川和哉)
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