映画コラム

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2018年06月28日

「由貴さんがアイドルだったなんて…!」映画『明日にかける橋 1989年の想い出』鈴木杏インタビュー

「由貴さんがアイドルだったなんて…!」映画『明日にかける橋 1989年の想い出』鈴木杏インタビュー

2018年6月30日(土)公開の映画『明日にかける橋 1989年の想い出』。「向日葵の丘 1983年・夏」「朝日のあたる家」の太田隆文監督が、静岡県の袋井市、磐田市、森町を舞台に、バブル最盛期にタイムスリップした女性が家族の幸せを取り戻すべく奔走する姿を描くヒューマンドラマ。

シネマズby松竹では、主人公のみゆきを演じた鈴木杏さんにインタビュー。みゆきを演じるうえでの思いや、静岡での思い出などを語ってくださいました。




──30代のOLが、多感な10代の少女時代だった時代にタイムスリップするという本作。鈴木さんは子役時代からお仕事をされていましたが、今振り返ると当時のご自分はどう映りますか?

鈴木杏(以下、鈴木):大人に囲まれて仕事をしていたので、そこに追いつくのが精一杯で…。越後はる香さんが演じた10代のみゆきのように、周囲の大人に反抗的でいることはできなかったです。

当時はまだ自分のことを俯瞰で見ることができていなかったので、自分自身よりも、当時ご一緒させていただいていた大人の方々のほうが、あの頃の私のことをよく覚えてくださっているかもしれません。

──撮影は静岡県の袋井市、磐田市、森町で行われたそうですが、撮影中の思い出は?



(C)「明日にかける橋」フィルムパートナーズ


鈴木:現地の方々と一緒になって作れた作品だと思います。ボランティアの方が毎日ケータリングを出してくださって。新鮮な野菜を食べながら撮影ができて、とても贅沢だったと思います。

あと、空き時間にはキャストのみんなで現地をブラブラしたり、越後さんと草刈(麻有)さんと冨田(佳輔)君と、1時間くらい歩いてららぽーとに行ったり(笑)。アイス食べたり、買い物したりして、いい夏の思い出ができました。

とってものんびりしたところで、朝起きて、いい景色の中でジョギングするのが最高に気持ちよかったです。

──80年代にタイムスリップするという設定でしたが、鈴木さんの目には1989年はどう映りましたか?




鈴木:劇中でも描かれていますが、あの熱狂的なバブルのあとに来る氷河期を知っているので…。盛り上がっている分、切なく感じます。

ただ、お仕事でご一緒したことのある(斎藤)由貴さんがアイドルだった頃を知らなかったので、「夢の中へ」を歌っていたことを知ってビックリしました。ほかにも小泉(今日子)さんなど、女優としての顔しか知らなかったので、歌を歌っている姿が印象的でした。

──みゆき(鈴木)は幸せだった頃の自分に戻りたいと願って橋を渡りました。鈴木さんは戻りたい時代はありますか?

鈴木:今のほうが幸せっていうとちょっと語弊があるかもしれませんが、特に昔の自分に戻りたいとは思いません。10代、20代の頃のほうが足掻いていたというか、自分以外の何者かになりたくて必死だった気がします。

30代になってそのことに気がつけたというか。あきらめとはちょっと違うかもしれないけど、私は私でしかないんだと知って、すごく楽になれたんです。




実を言うと、完成した作品を観たあとの後悔は今でも毎度のこと(笑)。「ああすればよかった」とか「今ならこうやれるのに!」と思うことは多々あります。

でも、そういう自分を経て今の自分になっているんだし、私は私という器の中で勝負していくしかないんだと気がついてからは、変に自分を責めなくなりました。

──そういう意味では、弟の死によって自責の念にとらわれていたみゆきに通ずるものがあるかもしれませんね。最後に、本作のみどころをお伺いしたいと思います。

鈴木:静岡の風景もそうだし、89年の時代もそうだけど、本当にいろんな見どころがあって言い尽くせないくらいです。



(C)「明日にかける橋」フィルムパートナーズ


家族の物語でもあるし、少女のみゆきと大人のみゆきの物語でもある。私自身、今回の作品で地元の方々をはじめ、スタッフの皆さん、共演者の皆さん、色んな方向から支えていただいて、改めて作品ってみんなで作るものなんだなと実感できて感謝でいっぱいです。

見てくださる方にとっても、何かしらの“気付き”が得られる作品になっていたらいいなと思います。




映画『明日にかける橋 1989年の想い出』は、6月30日より有楽町スバル座、8月にテアトル梅田ほかにて全国順次公開です。また、公開初日6月30日(土)は、有楽町スバル座にて10:30回で上映後初日舞台挨拶あり。舞台挨拶登壇者(予定)は、鈴木杏、田中美里、越後はる香、藤田朋子、太田隆文監督。


鈴木杏プロフィール




1987年4月27日生まれ。舞台『イニシュマン島のビリー』『母と惑星について、および自転する女たちの記録』(2016)で第24回読売演劇大賞 最優秀女優賞を受賞するなど、数々の作品で女優としての高評価を得ている。NHK「ドキュメント72時間」ではナレーションを担当。

出演:鈴木杏、板尾創路、田中美里、越後はる香、藤田朋子、宝田明ほか
監督・脚本・編集・プロデューサー:太田隆文
http://asunikakeruhashi.com/

(写真:井嶋輝文、ヘアメイク:宮本愛<yosine.>、スタイリスト:小山よし子、文:NI+KITA)

(C)「明日にかける橋」フィルムパートナーズ

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