『デイ・アフター・トゥモロー』は大成功作だ!ローランド・エメリッヒ監督の素晴らしさを、その作品群から語る!

7:『ホワイトハウス・ダウン』(2013年)

ホワイトハウス・ダウン (字幕版)

『2012』という超大スペクタクルの後、エメリッヒは落ち着きを取り戻すかのように『もうひとりのシェイクスピア』という比較的小規模な作品を手がけます。続くこの『ホワイトハウス・ダウン』にいたっては、タイトルどおりほぼホワイトハウスの中だけで展開、(舞台の広さという意味での)スケールダウンが図られました。

個人的に、この『ホワイトハウス・ダウン』がエメリッヒ監督の中でも随一の快作! “テロリストに巻き込まれた男が限られた場所で奮闘する”という物語は『ダイ・ハード』らしくて燃えますし、ケレン味の効いた演出もワクワクさせてくれます。それでいて、「そこが爆発するの?」「ペンは剣より強しってそういう意味じゃねえだろ!」など、エメリッヒ印のツッコミどころがあるのもたまりません。あと、子役の女の子(主人公の娘)がカワイイ!

ちなみに、同年に公開された『エンド・オブ・ホワイトハウス』と、盛大に企画がカブってしまったりもしました。そちらは興行的に成功したにも関わらず、『ホワイトハウス・ダウン』は全米初登場4位にとどまり、やや期待はずれの結果に……なんとなく、こういう“間の悪さ”がエメリッヒ監督作にはあるような気がします。

8:『ストーンウォール』(2015年)

ストーンウォール(字幕版)

実際のゲイ解放運動(に関わる暴動)を描いた映画なのですが、批評サイトRotten Tomatoesではたった10%の評価、興行的にも大惨敗をしてしまい、しばらくエメリッヒ監督のフィルモグラフィーからも抹消されていた(日本のWikipediaにもしばらく載っていなかった)ほどの黒歴史扱いをされてしまった作品です。

ここまで評価が低くなってしまったのは、ひとえに架空の人物を主人公に据えてしまったことが理由です。歴史上の事実にフィクションを組み込むのはよくあることですが、実際は黒人とトランスジェンダーたちが起こした暴動を、“誰でもない”白人が起こした、と脚色してしまうのは、不誠実さを感じてしまうのも致し方がないでしょう。なお、エメリッヒ自身はゲイであることを公言しており、自身を登場人物に投影したいがために、この主人公を作りあげたところもあるそうです。

その事実の脚色はともかく、鬱屈した日々を過ごす若者たちの青春ドラマとして、物語はまっとうに仕上がっています。周りを傷つけてばかりいる主人公にやや感情移入しにくかったり、「ここでこんなこと言うかな?」と思ってしまうセリフがあるなどの問題はありますが、若手俳優たちの熱演のおかげであまり気になりません。LGBTではない人に向けたメッセージも多分に込められていますし、ゲイに偏見を持たない妹との交流にもグッと来るものがあります。低評価を気にせずに、観てみると良いと思いますよ。

ちなみに、日本語吹替版で主人公を演じていたのは、大人気声優の梶裕貴!日本のアニメや、ボーイズラブものが好きな人にもおすすめしたいとろです。

9:『インデペンデンス・デイ: リサージェンス』(2016年)

インデペンデンス・デイ:リサージェンス   (吹替版)

そんなわけで、興行的な意味で『ホワイトハウス・ダウン』はやや失敗、『ストーンウォール』で大失敗をしまったエメリッヒは、進退窮まる状態になってしまいます。そんな時に持ち上がったのが、『インデペンデンス・デイ』の20年ぶりの続編という企画。エメリッヒはもともと続編を作ることが好きではなかったのだそうですが、この状況ではもう乗らざるを得なくなったのでしょうね。

出来上がった映画は、確かに20年前から格段に進化したCGをふんだんに使い、しかも宇宙船が地球の1/3をすっぽり覆うほどにデカくなるという、とてもわかりやすいスケールアップが図られました。ところが……登場人物の活躍が事務的に流れるので何の感情も湧かない、緊急時にしょうもないギャグを入れる、ツッコミどころ満載、設定がガバガバでちっともハラハラしないなど、ダメなほうのエメリッヒ節は変わっていない、いや、むしろパワーアップしていました。

画は大迫力のはずなのに、あっという間に記憶から消えさえってしまうというこの特徴は、あの『トランスフォーマー』シリーズを超えて、映画史上ナンバーワンと言っても過言ではないでしょう。

ここまで来ると、スラムダンクの安西先生のように「まるで成長していない……」と心配になる一方で、「変わらなくて良いものもあるんだな」「まるで実家のような安心感だ」と、ほっとしてしまうレベルに達します。エメリッヒ監督は、もうこれでいいんじゃないでしょうか。

まとめ:『デイ・アフター・トゥモロー』こそが一番の成功作だ!

こうしてエメリッヒの監督作品を振り返ってみると、『デイ・アフター・トゥモロー』こそが、(評価面と興行面を足して考えれば)氏の作品の中で最も成功していると言っていいのではないでしょうか。“ハリウッドの破壊王”のキャリアの全盛期に作られ、映像技術も、俳優たちの熱演も最高峰、でも作品としてはちょっと物足りない、そんなところも含めて、『デイ・アフター・トゥモロー』は愛さざるを得ない映画なのです。

ちなみに、『デイ・アフター・トゥモロー』のBlu-rayに収録されているオーディオコメンタリーを観てみると、エメリッヒ監督は「この役者が素晴らしかった!」「最高の仕事をしてくれたよ!」と脇役を含めた俳優やCGを作り上げたスタッフを褒め称えており、良い人なんだなあ……とほっこりしますよ。

おまけ:タイトルの意味は「あさって」ではなかった!

余談ですが、『デイ・アフター・トゥモロー』の製作を務めたマーク・ゴードン氏によると、タイトルは“あさって”ではなく、“運命”と“希望”という意味を込めているのだとか。また、この映画で起きることは決して未来の話ではなく、明日、あるいはあさってにでも起きるかもしれないという現実感を与えたい、という意図があったことも、このタイトルを付けた理由だったのだそうです。

エメリッヒ監督も、「本作は悲観的ではなく、希望を残している内容です。今からでも(地球温暖化問題の)現状を変えていこうとすれば、良い方向に持って行くことはできるということを伝えたい」と、その作品の志の高さを語っていました。

前述の『ストーンウォール』も、差別をされていたLGBTの人々の歴史を知ってほしい、少しでも良い方向に向かって欲しい、という彼なりの信念を感じました。いやあ……やっぱりエメリッヒ監督は良い人だなあ……これからも、大破壊をしてくれる、そしてエメリッヒ節の効いた映画を期待しています!

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(文:ヒナタカ)

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