『キャプテン・マーベル』の「5つ」の魅力!今この時期に映画化される理由とは?



©Marvel Studios 2019



4月に公開される『アベンジャーズ/エンドゲーム』への重要なカギとなるキャラクターが登場する、全ての物語の前日譚であるマーベル映画最新作『キャプテン・マーベル』が、ついに3月15日から公開された。

既に観た人の間でも高い評価を受けている本作だが、実は重要な部分で原作コミックスとは大きな変更が施されている本作。

果たして、その内容とはどの様なものだったのか?

ストーリー


記憶を失ったヒーロー、キャプテン・マーベル(ブリー・ラーソン)。
彼女の過去に隠された“秘密”が、恐るべき戦いの引き金となってしまう。
自在に姿を変える正体不明の敵に狙われ、孤独や不安に打ちのめされても、
彼女は不屈の精神で何度も立ち上がる。
果たして彼女は記憶を取り戻し、この戦いを終わらせることができるのか?
そして、最後につかむ“衝撃の真実”とは…?
公式サイトより)

予告編

1:実はスパイダーマンとも関係が深いキャラクター!


映画のタイトルこそ『キャプテン・マーベル』だが、その誕生秘話や基本的な設定は、原作コミックス「Ms.マーベル」時代のものを基にしている本作。

実は、キャプテン・マーベルの前身である“Ms.マーベル”時代にはスパイダーマンと共闘していたり、その後は短期間だがスパイダーマンと付き合っていた時期もあるなど、その名称やコスチューム変更も含めて非常に複雑な経緯を持つ、このキャプテン・マーベルというキャラクター。

実際、キャプテン・マーベルの名前を受け継いで戦った者は、キャロル・ダンバース以外にも複数存在する(クリー人の男性や、黒人女性の時もあった)など、MCUの中でも非常に重要な役割と複雑な経緯を持つキャラクターだけに、『アベンジャーズ/エンドゲーム』以降の展開を考えれば、むしろ遅すぎた登場と言えるだろう。

それだけに、果たして原作コミックスのどの部分を描いて1本の映画に収めるのか? その点が非常に興味深かった本作。

そんな観客の期待を裏切ることなく、今回約2時間の上映時間内で“Ms.マーベル”時代の設定と誕生秘話に加え、キャプテン・マーベルの名前を引き継ぐところまで描いてくれたのは、実に見事でムダが無かった! という感謝の気持ちしかない。



©Marvel Studios 2019



特に、初期の原作コミックスでも重要な要素となっていた、自身の真のアイデンティティーについて悩んでいたキャロルが、ついに自分が地球人キャロル・ダンバースである記憶を取り戻す展開は、本作でも見事に踏襲されている。

しかも今回の映画版では、クリー人と地球人との間で分断されたままだった、キャロル自身のアイデンティティーの象徴として、二つに千切れた空軍の認識票を使うなど、原作コミックスを越えたアレンジが素晴らし過ぎるのだ!

クリー人として与えられた偽りの呼び名と、地球人としての本名が見事に交差する、この認識票に隠された秘密は是非劇場で!

2:実は元祖『キャプテン・マーベル』の映画も同時期に公開される?!


今回非常に驚いたのは、その脚本の完成度だけではなく、原作コミックスの知識が無くとも充分楽しめる作品になっていた点だった。

日本には馴染みの薄いヒーローの初登場編にも関わらず、この1本だけでキャプテン・マーベルの誕生秘話と、その魅力である最強パワーを存分に観客に伝える内容は、正に10周年を迎えて更なる高みを目指すMCUの今後の展開を大いに期待させるもの!



©Marvel Studios 2019



前述した通り、デビュー当時の名前である"Ms.マーベル"から、紆余曲折を経てキャプテン・マーベルの名称を引き継いだ、主人公のキャロル・ダンバースだが、実は4月に公開されるDC映画『シャザム!』の主人公こそが、元祖キャプテン・マーベルである、と言ったら驚かれるだろうか?



©2019 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.


DC映画『シャザム!』



タイトルとなっている"SHAZAM!"とは、主人公がキャプテン・マーベルに変身する際の魔法の言葉であり、同時に神のパワーを主人公に与えた老人の名前でもある。コミックスでの初登場が実に「スーパーマン」誕生直後の1940年まで遡るほどの、古典的スーパーヒーローなのだが、その超能力があまりにスーパーマンに似すぎているということから、著作権侵害とみなされてしまい、売り上げの低迷もあって1950年代には遂に廃刊となってしまった。

その後、連載元のフォーセットコミックスから「スーパーマン」を発行していたDCコミックスへと、1970年代に版権が移行するのだが、既にその頃はマーベルコミックスが"マーベル"の名称を商標登録していたため、キャプテン・マーベルの名称が使えなかった。そこでコミックスのタイトルが、「SHAZAM!」に変更されたというわけだ。

しかも複雑なことに、マーベルコミックス側にも今回映画化された『キャプテン・マーベル』の原作である、全く新しいキャプテン・マーベルが登場したため、現在はその外見と能力が全く違う、2人のキャプテン・マーベルが存在しているという訳なのだ。

ちなみに便宜上は、DCコミックスの方が"オリジナル・キャプテン・マーベル"、マーベルコミックスの方が"ニュー・キャプテン・マーベル"と呼ばれていることを、付け加えておく。

3:コミックス愛に溢れたスクラル人の扱いが泣ける!


本作で重要な役割を果たすのが、クリー人とスクラル人という2大宇宙人の存在。

実はマーベルコミックスの世界では、この2種族は重要なキャラクターであり、クリー人の科学力は時に地球の危機を救うカギとなってきた。その一方、変身能力を持つスクラル人は地球侵略を狙う宇宙人として、もっぱら悪役(ヴィラン)扱いされてきたという歴史があるのだ。



©Marvel Studios 2019



ちなみに原作コミックスの中では、クリー人は軍事政権による一種の独裁国家であり、スクラル人は逆に本来は温和な種族だったが、同一種族内の内乱によって絶滅寸前という設定になっている。

だが、そもそもクリー人の進化を促し発展へと導いたのがスクラル人であるなど、実はこの2大種族には根深い因縁があるのも事実。

実際、コミックス内でのスクラル人は実に便利な存在で、「困った時のスクラル人」とでも言いたくなるほどの万能キャラとなっている。

例えば、ある重要なキャラクターが死んで、その後読者からの抗議や助命嘆願の声が多かったりした場合、実はそれはスクラル人が化けていた姿で、本人は生きていた! というトンでも展開で、それまでの話は無かったことにされたりすることもあるほど。

それだけに、今回のスクラル人に対する好意的な描き方には、製作側の深いコミックス愛を感じずにはいられなかった。

今までどうしても、地球侵略を企む悪役宇宙人としてのイメージが強かったスクラル人だけに、本作でのスクラル人の意外な設定には、重度のアメコミファンであればあるほど、「おお、そう来たか!」、そんな驚きを感じてしまうことは確実な本作。

現代の移民や難民問題を反映したかの様な彼らの描写と、その深い家族愛は必見です!

4:原作コミックスの名シーンを再現!


映画の前半、キャプテン・マーベルがスクラル人に捕えられ、機械にかけられて記憶を探られるシーン。実はこの部分、キャプテン・マーベルの前身である“Ms.マーベル”の原作コミックス初期の名場面を再現したものとなっている。

1978年に光文社から日本語訳コミックスとして、1巻だけ刊行された際に収録されているこのシーン。全アメコミ男子の心をザワつかせた名場面として、きっと記憶に残っている方もおられるのでは?

映画ではさすがに原作通りには再現されなかったが、コミックスの中では何と、あのコスチュームを全て脱がされた状態で両手両足を拘束されてしまうことに!

ただ、コスチュームの下に全身タイツ状のスーツ(攻殻機動隊のスーツの様な物)を着ているので、厳密には全裸では無いのだが、日本版のコミックスではモノクロ印刷だったため、どう見ても全裸で拘束されている様に見えてしまうという事態に…。

当時としても非常に衝撃的だったこのシーンを始め、今見ても異様に露出度の高いコスチュームデザインも、コミックス・コード基準では問題になったらしく、その後は露出を減らしたコスチュームへと変更されるなど、正に“Ms.マーベル”は、DCコミックスの「パワーガール」や「ルパン三世」の峰不二子並みの、全男子憧れのキャラクターだったというわけだ。

5:実は女性の自立の困難さと、LGBT問題をも描く内容だった!


今回の映画版と原作コミックスの一番の変更点は、キャプテン・マーベル誕生の原因となるクリー人“マー・ヴェル”が、男性から女性になっている点。

もちろん、あの事故が起こった1989年時点の社会状況を考えれば、女性の社会進出を描く上で性別を変更した方が、より効果的なのは充分に理解出来る。

だが、今回はそれだけの理由では無く、キャロルの少女時代からの行動の積み重ねや彼女の服装、更にバイカーの男との会話などから判断して、ヒロインをLGBTとして設定するための変更だった、そう推察せざるをえない。



©Marvel Studios 2019



本来、原作コミックの“Ms.マーベル”の設定そのものが、当時のウーマンリブによる行動的な女性の姿や、女性の社会進出を反映したものだったため、その設定を現代向けに発展させて描く上でも、今回の様なアレンジは必要不可欠だったと言えるだろう。

現在の全身を包むライダースーツの様な形状のコスチュームデザインからは、より女性闘士といったイメージが強いキャプテン・マーベル。だが、原作コミックスに初登場した際のコスチュームは、今見ても異様に露出度が高く、女性のセクシュアリティーを前面に押し出したデザインとなっているので、興味を持たれた方は是非ネットで検索の上、ご自分の目でご確認頂ければと思う。

最後に


毎年アメコミ界の大きなイベントとなる、各ヒーローが大集合して展開する“クロスオーバー”において、重要な役割を果たすのが、宇宙を舞台に活動している“コズミックヒーロー”の存在。

ところが実写映画化作品においては、中々“コズミックヒーロー”が観客に受け入れられず、唯一『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』が大ヒットしただけで、せっかくシルバーサーファーやギャラクタスが登場した『ファンタスティック・フォー:銀河の危機』や、DCコミックスの『グリーン・ランタン』も、実は期待通りの興行成績をあげられずに終わっている。

そのため、原作コミックス本来の展開を大幅に変更したり、物語の切り札となるキャラクターが変更されるなど、どうしてもスケールが縮小されたり無理が生じたりすることになってしまっていた。

そんな中、遂に登場した女性の“コズミックヒーロー”であるキャプテン・マーベルへの期待は大きく、今回の成功でやっと宇宙を自由に飛び回って戦うヒーローの姿がスクリーンに登場することに!


©Marvel Studios 2019



今回、日本人にはほとんど馴染みの無い女性ヒーローであるキャプテン・マーベルが、このタイミングで映画化された理由は、決してDCコミックスの『ワンダーウーマン』の成功を見たからではなく、今後のマーベルコミックス映画化の上で“コズミックヒーロー”の参入が必要不可欠だったため、更にアベンジャーズ再編成への布石と見ることが出来るだろう。

とにかく細かい理屈は抜きにして、本作の面白さの理由と最大の見どころは、キャプテン・マーベルの圧倒的な強さとカッコよさ! これに尽きる。

そのあまりの強さは、1作目の『アベンジャーズ』に登場した程度の敵なら、確実に彼女一人で撃退出来たのでは? そう思わずにはいられないほど!

まだ未見の方や鑑賞を躊躇されている方は、そのパワーの凄さや『アベンジャーズ/エンドゲーム』へのヒントを確認するためにも、是非劇場へ足を運んで頂ければと思う。

(文:滝口アキラ)

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