映画コラム

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2017年11月18日

『GODZILLA 怪獣惑星』は『シン・ゴジラ』がなければあり得なかった!その見どころを解説!

『GODZILLA 怪獣惑星』は『シン・ゴジラ』がなければあり得なかった!その見どころを解説!




現在、『GODZILLA 怪獣惑星』が全国の劇場で公開されています。誰もが知る『ゴジラ』シリーズが、国産のアニメーション映画として製作されるのは異例中の異例のこと。本作の見所がどこにあるのか? ネタバレのない範囲で、以下よりたっぷりとご紹介します!



1:“アニメでしかできない”世界観と設定になっていた!




(C)2017 TOHO CO., LTD.



本作『GODZILLA 怪獣惑星』の最大の特徴と言い切ってよいのは、これまでのゴジラ映画のような“現代”ではなく、“遠い未来”を舞台にしていることと、人類が「怪獣やゴジラに地球を蹂躙されたため、そこから離れなければならなかった」という絶望的な状況に陥っている設定です。

さらに劇中では“エクシフ”と呼ばれる宇宙人のほか、“パワードスーツ”というガジェットも登場。生態系がガラリと変化とした地球の描写も含め、作品の方向性が“遠未来SF映画”に振り切っているのです。

言うまでもなく、それは日本の実写映画および特撮では実現が難しいもの。まず、“アニメでしかできない”世界観および設定になっていること、アニメでこそ作られる意義があったと、誰もが思える内容になっているのが、この『GODZILLA 怪獣惑星』なのです。



2:脚本家は『魔法少女まどか☆マギカ』の虚淵玄!“らしさ”が大盤振る舞いだ!




(C)2017 TOHO CO., LTD.



本作『GODZILLA 怪獣惑星』の脚本を手掛けたのは、テレビアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』や特撮『仮面ライダー鎧武/ガイム』などの虚淵玄。氏の作品を観た方であればご存知の通り、(そうでない作品ももちろんありますが)良い意味で「鬱になる」「救いがない」と言われる、重く苦しいストーリーのものも多くなっています。

本作でも、その“虚淵玄らしさ”が大盤振る舞いでした。20年間も宇宙空間を漂流しなければならなくなった人類の“地獄のような生活”が描かれるほか、登場人物は鬱積した思いを吐露し続け、絶望的とも言えるミッションに挑むことになります。しかも、ゴジラを倒すという当然のような“正義”そのものにも、それが「本当に人類にとって正しい選択なのか」と疑問が投げられかけたりもするのです。

問題を単純に一元化せずに、問題(ゴジラ)に対しての様々な思惑が交錯し、そして最適な方法を選ぼうと奮闘する、という過程にも、虚淵玄らしさを存分に感じました。これは2016年に公開され各方面で絶賛を浴びた『シン・ゴジラ』にも通ずることですし、虚淵玄の作品を観たことがないという方にも、心にズシンと響くのではないでしょうか。

また、虚淵玄の作品には「何かのためには、他の何かを犠牲しなければならない」「立ち向かう問題に対して、予期していなかった残酷な真実が露呈する」という展開も良くあります。本作に関しては……ネタバレになるので書けませんが、氏の作品を知っている人こそ、「これこそ虚淵玄イズムだ!」と納得、または感動できるのではないでしょうか。



3:3DCGアニメの“質感”がすごい! 今回のゴジラのモチーフは“樹木”だった!






(C)2017 TOHO CO., LTD.



本作を製作したのは、押井守監督のアニメ映画『イノセンス』の3DCGパートや、テレビアニメ『スター・ウォーズ:クローン・ウォーズ』なども手掛けたポリゴン・ピクチュアズ社です。その圧倒的な映像表現も、本作の大きな見どころになっています。

遥か未来の地球の風景は不気味かつ実在感があり、爆発のエフェクトの質感や規模は“これでもか”というほどにリアル。特にライティングにとことんこだわったという巨大なゴジラの“質感”は「アニメであることが信じられない!」と叫びたくなるほど真に迫ったものになっています。

その他、緻密に作られた宇宙船やパワードスーツの造形にも惚れ惚れしますし、スマホアプリ『ポケモンGO』などのコザキユースケがデザインしたキャラクターは“硬派なSF”である世界観に絶妙にマッチし、もちろんゴジラ撃退のためのドッグファイトは大迫力! 3DCGという表現を最大限に駆使した、あらゆる点において妥協のない映像づくりを堪能できました。

ちなみに、今回のゴジラの造形に選んだモチーフは、ズバリ“樹木”であったのだとか。確かに、すべての生命体の中でもっとも大きくなり、寿命も長く、強固な体組織で構築されている樹木は、今回のゴジラのイメージにピッタリと符合します。頭部が小さめで、どっしりとした体格、その圧倒的な重量を感じさせる造形は、ゴジラファンこそ唸る出来栄えなのではないでしょうか。



4:超豪華声優陣が勢揃い! 宮野真守と櫻井孝宏が演じるキャラの“ブロマンス”にも注目!






(C)2017 TOHO CO., LTD.



本作は、“超”がつくほどの豪華声優陣が勢揃いしています。主人公を演じた宮野真守を筆頭に、櫻井孝宏、花澤香菜、杉田智和、梶裕貴、小野大輔、堀内賢雄、山路和弘、諏訪部順一、三宅健太、中井和哉と、声優に明るくなくても聞いたことのある名前ばかり。もちろん、その感情表現や存在感は格別、それぞれのキャラにバッチリとハマっていて、文句のつけようがありません。

アニメ映画において、実写に近いキャラクターの声質を求めたり、またはプロモーションの目的も含めて俳優や芸能人を起用することは良くありますが、全国規模で公開され、しかも(ゴジラという)メジャーな作品で、ここまで本業が声優であり、しかも実力も人気もトップクラスの方々のみで固められたというのは、近年ではなかなか珍しいのではないでしょうか。声優ファンにとっても見逃せない作品と言えるでしょう。

また、櫻井孝宏演じる宇宙人の青年(見た目は25歳だが、実年齢は50歳という設定)が、宮野真守演じる主人公の“良き理解者”になっていることにも注目です。その関係性は「口では明確に言わないけれど、お互いに信頼しあっている」という感じの“ブロマンス”な印象がありました。

その他、花澤香菜演じる“おじいちゃんっ子”なヒロインもかわいいですし、小野大輔演じる「理想論を掲げずに、冷静に状況を判断する」キャラクターも強い印象を残すことでしょう。

※次のページでは『シン・ゴジラ』との関係について解説しています!

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